第3章
said 昂
俺たちは高校3年になった。
2年とクラスは変わらない。
俺は千里と同じクラスになったが、水樹とはクラスが違ってしまった。
沙菜がいなくなってから、もう、2年がたった。
俺は推薦で大学も他より早めに決まり、都会への1人暮らしも決まった。
千里と水樹も一般受験で同じ大学に決まった。
もしも・・・もしも、沙菜がいたら・・・。
なんて、考えることも少しはある。
沙菜は俺のことなんか忘れてるのにな・・・。
あいつを忘れられないのは俺だけだった。
水樹も千里もあいつが急にいなくなってから、沙菜の話をしなくなった。
俺に気を使ってるのだろう。
俺はとにかく沙菜を忘れようとしてコクられたら片っ端から付き合った。
いろんなタイプがいたし、性格が沙菜に近いやつもいた。
かわいいやつだって、きれいなやつだって。
でも、沙菜に叶うやつは、誰もいなかった。
俺はその中の誰にも触れることができなかった。
沙菜は・・・きっといろんな男と恋をして付き合ったりしているのだろう。
沙菜。
俺は沙菜のこと忘れることはできない。
今でも、俺は沙菜に会いたい。
もう一度・・・。
said 沙菜
ベッドから見えるのは白い天井と、窓から見える極僅かな空。
あと、もう少しでここから出られる。
あたしの残りの時間は極わずか。
ここから出たとき、
いっぱい空を見よう。
いっぱい太陽をあびよう。
いっぱい遊ぼう。
いっぱい・・・恋をしよう。
あたし自身が時間切れになるまでに・・・。
ずっと夢にでてくる彼はとっても光っている。
ときどき、彼はあたしの名前を呼ぶ。
名前も、顔もわからないけど、君は・・・あたしの大切な人なのかな。
君は・・・だれ?




