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第5章 said 昂 and 沙菜
沙菜。
昔とは大分変わっていた。
肩につかないくらいの髪が、今では腰につきそうなほどまでに伸びていた。
私服の雰囲気もかわってしまった。
沙菜はこっちを見て無言になっている。
俺は、沙菜に近づいた。
「・・・沙菜。」
「・・・」
沙菜は俺を見て何もいわない。
先生は不思議そうに俺と沙菜を交互に見ている。
「・・・沙菜さん。君の診察は今日は終わりにしましょう。」
「・・・はい。」
沙菜は先生と俺に小さくお辞儀をして診察室をでていった。
「・・・先生。沙菜は・・・
「沙菜さんは・・・・・・」
「それって・・・・・・・」
先生の話を聞きおえたとき、俺は何も言葉がでなかった。
沙菜。
君は一人で苦労していたんだな。
沙菜が辛いとき、傍にいてあげられなかった。
結局、沙菜は離れていったんじゃない。
俺が、沙菜を離したんだ。
said 沙菜
私は病室を出て屋上のベンチに座っていた。
(あの男の子は誰だったんだろう?)
私は空を見上げながらぼーとするのが日課になっていた。
なんだか、忘れていくことを、忘れられる気がして。
そんなことありえないのにね。
あの人は、あたしを知っている人なのかな。
なんで、私は思い出せないのかな。
思い出さなければいけないこと、あるはずなのに・・・。




