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モノクロ世界、最後の君へ  作者: 流星さてらいと。
4/8

ー現実ー

あんなに煩かった外の騒音も

身が千切れるような激痛も

嘘だったように感じない。

私は意識を取り戻した。しかし、何も見えないし、言葉を発する事すら不可能だ。ただ1つ、聴くという動作は遺されているようで、外の風の音が聞こえてきた。


私は死んだのだろうか?もしそうなら…。


私の感情が一気に「哀」で埋め尽くされる。けれど泣く事は出来なかった。どうやれば泣けるのか、それ自体を忘れてしまったようだった。

もう、レイヤとは逢えないのかもしれない。

私は一気に絶望に突き落とされる気分になる。

…と、その時だった。突如乱暴なドアの開閉音が聞こえたかと思うと、遅れて声も伝わった。

「先生!!ユミは助かるんですか!?」

その声は…レイヤ…?ユミって誰…あ、そうだった、私の名前だ。

息を荒らげながら尋常じゃない声で脅すように聞くレイヤに対し、また別の声…恐らく医者?は、こう返した。

「非常に残念ですが…手術の結果ユミさんは脳死と認められました」

「脳死…!?つまり、死んでしまったの、か…?」

レイヤは呆然とした声で尋ねる。

「法律的に言えば死んだ訳ではありません。ですがユミさんはもう、貴方と会話する事はおろか反応を示す事すら不可能でしょう」

淡々と話す医者の声が聞こえてくる。

「そんな…嘘、だ…あの時、追いつけさえすればこんな、事…」

レイヤのすすり泣くような声が聞こえた。

脳死になれば人の魂は戻ってこない。今の私の状態は魂の入っていない私の上を、私がただふわふわと浮いているだけじゃないのか…


とにかく、もう全てが終わったんだ。

私は考えるのを放棄した。それから暫くして、あの時の夢が現れるようになったんだ。

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