ー同じ夢と現実の繰り返しー
あの時の幸せな夢を見て、終われば元の聞く事しかできない世界に行き着く。そして暫く経てばまた同じ場所、同じ台詞の幸せな夢に戻って…そんな生活を何ヶ月こなしてきたんだろうか。
私は今、聞く事しか出来ない世界に居る。もう聞く能力も大分と落ちてしまった。そろそろ本当の死期は近いだろうか?
こんな事しか出来ない世界なら、こんなテンプレートに嵌った何も進展しない妄想夢を無限ループの如くずっと見るくらいなら。
もうこのループから抜け出したい。ここから抜け出す…つまりそれは「本当の死」を意味している。
本当に…死んでしまいたい。
でも、私の力では本当の死に辿り着く事は不可能だ。本当の死に到達するには、人工呼吸器を外さなければならない。動く事なんて何も出来ない今の私にそんな事は不可能。
そう思っていると、途切れたドアの開閉音が聞こえてきた。レイヤが来てくれたんだ。
「ユミ……大丈…元気、なるよ…」
音の大きさは変わらないが、途切れ途切れの声は本当に聞こえ難い。レイヤは直ぐに元気になる…と言っているんだろうか…。私は直接口で伝えたかった。
もう、二度と前みたいには戻れないんだって。