第2章 said 沙菜 1/3
あたしたちは高校生になった。
変わったことはあんまりない。
家族との関係。
昂との心の距離。
でも、少し変わったことがある。
それは・・・
ピーンポーン
(きた!)
「はーい!」
鞄をもち、走って玄関までいく。
靴を履き、ドアをあける。
自転車をまたぎ待っている人。
あたしの大切な人。
黒髪に、170cmと長身の彼。
ハーフの青い目をした彼。
「・・・おはよ。早くのれ。いくぞ」
「うん!」
昂の自転車の荷台にまたがる。
いつからか昂の後ろが当たり前になっていて、景色が、感覚が、風が。
これからもずっと・・・
そう、思ってた。
「もーつくぞ」
「うん」
昂に返事をして荷台から降りる。
自転車を昂がとめ、靴箱で靴を変え、何気ない話をしながら教室へ向かう。
昂が席についた瞬間に殺到するクラスメートたち。
あたしは自分の席について、昂たちを眺めていた。
「おはよ!」
そう、声をかけてきたのはクラスメートであり、高校での初めての友達。
成田 千里 (ナリタ チサト)
千里から声をかけてくれて、だんだん仲良くなった。
「おはよ!」
「さなぁー、英語の予習写させて?♡」
「いいよ笑」
鞄の中に入っていた英語のノートを千里に差し出すと、あの人ごみから中心人物である、昂があたしのところにきた。
「俺も」
「じゃー俺も!」
昂に続いてやってきたのは、橘 水樹
この2人は学年でトップといっていいほどのルックスの持ち主で、もちろん、女子しはモテまくり。
さっきの人ごみは2人がこっちにくると、すぐになくなってしまった。
結局あたしのノートを三人で囲むことになっている。
昂なんか見なくてもすぐ終わるのに、なんでわざわざ見るんだろ。
最近はこの4人でいることがほとんどだった。
そんなんで授業が終わり、帰りのSHRが終わった。
四人でラーメンを食べてからいえに帰ると、リビングの明かりがついている。
(え・・・)
リビングには人の影が2つ。
少しドアをあけ覗いてみるとお父さんとお母さんが話をしていた。
「・・・は、・・・言わなければ」
「・・・東京・・・」
「・・、・・・、」
途切れ途切れにしか聞こえないけど、たしかに聞こえたこと。
それは、
東京
転校
この日、あたしの人生が大きく変わった。
~☆~☆~☆~
幸せが日常になり始めた頃
この幸せがずっと続くと思っていたから
もっとこの幸せを噛み締めておけば
そう、後悔した。
高校の夏の出来事だった。
~☆~☆~☆~




