けだるい朝とともに
けだるい朝が来る。躊躇なくただまぶしいその光の姿を見せながら。日曜日。いつもならここでもう一度寝るところだ。だけど今日は用事がある。ベットから出て歯を磨く。コンビニで買った菓子パンに緑茶という簡単な朝食をとる。身支度をして家を出る。
今日はある人に呼ばれていた。職場の後輩の桜内優斗だ。そして多分、用件は告白…。
10時の待ち合わせだったが彼がこない。スマホに連絡がないことを確認してあたりを見渡した。
いつものように人にあふれた駅前、田舎から初めて出でここについた日を思い出す。
その日待ち合わせしていた人も10時の待ち合わせ時間に10分間遅れていた。
そんなことを考えながらぼーっとしていると、聞き馴染みのある声が私を我に戻させる。
「せんぱーい。遅れてすみません!!」
桜内優斗だ。
「おーきたか。誘っといて遅いぞ~」
彼を茶化す。
「すみません」
律儀にもう一度あやまる。
「いいいさ、さぁ今日はどこに連れてってくれるのかな?」
今日の目的を思い出したように彼は
「は、はい!とりあえず映画に!今入ってるやつなんですけど…」
「おーいいねー いこういこう!」
今入ってる映画。きっと最近話題の恋愛映画だ。あまりにも人気だったからニュースにもなっていた。
駅近くの映画館に向かい歩く。黙っているのもアレなので何か話を振ろう。
「桜内君は恋愛映画とか好きなの?」
「いえ、普段はSFとか見るんですけど、今あまりにも人気なので!」
たしかに私も恋愛映画とかはみないけど、友達にも勧められるしテレビでもCMや出ている俳優さんをよく見るしで、さすがに気になった。
「それねー。テレビとかでもその話題で持ちきりだもんね。私もSFとかの方が好きなんだけど
気になってたし一人で見に行くのもやだったからちょうどよかったよ。」
素直に思ったことをいう。
「あ、ならよかったです!」
安心した様子の彼。わかりやすいなーと彼を見てほのぼのする。
そんなたわいもないことを話していると映画館についた。
映画館についてからは彼がチケットを買ってきてくれてそのまま入った。
会話と言ったら、
「ポップコーンとかいりますか?」
「ん、いいよー。何から何までありがとねー」
「いえいえ俺が誘ったので!」
くらいだ。
よくできた子だ。
映画は面白かった。想像していた以上に。
「面白かったですね!!」
映画館を出てまず話しかけてきたのは彼だった。
「うん。想像以上だったよ!」
二人で映画の余韻を楽しむ。
「もう12時半ちょっとすぎだし、お昼とかどうします??」
「あ、いいとこ知ってるんだー。ここからほんのちょっと歩くけどね細い路地に入ったところに
いいカフェがあるんだ。この時間でもすいてるよー」
私が良くいくカフェだ。
「じゃぁそこにしましょう。案内よろしくお願いします。」
「おう!任されたっ!」
細い路地。細い2階建てのおしゃれ?…好きな人には好きそうなカフェ、「ふらっと♭」につく。
ちなみに私は好きだ
「結構近かったですね」
「そう?ならよかったよ。さぁさぁ入ろう」
扉を開くとベルの音とともに、おじさんの渋い声が私に届いた。
「おおー由紀ちゃんかー。こんな時間にめずらいいね。いらっしゃい。」
この店のマスターだ。白髪でいかにもマスターって感じのダンディで渋いおじさんだ。
「マスターと顔なじみなんですか?」
彼が質問をする。まぁいくら常連でもさすがに名前まで知っててってのは珍しいだろう。
疑問に返す。
「まーねー。この店、かなり人の出入りが少ないから、そんでもって私はここの常連で、1人できた時にカウンターに座ってマスターの話し相手になってあげてるってだけなんだけど」
「へー、」
「さ!そこの二人掛けの席に座ろ」
「そですね!」
彼をとカウンター近くの席に座る。
手書きのメニュー表を見ながら彼がいう。
「メニューも結構あるんですね」
彼がいう。
「うん。結構あるよ。」
「マスターかなり料理上手だからなんでもおいしよ~」
「じゃぁ、このナポリタンにします。あとアイスコーヒー先輩は?」
「私はもう決めてあるよ」
この店はカフェとかによくあるピンポーンってするベルがないから直接マスターを呼ぶしかない、のだが決まったのを察してマスターが注文を取りにきてくれた。
私が注文をいう
「ナポリタン2つとアイスコーヒーとハーブティー1つづつ」
「かしこまりました」
マスターがそういってカウンターにもどっていった。
「先輩もナポリタンにするんですね。」
「うん、ここのナポリタンちょっと量多めでね、小さなハンバーグとエビフライもついてくるんだー。朝全然食べてないからがっつり食べたくてね」
「そうなんですか!」
する話がなかったわけではないが、なんとなく仕事の話をしていた。
ナポリタンが届くのは早かった。
「お待たせしました。」
「「ありがとーございます」」
二人そろって言う。
続いてアイスコーヒーとハーブティーがおかれる。
ハーブティーはレモンバームだと思う。ハーブティーっていえばマスターが適当にいいのを選んでくれる。」
「おぉ、レモンバーム?」
私が一応、確かめるため聞いた。
「前に出した時に結構気に入ってたからね」
ほんとに人のことを良く見てる人だと感心する。
「まえ飲んだ時にいいって思ったんですよねーこれ」
私がいう。
「ならよかった」
笑顔でそういってマスターはもどった。
「よし食べよっか」
おかれたナポリタンに手を付ける。
「すごくおいしいです!」
「ならよかったよ、ここは私が奢るから遠慮なくたべさない」
すこし恩着せがましく言ってみる。
「いいんですか?」
遠慮がちな彼が言う
「気にしなくていいよ、だって職場の後輩に映画のチケット代だしてもらったし、このままじゃ先輩としての面子がつぶれるからね」
「それじゃぁお言葉に甘えて」
昼食がすんで、店を出る。
時間は1時ちょっとすぎさてどうしようか。
「どうする?」
そんな私の疑問に彼は答える。
「俺の、俺の彼女になりませんか」
いまさらですが
百合、ガールズラブタグいれましたがほぼないと思います。
下手したら皆無です。
主人公の名前が下だけでましたね。