第4章 said 昂
またまた4年後・・・。
俺、水樹、千里は無事一発で進路が決まって、最後の学生生活を楽しんでいた。
水樹は、経済学部から小さい頃からの夢だった弁護士事務所に就職が決定。
千里は、福祉学部から福祉の会社に決定。
俺は、医学部から大学病院へ。
高校で進路を決めるとき、急に沙菜のことを思い出した。
あいつは体が弱く、ときどき病院に行ってたということを。
もしかしたら、医者になったら会えるかもしれない。
そう、思った。
それがきっかけだった。
大学の医学部に入って、淡々と勉強に励んだ。
難しいことばっかりだったが、充実していた。
最近、大学内を歩いていると、沙菜に似た人をよく見かける。
幻覚を見てしまうほどに沙菜に会いたいのか。
それとも・・・。
「昂!今日何限で終わり?夜飲みにいこー!最近飲んでなくてさあ」
「今日は午前終わりだけど、大学病院に顔だすからそのあとでいいなら」
「おけ!水樹も誘っとくね!」
「おう。よろしく。」
大学病院へは週に何回か顔を出すようにしている。
推薦で入るんだし、それに病院の先生の話はとても興味深いから。
すべての授業が終了して水樹と千里と合流した俺たちは大学病院へ向かう。
水樹たちも用事があったらしく、病院内で2人と別れた。
俺は外科病棟の知り合いの先生の診察室へ向かった。
その診察室へちょうど女性が入っていくのが見えた。
とても・・・沙菜に似ていた。
いや、確実に本人だった。
コンコン
俺はノックをして部屋に入る。
部屋の中から注がれる2つの視線。
1つはいつもの先生。
もう1つは・・・
今までずっと、ずっと会いたかった。
俺の忘れられない大切な人。
沙菜
だった。




