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土曜日(前編)

 もぞっ、もぞもぞっ


 なんだかさっきから首元がむずむずする。久しぶりに心身共にリラックスして惰眠を貪っていた真由子は恐る恐る目を開いた。すると、


「.....すぴッ」


「!」

 横向きで寝ていた私のパジャマの中で社長が眠っていた。首にさらりとした毛があたり鼻息はなんとも愛らしいと思いつつも、よほど疲れたのか一向に目を覚まさない。てゆうかなんでパジャマの中?下から潜り込んだ?それにしては上のボタンが2つはずれてるしなどボーっと考えていると、


「んにゅふっ」

 私に腕枕をされているかまぼこは起きていてまたニヤニヤ笑いしている。毛並み柔らか黒猫さんの気品が....


 いつからしてるかわかんないけど2匹の猫を腕枕してるような状態で手が疲れてきたし、そろそろ11時になるし起きようとしたところ、社長がハッと目を覚ました。


「フギャ!」

「痛っ!いたた、社長落ち着いて!」


 ビックリした社長がガリッと首に爪を立ててきた。まだ混乱してパジャマの中でもがいている。ててててててっ!と手足のパンチをくらいお腹や胸が痛い。これは首元に引っ掻き傷ができただろうなぁ.....


 社長はかまぼこの「にゃうーん」という一言でピタッと止まりそちらを睨んだ。そしてパジャマの首もと部分からするりと出て行き振り返り、申し訳なさそうに目を伏せ首の傷をひと舐めした。少し痛んだけど、その後傷の部分がジワリと温かく感じた。


「?」

 なんで温かいんだろ?


「.......。」

「まあいいか。ありがと社長さん」

「.....ぅなん」


 ベッドから降りてソファへ向かう優雅な猫にお礼を言うとそっけないけど返事はちゃんと返って来た。

 にゃむにゃむ言いながらてててっとそれに付いて行く黒猫を尻目に鏡で首をチェックしてみると血が出てたと思ったけど赤くもなっていない。



 寝起きの真由子は猫マジックだと信じて洗濯物や観葉植物に水やりをした。





 さて、今日はブランチだ。餃子の皮と林檎があるのでアレを作ろうとしたところバターがなかったので猫に留守番を頼み財布を持ってコンビにへ向かう。



「ただいまー」


 ぼふんぼふん!


 なんだなんだ?2匹そろってお、おなら...?

 いやいやそんな、と考えてるとかまぼこが「にゃうん」とお出迎え。くー!しっぽをピンとして擦り寄ってくるなんて愛いやつめ。居間では不機嫌そうな猫がソファに寝そべりしっぽをバシバシ揺らしてこっちを見ていた。か、貫禄が....



 まず林檎を小さく切りバターと砂糖で煮詰める。少しとろみが出てくるまでじっくりと。そして最後に火を止めシナモンを入れ混ぜる。いい香りがキッチンに漂い、猫2匹がキッチンにあるテーブルの上でお座りして興味深げに観察してきた。

 そして残ってた餃子の皮に包んで、油で揚げると....アップルパイの出来上がり!!簡単なんだよねー



 これにダッツのバニラアイスをトッピングしてコーヒーを飲む。


 猫用にも小さいやつを作った。シナモンは香辛料だからいいのかわかんないけど試しに少しだけ入れたらとても好評みたい。




 2匹とも匂いを嗅いだあと、ぱりぱりハグハグしながら食べミルクを飲み、かまぼこはおかわりの催促の、鼻で皿をこっちに向けてきて上目遣いで小首をかしげて「にゃぁ」、を実行してきた。

 社長はズイっと皿を手で差し出すだけだったけどそのふてぶてしさが最高にかわいかった。



 人間は動物の誘惑に弱いだめな動物だよね。うん。





 お腹いっぱいになってソファでごろ寝。かまぼこは仰向けになった私のお腹の上でごろごろしている。ごろごろするっていう言葉のごろごろって、寝る子の猫のゴロゴロとなる喉の音だと思うなぁ。




 社長はベランダに出て外を見つつなにか考えている様子。2階だけど落ちないか心配だ。よっと起き上がりかまぼこをソファに乗せ、社長を赤ちゃんを抱くよう横向きに抱っこした。


 相変わらず無言でクールなにゃんこだ。





「外に出たい?でもダメだよー。ここは車が多いから危ないから.....ごめんね。我慢してね」



 チュっ


「!」

 社長にキスするとビックリされた。両手としっぽがピッと固まる。



「ウにゃう!んにゅう!」

 なぜか足下に走ってきたかまぼこが抗議しているように鳴いている。なので目を泳がせている社長をおろし、かまぼこを抱っこして「いつもお迎えありがと」と、チュっとキスしたらたいそう喜んでるようだった。






 のんびりとした午後の春の風ががまるで私たちを包むように吹いていた。





あのアップルパイはよく作ります。ラクチンです*



あ、活動報告のとこに小話書きましたのでよければぜひまた見て下さい。お題は「電子レンジ!」です!

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