第40話【運命探知】
「ハヤト、お前小生の時間逆行を使って過去へ戻っただろ?」
俺へ聞きたいことがある為、2人になりたいと言ったマーニ。
言う通りにケティとセリエラが家からマーニの歓迎パーティーの準備をすると言うことで出ていくと、聞いてきたのはなんと時間逆行の事だった。
ちょ、ちょっと待て……!?なんでマーニはその事を知っているんだ……?
まさか、マーニが時間逆行を使った事によりこの世界のマーニにもなにか変化があったとか?
「それは、なんでそう思うんだ?」
俺はひとまず、マーニがなぜそう思ったのかを聞いてみる。
するとそこでマーニは腕を組んで怪訝そうな顔をしながら、
「いや、小生の勘違いかもしれないのだが、その日起きた時は全然普通だったお前が、少し家から出たと思ったらいきなりフレイラに帰るなんて騒ぎ始めるんだぞ?それだけでまず少し違和感は感じていたんだ。」
「――こいつ、まさか未来から来たんじゃないか。とな。」
「……ッ!!!」
「それに、そうしてお前たちがサンボイルを後にした直後、測った様に冒険者同士の大規模な殺し合いが始まった。これはもうお前が未来から過去へ戻って来たとしか言いようが無い。小生の中ではそう思ったから、今の質問をさせてもらった。」
「もちろん、これが小生の勘違いならそう言ってくれれば良い」最後にそうつけ加えてくる。が、大規模な殺し合いを知っていた訳では無いが大体はこいつの思っている通りだ。
それに実際過去へ飛ばしてくれたのはマーニだしな。ケティやセリエラには言うと混乱するだろうから言わないが、マーニなら良いだろう。
「あぁ、正解だ。確かにあの日、俺はマーニの力を借りて過去へ戻った。」
「……ッ!!やっぱりか。という事は、やはりお前ら3人もそこでは大規模な冒険者同士の殺し合いを目の当たりにしたのか?」
「いや、実は俺が過去へ戻ると決めたきっかけは違うんだ。だからその事に関しては初耳だった。」
「ほう?きっかけが違う?」
「全部話すよ」
そうして俺は、冒険者ギルドからセリエラが刺殺され、そしてマーニに時間逆行をさせてもらうまでの一部始終をマーニに話した。
「……なるほど。その世界ではセリエラがその一緒に依頼を受けようと言ってきた男に刺殺されたのか。」
「あぁ。そして、何もかもが終わったと思いかけたその時、お前の事が頭に浮かんでな、一か八か過去へ戻ってそれを回避してやるって思ったんだ。」
「その時の小生は、ちゃんと協力をしてくれたんだな。」
「あぁ、逆に事態の飲み込みがすごく早くて、こっちがびっくりしたくらいだよ。」
今思ったら、本当にあの時のマーニは飲み込みが早かった。
だって普通、いきなり血だらけの俺が帰って来たと思ったら、それは仲間の返り血で、マーニ自身が言っていた事とは言えそれでも過去へ飛ばしてくれなんて言われたら絶対最初は混乱するはずだろ。
それでも、あの時のマーニは直ぐに過去へ飛ばしてくれた。これは普通、できる事じゃないと俺は思うぜ。
しかし、俺のセリフを聞いたマーニはさもそれが当然かのように両手を腰に当てて笑うと、
「まぁ、小生はいつかこんな日が来るだろうな。なんて思っていたしな。それに、ハヤトも薄々疑問に思っているだろうから言うが――」
「疑問?」
「あぁ、というか。確か言ったはずだ。普通の人間は時間逆行の後、それまでの記憶を持つことは出来ないと。」
「……ッ!!」
そうだそうだった……!!
忘れていたがそれは時間逆行をしてからずっと疑問に思っている事ではあったのだ。
なぜ、一度過去に戻っている俺がそれまでの記憶を保持出来ているのか。
すると、それの答えをマーニは簡単に言った。
「端的に言うと、ハヤト。お前には小生が持つ特別な力「時間逆行」と同じように特別な力があるからだ。」
「特別な、力……?」
この俺にか……?
「力の名前は運命探知。この力を持っているお前はこの世界で唯一、小生の時間逆行を受けても記憶を保持し続ける事が出来る。」
「な、なんだよそれ……」
運命探知?記憶を保持し続ける事の出来る能力?正直何もかもが意味不明過ぎて訳が分からないが……それでも今こうして俺は記憶を持ち続けているのだ、マーニの言っている事は間違っていないのだろう。
「まぁ、それはそうと。こうしてお前が時間逆行を使っている確認を取れて良かった。やはりこの世界はなにかがおかしい。」
「……ッ!!」
……それは俺も思う。ウェイリスさんの件と言い、今回の冒険者同士の殺し合いと言い――セリエラを刺し殺した男と言い。
この世界ではきっと今なにかが起きているのだ。
「――小生はしばらくこの町へ留まる予定だ。なにかが起きれば、直ぐにハヤトを過去に送れる様にな。」
「……ッ!!――お、おい、」
そこで俺は、さっきからずっと――いや、最初からずっと気になっていた事を聞いてみた。
「なんでお前、俺の事をそんなに知ってるんだよ……?」
すると、それを聞いたマーニは残念そうに「やっぱり覚えてないんだな。まぁ良い、しょうがないから教えてやろう。」そう言うと腕を組み、
「小生とお前は親戚だからだ。」
そう言った。
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