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第61話【提案】



 俺たちは部屋に入ると、そこにはまるで『対話を前提にしている様な』ソファが2つ対面に並んでいた。


 鎧を纏ったおじいさんは俺たちをその片方に座る様言うと、自分はもう片方に座った。

 言われた通り座ると、そこですぐにウェイリスさんが口を開く。


「で、早速本題に入って欲しいのだけれど、今日ウェイリスたちを呼んだのはどんな用があってなの?」

「はい。実は皆さんにひとつの『提案』をしようと思いまして。」

「提案?」


 すると、そこでおじいさんは説明を始めた。


「提案です。皆さんは昨日、洞窟でゴブリンを討伐して下さいました。その中にはゴブリンキングも混ざっていたと仰られていましたよね。」


 え?そうなのか?

 実は昨日、報告は全てウェイリスさんだったから俺たちも100パーセントは把握出来ていないんだよな。(戦ったのはウェイリスさんのみだし)


 おじいさんの発言に、俺たちはウェイリスさんの方を見る。


「えぇ、確かに言ったわ。まぁ、ウェイリスくらいになればゴブリンだろうがゴブリンキングだろうが一撃だけれどね。」


 流石ウェイリスさんだ……!!俺は絶対そんな事言えないぞ……!!(ちなみにゴブリンキングはゴブリンよりも体格ふたまわりほど大きく、木で出来た王冠を被っているモンスターの事だ。ゴブリン・ロードが起きる時は大体こいつがリーダー。)


「流石ウェイリス様ですね。そして話によると、その時からゴブリン・ロードが起きそうだと分かっており、そして実際にゴブリン・ロードが起きる間際だったのだとか。」

「えぇ。それに関してはウェイリス自身が思っていた訳じゃないけれど――まぁ結果的にはそうで、ゴブリン・ロードを未然に防ぐ形にはなったわね。――で?そろそろウェイリスたちにどうすれば良いのかを言って欲しいのだけれど。」

「はは、すみません。では早速――」


 そこでおじいさんは真剣な表情になると、


「私たちギルドは昨日の会議にて、『しばらく皆さんにこの街へ居てもらいたい』という結論が出ました。だから、しばらくの間、ナビレスへとどまってもらえないでしょうか?」


 ……え?

 い、いや、それじゃすぐにサンボイルへ行けなくなるじゃねぇか!?


「それは流石に――」

「もちろん、それなりの報酬をご用意したいと思っていますよ。ひとりずつに金貨10枚でどうでしょう。」

「「……ッ!?」」


 そこでケティ、セリエラに続いて俺も酷く驚き、声が出なくなる。


 今、金貨、10枚って言ったか……?10枚……!?

 これまで色々な依頼を受けてきたが、金貨1枚の依頼すら無かったぞ……?


「へぇ。中々出すわね。そこまでしてウェイリスたちをこの街へ居て欲しい理由はあるの?」

「はい。実は今、ナビレスで主に力を持っていた上級冒険者の方が遠征に行っておりまして。気づかない内にゴブリン・ロードが起こりそうになっていたという事も加味するとやはり何時でも街を守れる強い冒険者が必要だという結論に至りましてね。」


「……なるほど。ウェイリスは良いわよ。その『提案』、乗ってあげるわ。」

「わ、私もっ!!」「私もこれには賛成です。報酬が報酬ですから。」

「おっおい!?」


「皆さん、ありがとうございます。ハヤト様、どうですか?必要でしたら更に報酬を出しますが。」

「い、!?そんなに要らねぇよっ!?」


 いや!欲しいけど!

 ――うぅ、でもそれだとサンボイルに早く行くことが出来ない……けど、思えばナビレスに俺は無理やりこの3人に来て貰ったんだ。


 ……ここでまた自分のわがままを突き通し、振り回すことを俺は出来なかった。


「……分かったよ。俺も3人と同じく同意だ。」

「ありがとうございます。」


 そうして俺たちはしばらくナビレスに留まることとなった。


 ♦♦♦♦♦


 そしてそれから数十日後。

 あれから毎日色々な依頼をナビレスで受けていた俺たちは等級が下級下位から中級下位まで上がり今日4月30日、遂に俺たち4人はフレイラへ帰る事が出来た。


「はぁ……!!やっと帰ってこれたな。」

「なんかすごく懐かしい気分だよ。」

「私に関しては、ナビレスに居る期間の方が長かったので、旅行に来た気分ですよ。」


 冒険者ギルドの横に止めた馬車から降りると、俺たちはそう言う。


 思えばこの世界に飛んでからももうほとんど1ヶ月が経ったのか。(前の世界と同じくらい、ケティ、セリエラとも信頼関係が築けた。)


「じゃあ、ギルドに入るわよ。帰ってきた報告しなきゃいけないしね。」

「そうだな。」


 そうして御者をしてくれたウェイリスさんも馬車から降りたところで俺たち4人は冒険者ギルドの中へ入って行った。



 そして、それから数時間後。夜になり、寝る前。

 俺はベットに座ると、デスティニーレコードを膝の上に乗せていた。


 あの後、冒険者ギルドに入ると色んな冒険者から褒められたぜ。(どうやらナビレスでの俺たちの活躍が、フレイラ内でも話題になっていたらしい。)

 それで宴会もしたりして騒いだりしたからもう身体がバキバキだが。


 俺はデスティニーレコードを開く。


 5月1日:レイバー、イザベルと知り合う。


 そう、まだまだこれからなのだ……!!

 次はサンボイルでの冒険者同士の殺し合いを止める……!!

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