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第38話【フレイラへ戻ってからの数日後】


 セリエラが死ぬという現実を目の当たりにした俺はマーニの力を使い過去へ戻る。

 そしてその日の今朝に戻った俺はなぜ過去へ戻る前の記憶を全て保持出来ているのか。という疑問を抱えながらも何とか2人を説得し、すぐにフレイラへ帰る事になったのだった。(これは簡単な前回までのおさらいだ。)


 ♦♦♦♦♦


 そしてそれから、俺たちはゆっくりと計3日かけてサンボイルからフレイラへの帰路を進んだ。

 当然、理由はセリエラ、そしてケティを必要以上に守る為だ。


 俺は定期的に馬車を止めては剣を抜き、周りの安全を確認していた。

 やり過ぎだろ、そう思う人もいると思う。


 しかし、セリエラの身にあんな事が起きている以上、油断は出来ないのだ。

 そもそもあの時も、俺が会ったばかりの男を信頼し過ぎていて起きてしまったと言っても過言じゃないしな。


 ――そして、遂に俺たちはフレイラへ帰って来たのだった。


「ふぅ〜、ほんと疲れたよ〜、ハヤトが安全確保の為に定期的に周りを確認しだすしさ?」

「す、すまん。」

「まぁまぁケティさん。こうやって無事フレイラへ帰って来れたんですし、良いじゃないですか。」

「まぁそうだけど〜――よしっ!!じゃあ早速冒険者ギルドの中に入ろっ」

「そうですね、報告もしなければいけませんし。」


 ギルド横に止めた馬車から2人は降りると、「ハヤトも早く〜」ケティがそう手招きをしてくる。


「あ、あぁ、すぐ降りる。」


 だが、俺はそう言いながらも遠征用に持ってきていたバックの中からある物を取り出していた。

 それはもちろん――デスティニーレコードだ。


 正直、未だにここに「セリエラが死亡」という文章があれば油断は出来ない。その時はまた新しい対策を考えなければ。


「はぁ……はぁ……」


 高鳴る心臓を抑えながら俺はゆっくりとページを開く。

 ――――すると、


「……ッ!!!き、消えている……!!」


 そこに刻まれていた5月4日:依頼中にセリエラが死亡。の文章は完全に消え、代わりに5月6日:フレイラへ帰還。という文章が赤く記されていた。


 やったぞ……!!俺は……初めて未来を変えたんだ……!!


 強く拳を握りしめ、俺は爆発しそうになる感情を何とか抑える。


「ねぇハヤト〜?」

「ハヤトさん、降りてこないのですか?」

「あ、あぁっ!!今降りるぞ……!!」


 そうして俺はそこで心から安心し、馬車から飛び降りると3人で冒険者ギルドの中へ入って行ったのだった。


 ♦♦♦♦♦


 そしてそれから数日間。俺たちは以前フレイラで居た時と何ら変わらず依頼を受ける生活をしていた。

 

 帰って来た当日、正直受け付けのお姉さんやレイバーたちになにか言われそうで少し気がかりだったが、全然そんな事もなく、「最初は誰だってそんなもんだ」みたいに軽い感じだったしな。


 あ、ちなみに未だにウェイリスさんからの連絡は無いらしい。

 ほんとにあの人大丈夫なのだろうか?

 もしかしてもう生きていなかったり――いや、さんなはずは無い。今は考えないでおこう。


 ――と、とりあえずフレイラに戻って来てからの数日間はこんな感じで特になにかが起きたという事も無いんだ。

 ――無いんだが、


「……おいお前ら、」


 そこで俺は正面に座るケティとセリエラに声をかける。


「なに?」「なんですか?」

「なんでさっき早朝から家に来たと思えばいきなり朝ごはんを食べ始めてるんだよ!?ここ俺の家だぞ!?」


 食パンをハムハムと頬張る2人を俺は怒鳴るが2人は全く悪びれている様子は無い。


「だってさ?今日は休みだって昨日ハヤトが言ってたじゃんっ、だから来てあげたんだよっ!ハヤト寂しいかなってさ!」

「だからって人の家の物を勝手に食べ始めるのはどうかと思いますがねぇッ!?」

「えぇ〜別に良いじゃんパーティーメンバーなんだしさぁ〜」

「良くねぇよ……!?せめて食べていいか確認を取れよ!?」


「はぁ」俺はガクッと肩を落として深く椅子へ座る。

 なんかもう、この感じがあまりにもいつも通り過ぎて数日前にあんな事があって、過去へ戻ったなんて実は夢だったんじゃないかって思っちまうよ。


 そういえばマーニのやつ、元気にしてるかな。

 実は過去へ戻って強引にフレイラへ戻る事になった日、俺は色々とバタバタしていてマーニに挨拶のひとつもせずに出て行ってしまっていたのだ。


 さすがにあれは事態が事態だったとは言え、申し訳ない事をしたな。

 ご飯をご馳走様してくれたり家に泊まらせてくれたりしてくれてたんだ、お礼は絶対言った方が良かったぞ。

 出来ればもう行きたくはないが、次サンボイルに行った時は謝らないとな。


 ドンドンっっ!!


「……ん?」


 ――と、そこで玄関の扉が激しく叩かれた。


「なんだろう?」「さぁ、私にも分かりませんが」

「2人は座ってろ、俺が対応する。」


 俺は椅子から立ち上がると玄関へ歩いて行く。

 朝からなんだよ、まさかレイバー辺りが「これから依頼を一緒に受けるぞ!!」なんて展開にならないよな……?


「はい、なんだよこんな朝から――」


 俺はそれだけはやめてくれと願いながら扉を開ける。だって今日は休みだと決めた日なんだ、そこから動きたくはねぇよ。


「って、!?!?」


 しかし、そこに立っていたのはレイバーでは無く、サンボイルに居るはずのマーニだった。

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