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第53話【再びのはじめまして】


「えっ?ウェイリスさん?って誰?」


 俺がいきなり言い放った「ウェイリスさんの屋敷へ行く」と言うセリフにケティはイマイチ理解出来ていない感を醸し出しながらそう聞いてくる。


 う〜ん、まず問題はここだな……

 まぁ正直2人と一緒に行かなくとも俺ひとりで行けば良い話ではあるんだが――後々2人を紹介するのも面倒だし――


「う〜ん、まぁ知り合いだ。とりあえず着いてきてくれ。2人とも、この後用事も無いだろ?」

「まぁ、私は無いけどさ?――セリエラちゃんは大丈夫なの……?」


 そこでケティはあからさまにセリエラを心配した。

 ――って、そうだ……!!当たり前に2人を付き合わせようとしていたが、ケティは兎も角、セリエラは俺からしたらもう何度も一緒に依頼を受けた冒険者仲間だが、今のセリエラは昨日パーティーを組んだばかりの仲。


 さすがにこれはマズかったか……?(今ケティがセリエラを心配したのも、俺の事をあまり嫌いになって欲しくないからだろう。)


「た、確かに〜?今のは俺も図々し過ぎたかもしれん。セリエラ、他に予定があるなら全然大丈夫――」


 だからそこで俺もセリエラに言い訳じみたセリフを吐く。――が、セリエラはほんのりと微笑すると、


「私は全然大丈夫ですよ。そのウェイリスさん?の元に行くなら行きましょう。」

「あ、あぁ。ありがとうな。」


 危ねぇ……こんなところで嫌われたら到底良い未来なんて作れないからな……なんとかセリエラの寛大な心に救われたって感じか。


 これからは「ここは過去の時間軸」という事もちゃんと意識をして喋る事にしよう。


「じゃ、じゃあ着いてきてくれ。」


 こうして俺たちはウェイリスさんの屋敷へと向かった。


 ♦♦♦♦♦


 そして数分後、俺たちは屋敷の前に着いた。――のだが、そこで早速問題が起きた。


「ねぇハヤト……?ほんとにここで合ってるの……?このお屋敷、昔から誰も寄り付かなかったところだよね……?」

「あぁ、ここで合ってる。合ってるんだが、」


 俺は目の前に立ち塞がる大きな門を見上げる。

 そう、前入った時はウェイリスさんと一緒だったから簡単に入ることが出来たが、今回は俺たちだけ。

 当然屋敷の門も閉まっており、まず屋敷の扉に近付く事自体が出来なかったのだ。


 くそ……これじゃウェイリスさんと接触する事も出来ないじゃないか……


「ねぇハヤト?やっぱり住所を間違ってるんじゃ――」

『貴方たち、さっきから門の前で(たむろ)してるけど、なにか用があるのかしら?』

「「……ッ!!」」


 するとそこで、俺たちの頭の中にウェイリスさんの声が入って来た。


「なっ、なにこれっ!?どういう事!?」

「落ち着けケティ。ウェイリスさんならこれくらいやってのける。」


 多分、これも何かの魔法なのだろう。何系の魔法かなんて全く分からないが。


「う、ウェイリスさんか……?」

『……ッ!、ウェイリスの名前を知ってるの?貴方たち、誰?』

「俺はハヤト。こいつらはケティとセリエラだ。ウェイリスさん、俺は貴方に教えなければいけない事がある。だから来た。」


 俺は姿の見えないウェイリスさんに向けて用件を言う。

 すると、対してウェイリスさんはしばし黙り込んだ後、


『……分かったわ。入ってきなさい。ウェイリスは玄関前で待ってるから。』


 そう言った途端、ひとりでに門が開いた。


「……ッ!!ありがとうウェイリスさん……!!よし、いくぞ2人とも。」

「う、うん。もう、私なにがなんだか分かんないよっ」

「了解です。」


 こうして俺たちはウェイリスさんの屋敷へ入った。



 そして、それから数十メートルの長い玄関までの道を歩き、玄関まで着くと俺はトントン。と、大きな両開きの扉をノックする。


 すると、すぐに扉は開き、中から黒基調の貴族の様な服を着たピンク色ツインテールの女性――ウェイリスさんが姿を現した。


「用ってのはなにかしら。」


 俺たちを中に招く訳では無く、玄関前でウェイリスさんはそう尋ねてくる。


 やっぱりまだ警戒されてるか。まぁ、そりゃそうだよな。


「あぁ、その事なんだがな、落ち着いて聞いて欲しい。」

「分かったわ。だから早く言って。」

「近い内に水の都ナビレスでゴブリン・ロードが起きる。」

「……は?」


 すると、俺のセリフを聞いたウェイリスさんはそこで明らかに不機嫌になった。


「確かに、ナビレスの近くにはゴブリンの洞窟があるわ。でも、言ってしまえばそれはフレイラでも同じ。それに、ゴブリン・ロードってのは今の時期になんて絶対起きない。」


「まさか、ウェイリスをからかいにきたの?」

「違う。真面目に言ってるんだ。俺は未来の出来事が分かる。」

「未来の?そんな魔法存在しないわよ。」

「なら、少しだけ信じる材料を教える。まず、ウェイリスさんの両親は現在ナビレスに居る。」


「そして、この俺の父、ツバメ・クレプスキュールはウェイリスさんの師匠のはずだ。」

「……ッ!!、貴方、ハヤトって言ったわね。その後ろのケティとセリエラ――だったかしら。分かったわ。中で話を詳しく聞いてあげる。」


 良かった、少しは信じてくれたみたいだ。


「ありがとう、ウェイリスさん。すぐ終わらせる。」


 こうして俺たちはウェイリスさんに連れられて屋敷の中へと入って行った。


 ♦♦♦♦♦


 それからしばらく屋敷の中をウェイリスさんに連れられて歩き、俺たちはある見覚えのある部屋へ招かれた。


「ここは……」


 部屋の中央に置かれた巨大な長方形のテーブルに、それに合わせる様にして並べられた椅子。

 俺は数日間この屋敷で暮らした事があるから忘れるはずも無い、何度もみんなで食事をした部屋だった。


 確か、初めてここに入った時は宙に浮かんで運ばれてくる料理たちにびっくりしたんだっけ。


「3人とも、適当に座って良いわよ。」

「あぁ」「う、うん、」「失礼します。」


 俺たちはウェイリスさんの言う通り椅子を引いて座る。

 未だにケティとセリエラが全然話を理解出来ていない事が少々気になるが……すまん……!今は何とかしてウェイリスさんを説得させなくちゃいけないんだ。あとから説明するからな……!!

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