第25話【レイバーとイザベル】
「なら、俺たちが一緒に行ってやろうか?」
オーガ討伐を受けるかどうかを受け付けのお姉さんと話していると、そこでそうひとりの男の声が聞こえた。
ほらな?絶対こんなとこじゃ終わらないと思ってたんだよ。だってオーガ討伐をする事はデスティニーレコードに刻まれているんだからな。
その声を聞いた俺たち3人は振り返る。
するとそこには父を思い出してしまう様な巨大な肉体を全身鎧で纏い、背中にはバトルアックスを背負ったスキンヘッドの男と、同じく全身を鎧で纏い腰に剣を携えたキリッとした瞳の水色ショートの女性が立っていた。
デスティニーレコードに書かれていたレイバー含む冒険者ってこいつらの事なのだろうか。
俺は直ぐに声をかけようとする。
「どうし――」
「あなたたちは……!!」
しかし、なんと普段全然話さないセリエラがそこで目を見開きそう呟いた。
すると、対してスキンヘッドの男も「お!あの時のエルフか!」ニヤッと笑うとそう言う。
「ん?なんだ?お前ら知り合いなのか?」
「知り合いもなにも――ワーウルフ討伐が終わった後、気を失ったハヤトさんとケティさんをギルドまで運ぶのを手伝ってくれた方々がこの人たちなんです。」
ん?――――……ッ!!
そこで俺はその事を思い出す。あの時セリエラが言っていた「2人組の冒険者」はこいつらだったのか……!!
そうと決まれば俺とケティがする事はひとつだろう。
互いに顔を見合わせると声を合わせて、
「「ありがとうございましたっ!」」
「おぉ!礼儀の良いヤツらだな!全然構わんぞ!」
それに対して両手を腰に当ててガハハと笑うスキンヘッドの男と静かに微笑むと軽く会釈をする女性。
かけ離れたタイプのふたりだな。これが最初に俺が抱いた印象だった。
♦♦♦♦♦
「っと、自己紹介がまだだったな!俺の名前はレイバー。等級中級下位だ。――それでこっちはイザベルだ、リーダーは俺だがこいつは中級上位だったりする。物静かなやつだが仲良くしてやってくれ!」
そうして銀の板が付いたネックレスを見せてくるふたり。
てっきりスキンヘッドのやつの方が強いと思っていたが、その女性の方が等級的には強いのか。
やっぱり、リーダーが1番強い訳じゃないパーティーもいるんだな。安心したぞ……(うちのパーティーはセリエラが抜けてる感じがする)
「俺はハヤトだ。等級はまだ全員下級下位だな。」
「私はケティだよっ!よろしくね〜」
「私はセリエラです。あの時はありがとうございました。」
「あぁ!よろしくな!」
「……(コクリ)」
そうして共に自己紹介を終えた俺たちは早速本題へ入って行く事にした。
「――で、早速なんだが、なんで受け付けの姉ちゃんはこいつらにオーガ討伐の依頼を頼んだんだ?正直下級下位じゃ危ないと思うが。」
うん、それは俺も思う。いくら最近実力を付けてきているとはいえまだ下級だ。せめて中級下位に昇級してからじゃないか?
「はい、確かにレイバー様の言う通り、ハヤト様たちはまだ下級です。ですが、それは昇級試験を受けていないから。受けてさえいれば下級上位には上がれる力は持っています。それに、ハヤト様たちはこの数日間ウェイリス様直々に特訓を受けたと聞きました。」
「は、はぁっ!?お前らあのウェイリスの特訓を受けたのか!?」
「あ、あぁ一応……」
「マジかよぉ!?!?」
な、なんだよ……なんでそんなにレイバーが反応するんだ……?
頭を抱え絶叫するレイバーを見ながらそこでイザベルを手招きして呼ぶと、周りには聞こえない声で聞いてみる。
「なぁ、レイバーってウェイリスさんになんか特別な思いでもあるのか?」
すると、対してイザベルはコクリと頷くと、
「私とレイバー様は小さな頃から一緒だったのですが、実はレイバー様、自分より後に冒険者を始め、そして颯爽と実力を追い越して行ったウェイリスさんに一方的な対抗心を抱いているらしいのです。」
「ほぅ、なるほどな。」
「お、おいイザベル!?それは俺たちだけの秘密だと言っているだろう!?」
「私たちだけの、、秘密……」
そう呟くとほんのり頬を赤らめるイザベル。
あ?まてまてなんかこいつらからも普通じゃない匂いがするぞ。
なんだよこの町普通なやつって俺ぐらいじゃ――(デスティニーレコードの存在を思い出す)違う、全員普通じゃないぞ……なんかみんなキャラが濃いな……
「お、おほん。で、話を最初に戻すが、レイバーとイザベルは俺たちと一緒にオーガ討伐をしてくれるのか?」
「――ん?あぁその話だったよな。俺たちはいつもウェーグル森で依頼を受けてるから地形等の理解はバッチリだし、オーガが現れたんだろ?そんなのお前ら関係無しで受ける依頼だぜ。――だよなイザベル」
「……(コクリ)」
「なるほど」
まぁ確かに、俺たちに中級冒険者がふたり加わってくれればオーガ単体の討伐なら大丈夫か。
「お姉さん的には大丈夫か?」
「あっはい。合同討伐を受けたいという事ですよね。ギルド側は問題ありません。」
「よし、じゃあよろしく頼む。」
「おうっ!先輩がモンスター討伐のイロハってのを教えてやろう!」
こうしてデスティニーレコード通り、俺たち3人にレイバーとイザベルの2人が加わり、オーガ討伐に向かうことになった。
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