へびくんとかえるくん
ある日、森のなかに一匹のへびがいた。へびくんだ。
へびくんは言った。
「かえるくん、どうしたのかな。」
かえるくんとは、へびくんの旧友である。かえるくんとはもう三年間も会っていない。
一体二人はどうしてわかれてしまったのか。
~三年前~
二人は夕焼けに照らされながら、仲良く遊んでいた。
「もう帰らなくちゃ。」
かえるくんはへびくんに別れを伝え、家のほうへ走っていった。
「バイバ~イ!」
へびくんは、走っていくかえるくんに手を振った。
~その日の夜~
へびくんは、テレビを見ながら父の帰りを待っている。
ちょうどその時、父が帰ってきた。
「ただいま~。今日はごちそうだぞ。」
ごちそうと聞いて、へびくんはよだれが出る。
(なんだろう。ハンバーグかな、それともカツ丼?)
いつも父は、スーパーの半額商品を買って帰ってくる。
へびくんは、何よりそれが夜の楽しみだった。
しかし今日は違った。
父が手に持っていたのは、スーパーの半額商品ではなかった。
へびくんは驚いた。
なんと、父が手に持っていたのはかえるくんだった。
(ほ、ほ他のかえるじゃない。あれはた確かにかえるくんだ。)
「どうした、まさかあまりにも嬉しすぎたのか?。」
呆然と立っているへびくんに父は問いかけた。
へびくんは、
「う、うん。」
と言いながら苦笑いをした。
(どうしようどうしよう。友達だと伝えて逃がしてもらう?だめだ。今まで秘密で、かえると遊んでたって知られたらただじゃすまない。こうなったら・・・)
へびくんはいきなりかえるくんを父から奪い取り、玄関のドアをあけ、外へ出た。
へびは走った。必死になって走った。
(あと少しでかえるくんの家だ。)
安心したと思った次の瞬間!
「わっ!」
へびくんは木の根っこにつまずいて気絶してしまった。
~しばらくして~
「うーん。」
へびくんは自分の部屋のベットで目を覚ました。
「はっ!かえるくん‼。」
へびくんは、かえるくんのことが心配になった。
(どうしよう。かえるくん、おうちに帰れたかな。)
とりあえずへびくんは、リビングにむかった。
するとそこには父と母がソファに座って話していた。へびくんはとっさにものかげに隠れた。
「どうして、あのかえるを逃がしたんだろう。」
「あんなに必死なのには何か理由があるんじゃないかしら。」
「本人に聞こう。」
父と母はそう言い、へびくんの部屋に向かおうと立ち上がった。
へびくんはヤバイ、と思い急いで部屋に戻った。
ガチャ
ドアが開き、父と母が入っててきた。
「どうしてかえるを逃がしたんだい?」
父が問う。
へびくんはしばらく黙り込み、重い口を開いた。
へびくんは、今まで内緒にかえるくんと遊んでいたことを話した。
「なんで、あれほどかえるとは遊ぶなと言ってきたのに約束をやぶるんだい!」
「もう二度とかえるとは遊ぶな!じゃないと彼がどうなってもしらないからな!」
両親はかんかんだ。
(どうしてかえるくんと遊べないんだ!へびでもかえると遊んでいいじゃないか。僕がカエルならよかったのに。こんなことにはならなかったのに。)
へびはそう心の中でつぶやいた。
あれから三年。
へびくんは、森を歩いている。
「今日も、池にいないのかな。」
へびくんは、あれからずっと、かえるくんがよく待ち合わせ場所にしていた池に通っている。
池についた。
するとそこには緑色のかげがあった。
「やあ、へびくん。」