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砂に惑う 他
砂に惑う
葡萄酒の皮袋は破れ
ヴィオロンの弦は切れ
あらせいとうの花束は風に散った
いっそ砂となってしまえば
乾きにえづくこともなかろうに
失くした鰭
灰色の街
降り続く雨
びしょぬれになって
小さな窓からのぞくのは
波形をした海硝子の夢
「ああ、君も帰りたいんだね」
窓
友達は手を振る
恋人達は愛を誓い合う
少年は夢を見出す
天文学者は宇宙を見通す
学生は鉛筆を折る
子猫はまどろむ
カーテンは洗濯物をうらやむ
小説家は妄想する
は、窓の外から見てる。
君を、
今。