第66話【サンボイルに到着〜マーニの元へ〜】
「よし、じゃあ今からサンボイルへ向かうぞッ!!」
「「はぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」」
サンボイルへ行く事を了承してくれたみんな。
いや、今日行かないと冒険者同士の殺し合いがそれまでに起こってしまうかもしれないんだが……
「お、おいハヤト……?それは流石にこっちにも用事ってもんが――」
「いや、なら本当にすまん。俺がさっきからずっとわがままを言っているのは重々承知だ。――だが、頼む。」
俺は全員に頭を下げる。
こんな事をしてまで手伝ってもらうなんて、俺自身も嫌だった。
だが、また後悔して惨劇の道を歩む方がもっと嫌だ。
「――あーもう!!しかたないな!でもハヤト!これで本当になにも起こらなかったらきっちりと金を払ってもらうからな!?」
「ウェイリスもオーケーよ。まぁ、こんな事を言い出すだろうとは薄々感じてたしね。」
「……ッ!!すまん、ありがとう……!!」
「じゃあ、私たちも準備してくるねっ」
「ですね。すぐ戻ります。」
「あぁ、じゃあみんな。準備が終わったら冒険者ギルド前に集合してくれ。」
そうして一通り話し合いが終わるとみんな準備をしに帰って行く。
よし……みんなも協力してくれるんだ……!!絶対未来を変えてやるッ!!
♦♦♦♦♦
その後、俺も準備をすると冒険者ギルド前に行き、みんな揃っている事を確認すると早速馬車に乗ってサンボイルへ向けて移動を開始する。
サンボイルに到着したのは、翌日の昼頃だった。
「はぁ……マジで疲れたな、」
「レイバー様、お疲れ様です。」
「ほんと、まさか夜もぶっ通しで馬車を走らせるなんて思わなかったわよ。」
そう、実は今回は一刻も早くサンボイルへ着く為、通常は周囲が暗くて見えず、モンスターに襲われる可能性があるから夜は馬車を止めるのだが、一切止めずに進め続けたのだ。
まぁ、流石にレイバーやウェイリスさんの様な強い冒険者が複数人居たからこそ出来た暴挙なのだが。
「その件についてはすまないと思っている。」
「もう、本当に思ってるんでしょうね……?」
「――で?これからどうするの?」そこでウェイリスさんが腕を組みながらそう言ってくる。
「あぁ、それについては大丈夫だ。実はな、サンボイルに昔からの知り合いがいるんだよ。これからそこに行って、泊めて貰える様話をつけてくる。」
「知り合い?そんな話初めて聞いたよ?ハヤト?」
「あ、あぁ。言って無かったんだよ、」
まぁ、実際この世界の中だとその知り合い――マーニとは全く接点がないんだが。
「とりあえず、みんなはここに居てくれ。あいつもきっと大勢で行くと驚くだろうしな。」
「わ、分かった。」「了解です。」
「じゃあ、ウェイリスたちは馬車で少し休憩でもしていようかしら。昨日から一睡もしていないもの、眠たくてしょうがないわ。」
「だな、イザベル。俺たちもそうしよう。」
「はい、レイバー様。」
そうして俺はマーニの家へと向かった。
コンコン
マーニの家に到着すると早速扉をノックする。
するとしばらくして、金髪ロングの一見令嬢にも思える低身長の女の子が扉から姿を現した。
「なんだ――って、!?!?は、ハヤト……!?」
「マーニ、まずは中に入らせてくれないか?」
「ちょ!?ちょっと待て……なぜ小生の名前を知っている……!?まさか、覚えていたのか……!?」
いきなりの事に酷く混乱し、息が乱れるマーニ。
そうか、ちゃんと説明をしないと、そりゃこうなるよな。
「驚かせてしまってすまん。実は俺は――」
「マーニ、お前の力で過去に戻り、ここに来た。」
「……ッ!?!?、」
そのセリフを聞いた瞬間、マーニは一瞬目を見開き驚くが、すぐに冷静な表情に変わる。
「どうやら、小生の力をちゃんと知っている時点でハヤトの言っている事は嘘じゃなさそうだな。」
「あぁ、いきなりの事で混乱はしていると思うが。」
「いや、大丈夫だ。きっと未来で何かがあったから戻ってきたんだろ?小生に聞かせてくれ。」
「……ッ、分かった。」
流石の状況把握スピードに若干驚きながらも俺はマーニの家の中に入れてもらった。
そして、それから俺は過去に戻ったきっかけや、そうなってしまった事がこれからこの街で起きる冒険者同士の殺し合いである事などを話した。
「――なるほど。大体理解した。が、それはその世界で起こった事であって、必ずしもこの世界で起こるという確証はないんじゃないのか?」
「いや、それはさっき話した『デスティニーレコード』に5月4日、サンボイルで冒険者同士の殺し合いが起きると記されているから絶対に起きる。」
「なるほどな。」
「信じて、くれるか……?」
「信じる?ふっ、信じるも何も、その前の世界の小生はハヤトを信じていたから力を使って過去に飛ばしたんだろう?それなら、協力する以外に選択肢は無いぞ。」
「……ッ!!」
「ありがとう、本当にありがとう……!!」
「で、小生はどう協力をすれば良い?」
「あぁ、それはだな――」
それから俺はマーニに「冒険者同士の殺し合いが起きるまでの1日、この家に泊めて欲しい」という事を伝えた。
「なるほど、それなら全然構わないぞ。」
「ほんとか!!すまん、ありがとう!」
こうして俺は一度マーニの家を後にすると、サンボイルの入り口前で馬車を停めて待つケティたちの元へ向かった。
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