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2人の令嬢~婚約編~ 31

体調不良で更新止まってました・・・!

またぼちぼち連載更新していきます!

王宮の庭園で開かれていた懇親会も、そろそろお開きの雰囲気である。

ここで出会い交流を深めた令息や令嬢達が、互いに別れを惜しみまたの再会を約束しあう姿があちこちで見られる。もちろん、リリアナとセシリアもその例に漏れない。


「王都にはいつまでいるの?シア」


「私は明日までよ。明後日にはヴェルリンド領に帰るわ」


「私も、明日までだわ・・・」


お互いに領に帰ってもまた手紙でやり取りは出来るが、こうして顔を合わせるとやはり寂しさが胸を襲う。


少し俯いてしまったリリアナに、セシリアが笑いかけた。


「リリ、明日は忙しいのかしら?」


「ううん」


「じゃあ、もし良かったら我が家のタウンハウスに来ない?一緒に勉強して、昼食を一緒に食べて、お茶の時間くらいまでなら夕方までお話できるもの」


リリアナは俯きかけていた顔をパッとあげた。


「いいの?」


セシリアはにっこり笑って言う。


「もちろんよ!実は、もううちの厨房に『明日はお友達を連れてくるから、ヴェルリンドらしい料理をお昼によろしくね!』って言っちゃってるの。両親にも、リリに会えたらうちに招待したいって伝えてあるのだけど・・・」


セシリアは小首を傾げた。


「ダメかしら?」


リリアナはぶんぶんと首を横に振った。


「喜んでお伺いするわ!!」




レオン達3人は、そんなリリアナとセシリアの様子を見ていた。

ロイドがこそこそとレオンに話しかける。


「なぁ、レオン。もしかしなくても妹君は、セシリア嬢に招待されてるよな?」


「そのようだな」


「お前も誘われて来いというか誘われてきてくれ頼むから」


レオンは呆れた目でロイドを見やる。


「令嬢同士の交流に男が入り込めるわけないだろう」


ロイドはレオンを拝みながら平身低頭頼み倒す。


「わかってるけどそこをなんとか!あのヴェルリンド家に招かれるなんて!俺としてはこのチャンスを逃したくないんだよ!!」


黙って聞いていたアランも静かに呆れていた。


「チャンスというが、別にお前に振ってきた話じゃないだろう。レオンに無茶言うな」


レオンとアランは拝むロイドを白い目で見ていたが、ロイドの気持ちもわからなくはない。

武門の一門であるアルフォンス侯爵家の嫡男として、またロイド本人も騎士を目指している以上、ヴェルリンド辺境伯家に対しては並々ならぬ関心があるのだろう。ロイド本人としては、この懇親会中に少しでもセシリアの興味を引こうと奮闘していたが、敢え無く撃沈している。


「わかってるけどさぁ・・・」


今度はいじけ始めたロイドは最早放っておいて、レオンはリリアナの手を取り、セシリアに声を掛けた。


「セシリア嬢。今日は妹の友人である貴女にお会い出来て良かった。両親からも感謝を伝えて欲しいと言われていたんだ。機会があれば、是非我が家にもお越し願いたいな」


セシリアも笑顔で応じる。


「まぁ、私こそ、リリのお兄様にお会い出来て光栄でした。それに、ご学友のロイド様とアラン様ともお話出来て良かったですわ」


にこにこと笑うセシリアにとって、やはり令息3人の事はあくまでリリアナのオマケであるらしい。

色々惨敗したロイドは今度こそ諦めて、彼らしくからりと笑って手を差し出して言った。


「こちらこそ、お会い出来て光栄でした、リリアナ嬢、セシリア嬢。またお会い出来る日を心待ちにしております」


セシリアはふふ、と笑って差し出された手に自分の手を乗せた。


「はい。来年、学園に行くことが出来ましたら、その時は色々教えてくださいね」


アランも胸に手を当てて軽く頭を下げて言った。


「リリアナ嬢、セシリア嬢。またお会い出来る日を楽しみにしております」


リリアナとセシリアはにこりと笑って頷いた。


レオンは近くにいた使用人に会場を辞する旨を告げた。王太子殿下の周りはまだ人だかりとなっているので、辞去することを言付けてもらったのだ。

そうして、案内の者の後について5人は揃って庭園から歩み去ったのだった。




王宮の馬車寄せでそれぞれが迎えを待っていると、ふと思い出したようにセシリアがリリアナに声をかけた。


「ねぇ、リリ。これを貰ってくれる?」


セシリアは自身の髪飾りに使っていたハーデンベルギアの花枝を幾つか抜き取った。小さな白い花が鈴なりに付いている可愛らしい花枝だ。

その花枝をそっとリリアナの耳元の髪に挿す。

セシリアはにこりと笑って言った。


「あぁ、やっぱり。とても良く似合うわ」


リリアナは耳元で揺れる花にそっと触れて、それこそ花が開くように笑った。


「ありがとう、シア。じゃあ、私からも」


リリアナは自分の髪飾りにしていたカスミソウを抜き取って、セシリアの髪に挿した。


「ふふ、シアもとっても似合うわ!」


完全に2人の世界を築いている2人の令嬢の様子を見て、馬車を待つ3人の令息は苦笑した。

やはりこの場合男は女性の添え物に徹するのが正解なのだと納得せざるを得なかったからだ。

ロイドがぽつりと言った。


「流石セシリア嬢・・・そこらの令息よりカッコいいな・・・」


さりげなく花を渡せるくらいに男を上げてやる!と密かに気炎を吐くロイドの肩を、レオンとアランはポンと叩いてやったのだった。

2人の令嬢〜婚約編〜第31話を読んで頂き感謝申し上げます!

この後も楽しんで頂けたら幸いです。


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