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ムッツリと純粋

R15かと思われます。お気をつけてください。



 四季があり自然が豊かで魔術が盛んなスーリアス王国ーーー



 この国は昔、同盟国との関係や領土拡大など様々な理由で無益とも言える戦争が起こり多くの国民の血を流した。



 しかし現在では他国との貿易が盛んであり、また自然が豊かな国として他国からの旅行者が多く訪れる。


 現在は魔術を用いた争いはあまりなく、かまどの火をつけたりなど生活の一部としての魔術のみの使用のみに限られている。もし他人に害を及ぼしたり利益を追求する者には厳しい罰則が加えられる。ほぼ全国民が簡単な魔術を使えるが特に秀でた者は魔術学校で学び、卒業後は隣接されている王立魔術研究所、もしくは王立騎士団で騎士として従事する。


 現国王であるリルドア・ヴァン・スーリアス陛下は他国との戦争からこの国を平定させた国民の強い支持を得ていて、陛下自身も温厚でありつつも頭の切れる人物と噂され、国民を大事にした政治を行う事を公言しまた実行している。

 

彼には2人の息子がいて長男は王立騎士団の第3隊長を勤め、均整のとれた体型や外見だが女に興味がなく執務に明け暮れる日々を送っていた。また、次男は愛くるしく社交的であり魔術に長けているため今後はこの国を担う一員となることが約束されている。




 ー*ー*ー*ー



 ベッドサイドに花瓶に生けてある一輪のユリの花が優しく光っていてその照明しかない薄暗く静かな一室に真由子の寝息だけが響いていた。


 男は足音を忍ばせて近づきギシリとベッドを軋ませ枕元に座る。仰向けになって子供のように無防備に寝ている姿に無意識に笑みがこぼれる。長い黒髪を優しく梳いていると「んっ....」と真由子はその男の手へ顔を擦り寄せた。


 思わず手を引っ込めようとしたが、頬のやわらさと温かさにまだ触れていたいという気持ちが勝った。親指で少しだけ開いているやわらかな紅い唇をなぞった。そして真由子の顎をクっとつかみゆっくりと顔を寄せ、しばらくの間その柔らかい唇と逃げる小さな舌を追いかけ口内を深く貪った。ぴちゃり、ぴちゃりと部屋にはただ濡れた音と息苦しさから逃れようとする真由子の小さな声が響いていた....



「んむ....ふぅ」


 ハッと我に返ると真由子が苦しそうに身を捩ろうとしている。思わず我を忘れていた自分に苦笑いし、まるで無意識に赤ん坊のように吸い付いてくる唇からチュッっと自らの舌を引き最後に唇をツツッと撫でた。



 顎を持ち上げ上を向かせ、左の首元にある薄い水色の花びらのような形をしたアザに目をやった。このアザは最初に会った時にはなかったものだ。指でアザを一撫でして立ち上がり、さらりとした黄金の髪をかきあげ静かに部屋を後にした。





 ー*ー*ー*ー



 コンコン


 コンコン


 少年は何度か扉を叩いたが返事がないのでゆっくりと、繊細な彫刻されている重い扉を動かした。



 寝ている真由子を起こさないよう静かにベッドサイドに寄ると何だか苦しそうな顔をしているように見えので熱がないかと確かめた後、何か嫌な夢でも見ているのだろうと思い少年は片手をユリの花にかざした。すると白く優しく照らす花が揺れ一瞬だけ淡く光り輝いた後に、ふわりと様々な花の香りが部屋に広がった。この香りはこの世界の貴族の間で流行っている香りだ。


「......げ、あいつここに来たな」

 香りを飛ばす前にかすかに感じた違和感は魔術がすぐれている少年だからこそ感知出来た。不快感をあらわに忌々しそうに呟いた。


「真由子さーん。また美味しいご飯作ってね?......本当に、美味しかったんだから」

 そう言ってさっきまでの苦虫を噛み潰すような顔からは想像がつかないくらいに微笑み、真由子に甘えるようほお擦りをしてじゃあねーと去った。




 最後の一言だけはこの広い部屋には少し寂しそうに聞こえた.....



 ー*ー*ー*ー




 その頃ベッドに寝ている本人は......


 じっくりと焼いた餅にウハウハ言いつつ海苔を巻いて砂糖醤油を付けて食べていたところ喉に詰まらせ苦しんだり、デパ地下で買った輸入の花やハーブの香りのジャムをバゲットに付けて食べたりと、食い意地のはった夢ばかりを見ていた。






少し短くてすみません。評価が1000ptを越えました。ありがとうございます!

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