第67話【作戦】
それからケティたちのいる場所まで戻った俺は「泊めてもらう許可をもらった」という事を全員に伝え、みんなでマーニの家へ向かう。
そして着いてからは、明日に備える為ご飯を食べたり横になったり――話はその翌日から始まる。
「よし、じゃあ早速今日の作戦を話すぞ。」
朝、全員が起きたことを確認すると早速話を始める。
そう、遂に今日が5月4日。サンボイルで冒険者同士の殺し合いが起きる当日なのだ。(作戦は昨日話しておいても良かったんだが、万が一忘れていた場合の無いよう当日の朝に話すことにした。)
「それは良いんだけれど、本当にウェイリスが考えなくて大丈夫?」
「何言ってんだ、みんなには俺のわがままに付き合ってもらってるんだ。作戦くらい自分で考えられる。」
「いや、そうじゃなくてその作戦の内容が大丈夫かって――」
「大丈夫だ、安心してくれ。」
たく、そんなに信用ないか?俺。
まぁ確かに、今までこうやって自分でちゃんと作戦を考えたことは無かったけどよ。
「おほん」俺はひとつ咳払いをすると早速作戦の説明を始めた。
「まず、今日起きる事を説明する。」
「はい、質問よ。」
「……なんだ?」
すると、そこで再びウェイリスさんが声をあげた。
「なんで今日だと分かるの?」
「……ッ!!」
た、確かにそれは疑問に思うか……
「確かにね、ねぇハヤト?なんで分かるのっ?」
「確かに、前のゴブリン・ロードの時と言いハヤトさんはまるで『次に起こる出来事を知っている』かの様ですよね。」
「そ、そんな訳ないだろ……?」
だが、なんと言えば……
しかし、そこで朝ごはんの食器を洗っていたマーニがこちらを振り返ると、
「ハヤトは昔からそういう勘が効くんだ。第六感ってやつか?小生はよく分からんが、信じてやってくれ。」
「……ッ!!」
一瞬こちらを見て、ドヤ顔でウインクをしてくるマーニ。
「……ふーん、まぁハヤトを昔から知ってるマーニがそういうのならそうなんでしょうけど。」
すまん、サンキューマーニ……!!
マーニには全てを正直に話しているからこそ、本当に助かるぜ……!!
「よし、じゃあ続きを話すぞ?」
「今日、冒険者同士での暴動が起こるはずだ。だが、それが何時頃か、そしてサンボイルの中でもどこで起きるのかは分からない。」
「だから、これから俺たちはある程度の距離を置いてサンボイル中に分かれる。そして、自分の近くで暴動が始まった場合はその近くにいる人間に駆け付けてもらうんだ。――でも、そこで大切なのが全員がそこに駆け付けない事。なぜなら、その1箇所のみで暴動が起きるとは限らないからな。まぁ、簡単に言うとこんな感じだ。なにか質問はあるか?」
「ひとつ良いか?」
そこで手を挙げたのはレイバーだった。
「その近くにいる人間に駆け付けてもらうってのは、大声で呼んだりするのか?」
「あぁそれはだな、ウェイリスさんの持つ『連絡魔法』というのを使用したいなと思っている。それなら離れていても連絡魔法を使っている者同士で話す事が可能だ。」
「大丈夫か?ウェイリスさん。」
「あぁ、だから昨日遠隔で話せる様な魔法が無いかを聞いてきたのね。――良いわ、それくらいなら魔力もあまり消費しないし。」
「ありがとう。」
ウェイリスさんは本当にどんな魔法でも使えるよな、今回の連絡魔法なんてその存在自体知らなかったぞ。
「他に何か質問はあるか?」
「ねぇハヤト?」
「ん?どうしたケティ。」
「ハヤトの言う通りならこれから冒険者同士がこ、殺し合うんでしょ……?それは、どうやって止めれば良いの……?」
「どうやって?」
でも確かに、改めて考えてみると難しいかもしれない。
なんせ相手はただ暴れるだけではない。恐らく武器を持っている。
それを止めるというのは、確かにそれなりの覚悟が必要だ。それに、ケティはこの中でももっとも冒険者の歴が浅い。確かに、心配になるのも頷けた。
でも、だからってケティだけ参加させないのもそれはそれで違う気が、うーん、
「なら、ウェイリスがケティの近くに位置しておくわ。それなら万が一危険な状況になっても助けられる。」
「お、すまんっ!そうしてくれると助かるぞ!」
「ふっ、全く。ねぇケティ?貴方のパーティーのリーダー。すっごく頼りないわよね?ウェイリスとパーティーを組んでも良いのよ?」
「えっ?ほんとに?そうしよっかなーっ?」
「おいケティ!?」
そんなこんなで作戦の説明は進んで行き――
「じゃあ最後に、イザベル。お前は両親の家に居てやってくれ。万が一何かがあったら心配だ。」
「……ッ!分かりました。」
俺は最後におそらくイザベルがおかしくなった原因である「殺し合いにイザベルの両親が巻き込まれた」というのを無くす為、イザベルに両親の近くに居てもらう様に指示する。
「よし、じゃあ作戦はこんな感じだな。お前らは自分の持ち場所はしっかり理解したか?」
「うんっ!」「はい」
「大丈夫よ」「おう!」
「よし、じゃあ行ってくるな。マーニ。」
「おう!なにかあったら小生に助けを求めるんだぞ!」
マーニのそのセリフにみんなは「マーニって戦えるのか?」と笑う。
しかし、俺だけにはそのセリフが凄く心強かった。
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