おまけ 斧のおっさんの視点で試合を見てみよう
あくまでおまけの時間稼ぎです。
◆◇◆斧のおっさんの視点◆◇◆
ちっ、なんでワシがこんな茶番に付き合わなければならんのだ。
他のやつも、ガキが訓練場をうろちょろするなんて気に食わんはずなのに。
誰も試合に出ると手をあげやがらねえってのはなんなんだ。
消極的なやつばっかりで困りもんだ。
ガキ相手だから誰が出ても似たようなもんだってのに。
おかげでワシが出る羽目になっちまったじゃねえかっての。
まあ、ぺぉいくjyhtgrふぇdwsくぁはガキの頃に多少はかじったし、それから冒険者にもなって強くなった。
俺とてガキ相手に遅れを取ることなんてありえんだろう。
が、さっきはやばかったな。
接触プレイ禁止のルールってのがやりにくったらありゃしねえ。
足でボールを扱うなんて変わったことをするガキだと思っていたが。
まぐれに違いないが、俺の斧の届く範囲を正確に見切ったように弧を描かせてボールを浮かせた球でゴールを狙いに来やがった。
まあ、シュートが外れたからよかったようなものの。
点を取られたら守備役の俺のせいになるからな。
そんな心配しないで済むようにさっさともう一点でも二点でも取って試合を決めてほしいもんだ。
だいたい子供相手に攻め込まれるなんてあいつら二人とも気を抜きすぎてるのう。もちろん手も抜いてるだろうがな。
まあ、そうでもしないと俺の居る意味もないってのもわからんでもないが。
あいつらにしても、真面目にヤル気は起きないっていうのもわからんでもないがな。
おっ、また、こっちのチャンスだ。
がはは、ゼヌアフのやつ、遊んでやがる。
相手は、子供だからな。大人の冒険者としてはそんなに背が高いってわけでもないゼヌアフだが、子供相手になれば、本気を出せばボールなんて取られるわけがない。
風のうわさだが、あいつはかつてはぺぉいくjyhtgrふぇdwすぁqのプレイヤーだったって聞いたこともあるような。
ほら、ガキども。反対側のバリーズがフリーだぜ。
ケアしないでいいのかよ。
ボールに群がるなんざ、ガキのぺぉいくjytrふぇdwsくぁの典型的な展開じゃねえか。
いわんこっちゃない。
ゼヌアフの出したボールがバリーズに渡ったじゃねえか。
守備に残っているのは、ピジュの姉御ただ一人だ。
厄介な相手っちゃ厄介な相手だ。
が、このルールなら問題ないだろう。
素早さではバリーズの方が上だ。
普通のルールでやりあうことを考えたらバリーズでは荷が重い、というか、姉御の鉄壁の防御を潜り抜けられるやつぁまあこの訓練場にはいないわな。
俺や、ゼヌアフも含めて。
が、ラフなプレイが禁止のルールだ。
スピードなら姉御よりも、バリーズのほうが格段に上のはずだ。
さっきのガキがやったみたいに、フェイントでも入れて……。
げ、姉御……。
今の殺る気での攻撃じゃねえか! 本気で斬りに行きやがった。
バリーズが防御してなかったら、骨の一本や二本は逝ってたぞ。
まあ、バリーズもまざまざと食らうほどの実力はしちゃいないが。
それを見越してのバリーズへの一撃か?
ラフプレイだが、ギリギリルール内だ。やることがえぐいぜ。
で、ボールを拾ったのは男の方のガキか。
スピードだけはあるんだよな。あいつ。
ゼヌアフもバリーズも追いつく気もねえから、真面目に追わねえし。
いったんお嬢ちゃんにボールを回すのか?
おう、パスでもなんでもしやがれ。
どうせ、俺が相手をすることになるんだ。
お嬢ちゃんが来たらどうしようかと思ったが、ボールを持って向かってくるのは蹴り技使いのガキだな。
女の子の前でいいかっこがしたいのか。
さっきは、あの変な浮かすシュートで決められそうになったが、そうはいかねえぜ。
ゴール前で陣取ってたら、どんなにボールを山なりに撃っても、俺の斧で叩き落とせる範囲でしか飛んでこねえだ。
かといって速度や威力で俺の守備を崩せるわけもねえ。
さあ、どう出る? がきんちょ。お嬢ちゃんにいったん戻すか?
が、そろそろ、バリーズもゼヌアフもさすがに戻ってきているぜ?
あっ、あいつ。
思いっきり蹴りやがった。
「なにしやがる!!」
俺は思わず怒りを込めて叫んでいたさ。
ガキの蹴ったボールは俺の腹に見事に命中しやがった。
鎧におおわれているし、ぺぉいくytrふぇdwさqのボールぐらいじゃダメージもなけりゃあ痛くも痒くもないが。その行為が腹立たしい。
「ごめんなさい!」
口では誤ったが、このガキ、絶対にわざとだろう。
それよりボールだ。
転々と俺の足元を転がっている。
ガキよりも俺のほうが近い。加えて俺には斧がある。
微妙な線だが、俺のほうが先に触れるだろう。
俺は斧を振りかぶりながらボールへと駆け出す。
ほらよ! っと俺は斧でボールをクリアしようとしたが。
その場にすでにボールはない。ガキの足だけだ。
俺の斧はボールに対しては完全な空振りだ。
このガキ、滑ったのか?
確かに、足を延ばしながら滑れば、ボールには早くたどり着けるが。
奇想天外なプレイをする奴だ。
「ルーナ!!」
まずい。
ボールは、お嬢ちゃんの方へ、ゴール前へと向かっている。
今から行っても間に合わんな。
「任せてください!!」
思ったとおりだ。
なりは小さいが、お嬢ちゃんの剣裁きも、子供にしちゃあレベルがそこそこだ。
あの距離でならシュートは簡単に決まるだろう。
ほら、決まっちまった……。
「兄様! やりましたわ!!」
「どうだ!! これで同点だ!!!!」
ガキどもは調子に乗っているようだが。
俺たちはまだ本気になんてなっちゃいねえんだぜ。
それよりも、二度と攻め込んで来れないくらいゼヌアフとバリーズにはっぱをかけて攻め続けさせてやるか。5点でも10点でも取れるだけ点を取ってやろうぜ。
間違ってもこの訓練場をガキの遊び場にしちまうわけにはいかねえんだからな。