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第54話【いざ、水の都ナビレスへ】


「じゃあ改めて。近々、水の都ナビレスをゴブリン・ロードが襲う。」


 よく食事をしていた部屋へ招かれ、椅子に座ったところで俺は再びウェイリスさんにそのセリフを吐いた。


「それが100パーセント起こるっていう根拠はあるの?」

「……いや、無い。」

「でしょうね。だって貴方の話はまだ起きていない未来の話なんですから。」

「……ッ!、それでも、お願いだ信じてくれ。俺たちと一緒にナビレスの近くに位置する洞窟内のゴブリンを討伐してくれれば――それだけで良いんだ……!!」


 すると、それを聞いたウェイリスさんは困った表情で腕を組み黙り込む。


「……どっちにしろ、ウェイリスはもうすぐで近くの王国へ遠征に行くの。それが終わってからになるわよ?」

「それは大体何日くらいなんだ?」

「今日が4月2日だから、う〜んそうね――早くても15日から20日。それ以降になるわね。」


 15日から20日だと……?それなら前の世界でウェイリスさんと出会った時とほとんど変わらないじゃないか……!!

 それはまずい……!!


「いや、それじゃ遅すぎる……!お願いだ、何とかすぐに行けないか……?」

「いや、そもそもウェイリスまだ行くとも言ってないんだけど。」


 俺はテーブルに頭を付けると、何度も何度もお願いをする。

 

 無理な事を言っているのは重々承知。恐らくケティとセリエラの目に俺は今わがままでめんどくさい人間に写っているだろう。


 だが、対してウェイリスさんはそんな俺に何も言わない。


(やっぱりダメか……?最悪、無理だったら俺たちだけでゴブリン討伐を――いや、でもそれだとその間にまたウェイリスさんがおかしくなる可能性もあるから出来れば一緒に行動したかったんだが――)


 そんな事を考え出していた――その時、


「はぁ……まぁでも、話によると貴方はツバメさんの息子なんでしょ?――ツバメさんが私に嘘をついたことは一度も無かったわ。それに、あの人はいつも私が少しでも成長出来るようにとアドバイスをくれたりもしていた。」


「なら、息子の貴方も無意味な嘘はつかない。ウェイリスはそう思ったわ。」

「……ぇ?って事は――」

「遠征取り消しの手順、結構めんどくさいんだから、せめて4月5日までは待ってよね。」

「……ッ!!!ありがとう……!本当にありがとう!!」


 もう無理だと思ったが、本当に良かった……!!

 ウェイリスさんの優しさと、父に感謝だ……!!


「全く、ほら、ウェイリスはこれから忙しいんだから、早く帰りなさいよね。」

「あ、あぁ……!」

「――あと、」

「あと?」


「一緒に着いてきてくれてたその2人。なにも分かってないでしょうからちゃんと全部説明してあげなさいよね。」

「あ」


 そこで俺は横を見る。するとそこにはなにがなんだか分からなすぎて石像の様に無表情で固まっている2人の姿があった。


「す、すまん2人とも……後から全部説明する!!」


 そんな2人に俺は手を合わせて言い訳じみた声色でそう言う。


「もぅ、ちゃんと説明してよねっ!」

「説明、お願いしますね。」

「あ、あぁ」


「全く、リーダーならもう少しちゃんとしなさい。」

「すまん、ウェイリスさん。――――って、今、リーダーって言ったか?」


 あれ……?俺この世界のウェイリスさんに俺がリーダーだって説明したか?それに、今の段階じゃまだその概念自体も決まってない気がするんだが。


「あれ?おかしいわね……今ウェイリスはなんで不意にハヤトがリーダーだって思ったのかしら……?なんだが変だわ。最初会った時も、『前も会った事がある気がする』なんて思ったりもしたのよ?」

「……ッ!?」


 笑いながらそう言うウェイリスさんだが、俺はその言葉を聞いて固まってしまった。

 まさか……覚えてるのか……?デジャブというやつだろうか。


 ……まぁ、今はとりあえずは良いか。


「じゃ、じゃあな。また4月5日、ここに来るぞ。」

「えぇ、じゃあね。」


 こうして俺たちは屋敷を後にした。

 (その後、長時間をかけて2人には何とか話の流れを納得してもらった。)


 ♦♦♦♦♦


 そしてそれからなにがあるという訳でも無く、4月5日。

 俺たちは予定通りウェイリスさんと共に水の都ナビレスへと向かった。(4月5日までになにか別の事が起こっても困るから依頼は受けてない。)


「ほら、着いたわよ。」

「おぉ……!!」「すごい綺麗な街だねっ!!」「綺麗です。」


 それで今は、数時間馬車を走らせてナビレスへ到着したところ。――――なんだが、俺は青を基調とした建物が綺麗に並んだこのナビレスの街並みを見て、感動にも似た感情を抱いていた。


 初めて来た時は、色んなところから黒煙が立って、建物は全て焼け焦げいたるところで人が倒れている様な地獄絵図だったのに――本来は、こんなに綺麗な街だったんだな……!!


「……ッ!!、」


「あれ?なにぼけ〜っと立ってるのよ。ほら、ケティとセリエラも来てるんだから貴方も早くしなさい。」

「……ッ!、す、すまん!すぐ行く!」


 そうして俺は数メートル先まで移動していた3人の元へ駆け足で寄って行く。


 よし……!!今の時点ではまだ救える……!!絶対、救ってやる……!!

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