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開けごま!

 綺麗で不思議な夢を見た。


 人魚が青い海の中で気持ち良さそうに泳いでいた。尾びれは薄いピンクなのだが光の加減によっては白銀にもとれる。胸は白い真珠の殻で隠されていて、脚まではあるであろう長い黒髪は身体にするりと巻き付いたり水中に漂ったりしていた。



 神秘的すぎて言葉がでなかった。



 しかしその人魚と目があった。彼女はにっこりと微笑み口をパクパクさせて何か言っているようだった。けれど口からは泡しか出ず水中にダイヤモンドが散っているようにみえた。



 ー*ー*ー*ー




「なっ!みゃぁなうぅぅ」

「にゃう」

「んにゃああぁ、なうんっ」

「なう」

「みゃうん、にゃー」


 何やら聞こえてきたのは猫2匹の声。私はハッと目を覚ました。天井をみると部屋の天井と電球が見えたのでうちの家だと起き上がろうとした。するとそれに気付いたかまぼこがタックルを仕掛けて来た。


「にゃぁあぁ!」

 ぼふっ


 布団に着地し顔を覗き込んでくる。心配してたんだよ、と揺れる瞳で訴えて来た。さっきの英臣との出来事を思い出し、かまぼこをぎゅっと抱きしめた。


「ありがとかまぼこ」


 猫に心配されるってどんだけダメな人間なんだ.....と、軽く落ち込んだ。



 私は思い出したようにさっきの金髪の外国人っぽい男の人に考えをめぐらせた。あの人が私をうちに送ってくれたってことだ。保険証や免許証の住所でも見て運んでくれたんだろうか....慌てて財布を確かめるとちゃんとお金もなにもかも盗られていないようだった。いい人で良かった!見ず知らずの人の前で意識をなくすなんてヘタしたら犯罪にまき込まれてたかもしれない。

 金髪に紫の瞳、近寄り難く誰しもを従えるオーラを纏っていたあの金髪男は誰なんだろう。少し社長と似てるな。高貴な感じとか..... 





 そこで思わず冗談で言ってしまった。この一言が自分の人生を変えてしまうと知らずに。




「社長ー!さっきのは社長でしょ?あの時私、少しテンパってたんだ。ありがとう」



 猫2匹がピクッと動き両者は一瞬アイコンタクトをとったようにみえた。私は特に気にもせずかまぼこを撫で続け「さっき社長がねー」と話していると社長がいたラグの方から声がした。



「ほらみろ。お前が助けに行けなんて言うからだ」


 え?


「だって真由子さんが困ってるとこなんて見たくなかったんだもん。それに僕みたいな子供が行くより兄様が行った方がよかったでしょ?やっぱり。あの雰囲気はちょっと僕には無理だしー」


 え?


「この二重人格が.....」舌打ちの音さえ聞こえた。



「ちょ、ちょっと待って?何で猫がしゃべってるの??」

 私は新たな事態に錯乱状態寸前になりながらもとりあえず冷静になろうとしたが、今度はそこでしまった、という顔をしたのは社長だった。


「.....お前は俺に気付いたんじゃないのか?」



「気付くって、え?ただあの男が社長と同じ感じだから冗談言ってみただけなん、だけど....?」

 目の前で起こっている不可解な出来事にダラダラ汗を流しているとかまぼこがベッドから飛び降り社長の元へ行きこっちを振り返った。何だか少しだけ申し訳なさそうだけど目は爛々と輝いて喜んでいるようにもみえる。


「あーあ。真由子さんに気付かれちゃった。あのままスルーしとけばいいのに兄様が話しかけるからだよ。僕の責任じゃないからね」


「......。」


「こうなったら連れて帰るしかないよね!姿バレちゃったし」



 ”ぼふんぼふん!”



 以前も聞いたいきなり何かが弾けるような音を耳にして目を開けると、まさにさっき見かけた金髪男と私と同じくらいの身長のこれまたかっこいいけどかわいくもある中性的な顔立ちの黒髪金目の少年がいた。2人とも見た事のないような服装だ。金髪の男はさきほどのスーツではなくダークグレーのシャツに同色のズボンそして膝までの黒いマントを軽く羽織っていて、少年はおとぎ話の魔法使いが着るような足首までの真っ黒のマントを着ていた。金髪男の腰に重そうに鎮座しているのは紛れもなく銀と紫の宝石みたいあのが輝く鞘に守られ凶器、長い剣ではないだろうか.....



 私がしげしげと見つめぶつぶつと「かまぼこと社長?いやいやそんな」と呟いていると、黒髪の少年が近づき少し大きな両手で私の右手を包んだ。



「ごめんね驚かせてしまって。このことがバレたら真由子さんを僕たちの世界にすぐ連れて帰らなきゃならないんだ。じゃなきゃ真由子さんの存在がどこからもなくなってしまうんだ」


「へっ?」

 まだ頭がうまく働いてないせいか声が裏返ってしまった。


「だからね、この世界で真由子さんを覚えている人間が誰もいなくなる上に真由子さん自身も跡形もなく消滅しちゃうんだ。だからすぐにこっちへ来て。ね?」

 小首を傾げる可愛らしい仕草が、少年とかまぼこをダブらせた。



「真由子はもしかするとあの存在かもしれないんだ。気付いたでしょ?兄様も。真由子の首元のアザ」


「.....まだ決まった訳じゃないがな」



 後ろの金髪男は腕を組み眉間にしわを寄せ横を向いてまるで自分は関係がないという風を吹かせていた。しかし少しだけこちらを見たが目が会った瞬間眉間のしわをさらに深くし、パッとまた横を向いた。なんだなんだ?



 まだこの事態が掴めず唖然としていると少年がにっこりと笑い、右手を顔の前にフッとかざした。その瞬間、私は急に眠気に襲われ再度暗闇へ意識を奪われてしまった。









 片岡真由子(25)

 最近身につけたスキルは、気絶。


 猫を拾った時点で開けてはいけない扉へ一歩踏み出してしまった。







さて、トリップしちゃいます。ようやくです。



まだまだどうなっていくか分かりませんが、猫ではなく人間になったのでラブ注入!していこうと思います。今後もよろしくお願いします。

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