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第30話【サンボイルへの遠征】


 下級下位から中級下位へと昇級をした4月30日。実はこの日の早朝、デスティニーレコードに新たな文章が記されていた。それは


 5月2日:砂の都サンボイルへ


 これを見た時、俺はサンボイルという街の存在を思い出した。

 サンボイルというのはフレイラから北方面に何十キロと進んだ場所にある砂漠に隣接した街の事だ。


 この街、フレイラからはナビレスの次に近い街なんだが、距離が距離という事もあって忘れていたんだよな。

 ――――でも、何故かは分からないが凄く懐かしい響きだ。まさか幼い頃に行った事でもあるのだろうか?(小さい頃に実は行った事があったけど知らなかったみたいなのってあったりするだろ?)


 それに、単純に俺たちがサンボイルに行く理由がよく分からない。

 あの街って言っちゃ悪いが何かあったか?

 ナビレスは海に隣接しているという事もあり魚の供給などを様々な町にしているというのは知っているが、


 サンボイルは言ってしまえば砂漠に隣接しているという特徴を除けば少し発展している普通の街と何ら変わりは無いのだ。

 なのに行く意味があったりするんだろうか?フレイラでも名が知れているサンボイルの冒険者が居るという話も聞かないしな。


 でも、デスティニーレコードに書いているんだからどうせ受け付けのお姉さん辺りからサンボイルの話が出るんだろうな。


 正直フレイラでも同じことを言えるがサンボイルでも何が起きるか分からん。

 新たな文章が記された時、俺に出来ることはどんな未来が来ようとも対応出来るように力を付ける事だろう。


 そうして俺は中級下位になり冒険者ギルドから帰ってくると、遠征に行くのを見据えて買っていた大きなバックに色々な物(マナポーションや治癒ポーション。包帯など)を詰め、剣を背負うといつもの空き地へひとりで向かった。


 ♦♦♦♦♦


 そして翌日5月1日。予想していた通りに早朝3人で冒険者ギルドへ向かうと受け付けのお姉さんからサンボイルの話が出た。


「どうですか?皆様も晴れて中級冒険者になられた訳ですし、この町に居るよりも他の街に遠征する方が良いかと思いますよ。」


 おいおい、それをこの町のギルドで働いている人間が言って良いのかよ。


「まぁ、確かにここらで遠征もありだとは俺も思うが。」


 俺はお姉さんから渡されたフレイラからサンボイルへの地図を見ながらそう呟く。


「どうしますか?明日辺りに出発をしても良いとは思いますが。明日なら馬車も空いていますので無料でお貸しする事が出来ますよ。」優しく微笑みながらそう言うお姉さん。


 やっぱり明日か。まぁでも貸し出し無料じゃないとまだまだお金が無い俺たちにはキツいしな。

 それに実は今日の今朝デスティニーレコードに5月3日:サンボイルに到着。5月3日:マーニと出会う。この2行の文章が追加で記された。これだけ先が詰め詰めに決まっているならもうその通りにしないとって気持ちになってくる。


「そうだな、じゃあ明日にするか。」


 すると、俺がそう言ったところで「ちょ、ちょっと待って」ケティがそう会話へ入って来た。


「は、ハヤト?本当に良いの……?」

「ん?何がだ?――あ、ケティはサンボイルに行きたくないか?」

「いや、そういう事じゃないんだけどさ、」


 そこで俺から顔を逸らすと、


「なんか、受け入れが凄く早いなって思っただけ……だよ。もしかして遠征先とか適当に決めてるんじゃないかなって。――こういうのは後悔してからじゃ遅いからさ。」

「……ッ!!」


 そうか……俺は毎回デスティニーレコードに先に記されるからその通りに進んでもなにも感じないが、ケティやセリエラからしたらそれはいきなりの出来事。

 確かに今のだけを見たら俺が適当に遠征先を決めていると見えても不思議じゃないな。


 これは、少し申し訳ない事をした。――だが、それがデスティニーレコードに決められている未来だとしても、俺はそれに向けて様々な準備をしている。だから適当なんかにはしていないつもりだ。

 

「――確かに、ケティやセリエラからは適当に見えるよな。だけど、適当になんてしていないから安心してくれ。今回のサンボイルへの遠征だってそう。実は前々から中級へ上がったら最初に遠征に行くならサンボイルが良さそうだなって考えていたんだよ。」


 それに関しては完全に嘘だが……


「――それに、毎回毎回動揺してちゃこのパーティーのリーダーとして2人を心配させてしまうだろ?だからこうして出来るだけ感情を出さないようにしているんだよ。」

「そう、なのっ、?」

「あぁ。俺はお前らが誰よりも大切だからなっ」


 俺は片手の親指を立てると笑いながらそう言う。

 これだけは嘘偽りの無い俺の本心だ。


 すると、ケティは頬をほんのりと赤らめ、そして静かに会話を聞いていたセリエラは微笑むと、


「それなら……私はハヤトに任せるよっ!」

「パーティーのリーダーがハヤトさんで良かったです。私も信頼していますからね。」

「……ッ!!あぁ……!!これからも一緒に進んで行こうぜ!!」

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