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孤独な人生  作者: まみろくのすけ
不自由な生活
3/6

うるさくて酒臭い店

ノエルに連れられて数10分、ようやくお店に着いたようだ。

「入りましょうか」

ノエルは店の扉を開いた。

「よぉ嬢ちゃん!待ってたぜ!」

店から聞こえた声、誰だろうか。人がいすぎて全然わかんない。

「めっちゃ人多いな」

人が多いところは嫌いではないが、とても酒臭くて男のにおいしかしない。むさくるしい。

「ここは酒場だから、人は多いもんよ」

「今日から俺こんなところで働くのかよ・・・」

ああもう最悪だ。ノエルとかいうくっそ美人な女の子と二人っきりでお花屋さんでキャッキャウフフできるかと思ってたのに・・・

「よお!帰ったかノエル!」

これは誰だかわかったぞ。あのごっついおっさんだな。

「あ!お父さん!」

へ~あれがノエルのお父さんか~ふむふむ・・・は?

「ノエル、その隣の男はなんだ。まさかお見合いとかではないよな!ノエルに手ぇ出したら承知せんぞこのクソガキが!」

俺はノエルのお父さんがいることにびっくりしてしまいその場で突っ立っている状態になってしまった。

「ち、違うよお父さん!この子はね!働くためにここに来たんだよ!お見合いとかそういうのじゃないよ!」

お父さんは納得し、

「そうか、すまなかった」

結構優しいお父さんだったってそんなことより!

「ノエルさんや、何故お父様がここにいるんです?」

俺の質問に二人は首を傾げ、

「なんだお前、そんな口の利き方店長に対してするんじゃない」

え、店長?ってことは・・・

「まさかお父様ってここの店長さんなんですか?」

「さっきも言っただろ。俺はここの店長で、ノエルのお父さんで一緒に働いているんだ」

ノエルと二人っきりの人生計画が~!!


俺は落ち込んでしまいカウンタ―の陰に隠れてしまった。

「二人っきりの人生計画が・・・」

「おい、あいつなにやってんだ?ほらノエル、俺は今忙しいから部屋に連れて行ってやれ」

やめてくれ、俺を何処へも連れて行かないでくれ。俺はカウンターと同化したい気分なんだよ。

「連、ほらほら何を落ち込んでいるの?」

「だってさ、俺はノエルと一緒に二人でお花屋さんを開いてキャッキャウフフできると思っていたのに・・・こんな、こんなことって・・・」

「はぁ・・・」

ノエルはあきれてため息を吐いた。

「勝手に妄想しちゃって、いいから早く立ち上がりなさいな」

俺は首を振った。

「な~んだ。もし私の言うこと聞いてくれたらご褒美をあげようと思ってたのにな~」

「はい!立ち上がりました!」

俺はご褒美をもらうために立ち上がった。

「は~いざ~んねん。もうちょっと早ければご褒美あげたんだけどな~」

俺はまたカウンターの隠れ、

「嘘よ。仕方がないからご褒美あげる。だけどそのご褒美はちょっと過激だから二階のお部屋に行かないとね。付いてきて」

過激!?お部屋!?いったいどんなことをするのだろうか。気になるけどな~。

色々考えてるうちに部屋に着いた。

「ここは今日からあなたの部屋になるのよ」

なんかファンタジー系アニメに出てくるいつもの宿的な感じですな。

「お父様にちゃんと許可は取ったのか?俺がここで暮らすってこと」

「えぇ、ちゃんととったわよ」

僕はほんとノエルにお世話になってばっかりだな。

「ありがとよノエル」

「どういたしまして」

うふふ、とちょっとだけ笑っている。こんなかわいい子と一緒に居られるなんてほんと占い師いいやつだわ。曖昧なところだけどな。

「さっき俺にご褒美をくれるって言ってたけど、何をくれるんだ?」

さっきからうずうずしていた。一体どんなことをしてくれるのか、どんなことをやってくれるのか楽しみでしょうがない。

「それはウソよ」

ウソってなんじゃそりゃ!?

「はぁ!!?ってことはさっきのすべて噓だったのか!?」

「こうでもしないとあなたがカウンターからどけてくれないから、こういうのもなんだけどちょっと邪魔だったからね」

それは俺が悪いな。

「う、うん、なんかごめん」

「いやいや、大丈夫だよ!大丈夫じゃないけど・・・」


夜になってもこの店はまだ賑やかである。柄の悪そうなやつしかいない。そして美人なお姉さんはいない。1人だけいるな・・・

「なぁノエル。ここの店、どう思う?」

俺はノエルに聞いてみた。

「う~んとね。とにかくうるさい!全然眠ることもできなければゆっくりお風呂に入ることすらできない!」

お~結構文句いいますね~。

「でもね。私はここが好きだよ。特に理由はないけどね!」

「俺はまだここに来たばっかだから何も分からないけどこれからは一緒に働いていくんだ。何があってもその試練を乗り越えてみせるよ!」

くっさ。自分で自分が気持ち悪い。

「明日からは頑張って働かないとね!頑張りましょう!」

「おう!頑張ろう!」

ハイタッチをした。掌がとても痛い。強くやりすぎた。

「いった~!強くやりすぎた!」

「い、いだい・・・」

ノエルの目からちょっとだけ涙が・・・最高に可愛いです。そして最高のシャッターチャンスです。ここにカメラか携帯があればこの顔を撮ることができたのに!


俺は椅子に座り、今日の出来事を振り返った。

この異世界に来て王女の出会い、ノエルに出会い、そしてこの店に出会った。なんて最高な日だったんだろうか。今日はぐっすり寝れそうだ。

俺は寝床に着き。目を閉じた。



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