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第65話【俺と一緒に来てくれ】


 レイバー、イザベル、ウェイリスさんを引き連れ自宅に帰ってくると、ケティ、セリエラがそれを迎えてくれた。


 そして、家に入ってすぐ、俺は今回の事の詳細を話し始める事にした。


「じゃあ、話すぞ。――まず、最初に。俺と一緒にサンボイルへ来て欲しい。」

「「え?」」


「なんでサンボイルなんだ?ハヤト。」


 レイバーが腕を組み、首を傾げながらそう聞いてくる。


 うーん、ここで「数日後、サンボイルで冒険者同士の殺し合いがあるからだ」なんて言っても絶対信じてもらえないだろうからな。


「いや、えーと、なんか嫌な予感がするんだよな。」

「嫌な予感?」

「あぁ、なにかが起きそうだなーって」


 これ、良い感じに伝えられているだろうか……

 俺的には「冒険者同士の殺し合い」という単語は出さずにサンボイルで何かが起きる。という事を伝えたいんだが。

 (ちなみにこの話は先に家に来てもらっていたケティ、セリエラも知らない。)


「なんだよ何かが起きそうって。まさかそんな軽い理由で着いてこいって言ってんのか?」


「確かに昨日、なんでも言うことを聞くとは言ったが、そんな無意味な動きはしたくないぞ」そう言うレイバー。


 いや、全然軽い理由なんかじゃ無いんだよ。これが起きてしまったせいでイザベルは死に、レイバーは心を病んでしまった。


 そんな未来、絶対ダメだ……!!


「分かってる、みんなから見ればきっと俺が何を言っているのかもよく分からないと思う。だけど、信じてくれ。これはそんなに軽い理由じゃないんだ。」


「ねぇ、ハヤト……?それは本当なの?」

「え?」


 するとそこでずっと黙って会話を聞いていたケティが口を開いた。


「私はさ、ハヤトのパーティーで居るから、出来るだけハヤトの言う通りに動いてあげたいと思ってる。けどさ、今回は理由もなんだかよく分からないし、私たち以外にも3人の冒険者が動くんだよ?だから、本当に、軽い理由じゃないのか確認。」

「……ッ!!あぁ、軽い理由なんかじゃない。」


 真っ直ぐ、ケティの瞳を見つめながら言う。

 それから無言で見つめ合う事数秒。


 真剣な表情をしていたケティはそこで普段の優しい笑顔に戻ると、


「うんっ、分かったよ。ハヤトは本気だねっ、私はハヤトとサンボイルに行くよ。」

「私は最初から同意でしたが一応――私もハヤトさんについて行きます。」


 ケティに続いてセリエラも同意してくれる。

 お前ら……ありがとう……!!



 だが、正直なところ2人は同じパーティーだ。ある程度は了承してくれるとは思っていた。


 だから問題は、後の3人だな。


「今ケティに言った様に、これは思い付きなんかじゃないんだ。本当に、数日後サンボイルで何かが起こる。信じてくれ。」

「……」


 レイバーは腕を組んで黙り込む。


 するとそこで、ウェイリスさんが口を開いた。


「……分かったわよ。ほんと、仕方ないわね。」

「……ッ!?マジで言ってんのかウェイリス?お前は上級冒険者なんだぞ?そんな簡単に信じて――」

「いや、100パーセント信じてる訳じゃないわレイバー。――でも、ハヤトの言うことは当たるの。前のナビレスでのゴブリン・ロードの時もそうだったわ。」


「あの話を初めて出された時、起こる季節でも無いんだから有り得ないとウェイリスは鼻で笑っていた。――でも、結果は違った。ハヤトの言う通り、本当にゴブリン・ロードが起こりかけていたのよ。それに、あの時ナビレスには強い冒険者が居なくて、きっとあのまま起きていればとんでもない惨劇になっていたはずよ。」


「なんだかウェイリス。ハヤトが適当に言ってる気がしないのよね。ここで断れば後々、後悔する気がする。だからウェイリスは今回もハヤトに同意よ。」

「ありがとうウェイリスさん……!!」

「でも、勘違いしない事ね。本当に何も無ければその間にウェイリスが稼げていたお金は払ってもらうわ。」

「あぁ、当たり前だ!!」


「どう?レイバー。貴方もウェイリスと同じ様にすればいいんじゃないかしら?本当にサンボイルで何かが起きれば来てよかった。何も起きなければその分稼げていたお金はハヤトに払ってもらう。これならマイナスは無いでしょう?」

「……分かった。まぁそうだな。信じてやるよ、ハヤト。俺とイザベルも協力するぜ。」

「レイバー、イザベル、ありがとう……!!」


 よし、これでなんとか全員を説得したぞ。


 ――でも、それは良いが実はあとひとつ問題がある。

 今日は5月2日だが、冒険者同士の殺し合いが起きるのは2日後の5月4日なのだ。(デスティニーレコードで確認済み)


 そして、フレイラからサンボイルまでは約1日かかる。

 要するに、少しでも遅れない為には今日出発しなければいけないのだ。


 だから、そこで俺は立ち上がると両手を腰に当て、


「よし、じゃあ今からサンボイルへ向かうぞッ!!」

「「はぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」」

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