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甘えん坊とクール系

 笑う不気味な子猫を尻目に、大人しくなった猫を洗い始めた。このにゃんこ様の名前なんにしようかな。この綺麗な毛色だからなぁ。なんかゴージャスな名前がいいよね。


 泡でわしゃわしゃしつつ考えていると突然ひらめいた。


「社長っ!あなたの名前は社長だよー将来出世しそうな感じ。かまぼこと仲良くね?」


 シャンパンゴールドの毛色と長いしっぽ、何だか動きも気品あふれる堂々とした感じ、知的な紫の目。イメージはIT企業のやり手の若い社長だ。

 2匹の猫はきょとんとしていたが、何度も「君は社長」と言っていると理解したようだ。賢い猫たちだな。



 最後に手足の泡を落とす際に、膝の間で挟まっていた社長のお腹を左手で抱き寄せた。すると身体が少し固くなった。ん?胸があたった気がしたけど嫌だったのかな?目に水でも入ったのかな?なんでかまぼこはまた不気味に「うにャうにゃ」言い始めたんだろ?


 それから2匹の猫を浴槽のふちに座らせ素早く髪や身体などを洗って、浴槽に浸かり社長を体育座りした膝の上に乗せた。こっちを向けたときちらりと顔や胸を見た後は私の後ろや天井辺りに視線をさまよわせている。


「んにゅう、みゃうっ」

 かまぼこはお湯をはった洗面器の中でのんびりしていたが、手で水をパチャパチャさせどうやらかまってほしい様子。もうどうにでもしろという感じの社長を今度は洗面器の中に入れ、かまぼこを抱えた。



 てしっ、ペチっ、ぷにゅ、むにむに....

「あっ、かま...ぼこッ、もーまた。いつもいつもやめなさいっ」



 最近、甘えん坊にゃんこは私のお腹や胸をむにむにするのがお気に入りらしい。それにお風呂に入れるのは今日で2度目だけど、ご飯を食べた後や一緒にベッドで寝る時はいつもくっついてくる。こんな小さな子猫が外に1匹だけっていうことはどう考えてもネグレクトだとしか思えない。寂しいんだろうな。

 だからって直に胸を執拗に触られたり顔を谷間に埋め動かれると妙な気持ちになるからやめてほしいけど。決してそんなプレイじゃない!と心の中でつっこんでみる。


 ふと社長を見ると驚いたようにかまぼこ(と胸)を見ていて、目が合うとすぐに逸らした。何だろう?




 ー*ー*ー*ー




 ふぅさっぱり。今日は金曜日。土日は休みでゆっくりできるから夕食の餃子を作る。社長のことで後回しにしちゃったしね。


 餃子は焼いて冷凍したり水餃子にしたり上げ餃子など色々出来るから便利料理だと思う。材料はひき肉とニラと春キャベツ、にんにくとしょうが。醤油と塩こしょうと酒で味付け。

 猫用に水餃子を作ろうと思うから、ニラとなどは省いたのも作る。



 フライパンからガジガジ焼けてくる音が聞こえてきた。さっきから2匹が興味深そうに見ている。蓋を開けると水蒸気と匂いの強さに驚いていたようだ。

 白いほかほかのごはんと卵と小松菜の中華風スープ、それと焼き餃子はポン酢で食べる。


 2匹には薄味の水餃子を小さく刻んだもの。かまぼこはまだあまり食べれないみたいだからミルク中心。




「いただきます。なんかいいね、みんなでご飯食べるのって」

「にゃう!」

「.......。」



 クールな感じだしわがままなのかな、と思ってたけどちゃんと社長も食べてくれた。何だか食べ方がたどたどしいけど、今までどうやってごはん食べてたんだろ?首輪もないから野良だと思うし自分で獲物捕まえてたりしてたんだろう。あんなに品がいいのにたくましいなぁ。

 あっという間に食べ終えた私たちは食後の1杯を楽しんでいた。今日は爽やかなダージリンのストレートティー。かまぼこはソファに座ってる私の膝の上で喉を鳴らし寝そべっていて、社長はラグに寝そべりこっちを見ている。



 ここ数ヶ月は仕事関係で土日も心のゆとりがなかったから、プロジェクトから抜けて正解だったのかもとぼーっと考えてはいけない事を考えてしまった。プロジェクトに入ったら入ったで嫌がらせじみたことをしてくるいい歳した大人たちを情けなく思い、ストレスは増えてリラックスなんて出来なかったしなぁ。

 何だかまたウルッときてしまった。


「ダメな人も多くいるよね。せっかくやりたいプロジェクトに入れたのに若すぎ、何より女だからってさ。生まれで差別するってのはどうなの。変えられるものじゃないじゃないよねぇ?それに努力してない訳なんてないのに」


「ぅにゅぅぅぅ」

「.......。」


 それから少し仕事の愚痴を聞かせてしまった。


「ごめんねこんな話。かまぼこ、社長、この土日は思いっきりのんびりしようねー美味しいものいっぱい作ったげるね」




「なぅ」

「........。」


 慰めてくれたり話を聞いてくれたりしてるみたいでなぜか安心できた。

 

 そんなこんなで金曜日の夜はゆっくりと静かに更けていった。





 ーおまけー



 ちなみに今夜はいつも胸に顔を埋めて眠るかまぼこが枕横でさっさと丸まった。ベット横にいる私とソファでうとうとしている社長を見つめてくるってことは今夜は社長を抱っこしろという事らしい。サムズアップ!僕の代わりに優しくしてやって?とは優しい子猫だ。


 逃げようとする社長を捕まえると、最初は「にゃうーうー!」などもがいていたが「野良は大変だったよね?今夜は甘えていいんだよ」と、胸にむぎゅっと押し付けて背中や喉を優しくなでているとやがて大人しくなった。


 なので今夜は(嫌がる)社長を(無理矢理)胸に抱っこして眠った。







動物と一緒に寝るとあったかくてすぐ眠くなっちゃうんですよね。


しかしムッツリだよなぁ社長。きっとお風呂のむにむに事件も人間だったらなんとも言えないことになってたんじゃないかと.....


また更新出来るように頑張ります(^^)


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