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『Newgame』


「アレン、次どこに行く?」

「僕は『NewCity』がいいな。武器のアタッチメントアンロックしたいし」

「じゃそこで」

 そういって僕と相方、『ニア』はゲームを先に開始する。僕は少し準備に時間がかかるから先に行ってもらった。触れてなかったスナイパーライフルのある限りのアタッチメントを取り付けてから参戦するからだけど、所詮はありあわせ。なかなか思うような仕上がりにはならないけど、まぁいいだろうと軽く妥協する。

 そして僕もマッチングに参加する。

「ニア、激戦区は?」

「おそらく中央のフラグ地点。まぁこの先取試合だったら何とかなるんじゃない?」

「了解。すぐに行くよ」

 僕は自分のアバターで最短の距離を走り抜けた。とは言っても激戦区に単騎突撃してもせいぜいちょっとした邪魔にしかならないだろう。

 だから、かなり大回りをして。完全に背後を取る。そうすれば、気付かれる事のなく敵の状況を崩すことができる。

 サプレッサーをつけて撃ってる分にはなかなかばれないだろう。

「殲滅開始するよ」

 弾道予測、偏差射撃にて次々と弾を放り込んでいく。

 もちろんスコープに映る敵アバターは、皆一様に頭から血を噴き出し、僕の画面には『KILL』の文字。見た感じこのマッチングは人数が多いだけ、それこそ野良試合のようなものだった。

 だから、なかなか僕は死ななかった。

 画面に映る影はあと十人弱。いったん構えを解いて影の茂みに隠れる。

「あと十人弱」

「ありがとうアレン。あとはこっちでどうにか殲滅できそうだね」

 そうじゃなきゃ僕は君とコンビ組んでないよ。と言いそうになったが、それは無粋だろう。と笑ってごまかした。


『YOU WIN !』


『アタッチメントが開放されました』

『このゲームエース小隊です』


 次々と現れるポップアップはもう見慣れた。おそらく同じようにニアのほうにも現れているだろう。

「当然だったね」

「アレン、トップなんだ……というか、相変わらずスコアが気持ち悪いことに」

 画面に映っていたのは自分のスコア。これももう見慣れていた。

 だけど。


「ん…………? アレン、おまえにもメールが来てる?」

「メール? んん、あぁ。来てたよなんかわからないけど」

 メール確認のためにいったんマッチングを切断し、メールを確認する。そこには、『招待状』と書かれていた。


「招待状?」

「アレンも招待状? おかしいなぁ、迷惑メールかな」

「んー……。僕が開けるよ」


 届いた招待状を解凍ソフトに掛け、開封する。

 そこには、『ようこそ!』と書かれていた。


「このゲームのルールは簡単。敵を殲滅すること……なんだこれ。URLも何も貼ってないぞ」

「そうなの? ……あ、本当だ」


 内容は無いようですって? やかましい。これじゃわざわざ解凍ソフトに掛けた意味だ。ただの迷惑メールじゃないか。


「アレン。どうする?」

「専売文句ならなかなか惹かれたけどね、意味が無いならまた話は別」

「同じく。」


 僕らはおそらく、同タイミングで、届いた招待状をゴミ箱にドラッグしておいただろう。

 それからというものの、なぜか敵が馬鹿みたいに柔らかかった。


 僕はベッドに寝そべり、頭から離れない招待状のことともう一度考えていた。なんであのタイミングで送られてきたのか。そしてあの無い容。忘れにくいといえば忘れにくい。

 だけど睡魔はどうしても襲ってくる。今日は一日中ゲームをやっていたからか目が痛い。

「なんだったんだろうな……」


 そうポツリと呟いて、僕はゆっくりと目を閉じた。



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