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第24話【オーガ討伐】


 ナビレスでの一件でウェイリスさんを残してフレイラに帰ってきた俺たち3人は屋敷での特訓の成果もありワーウルフレベルのモンスター討伐なら簡単に終わらせられるレベルになった。

 

 そしてそんな日々の中で

 4月29日:オーガ討伐にてレイバー率いる冒険者と知り合う、4月30日:オーガ討伐の功績により中級下位へ昇格。

 この2つの文章がデスティニーレコードに新たに刻まれる。


 今回の話はそんな上の文章の日、4月29日の朝から始まる。


 ♦♦♦♦♦


「おはよう、今日も早いな。」

「おはよ〜っ、へへ、早いでしょ?」

「おはようございます」


 今日も昨日や一昨日と同じく冒険者ギルド前で待つふたりに挨拶をする俺。

 この会話の流れももう慣れてきたな。


「じゃあ入るか。」

「そうだね」「はい」


 そうしてすぐにギルドの入り口へ向かって行く俺たち。

 ――ウェイリスさんがナビレスに残ってからそのまま数日が経った。正直なところ心配だ。


 あれから少ししてすぐにフレイラにもナビレスの話題が流れてきたのだが、周りの話では未だに街が復興する兆しは見えないらしい。

 

 後、この世界で出回っている魚のほとんどを捕獲していたナビレスが壊滅状態になった事でフレイラでも魚を売っている場面を全然見なくなったな。


 ――とまぁ色々生活に支障も出る訳だが、そんな事で俺たち冒険者は止まっていられない。

 なんと言っても冒険者という職業は周りの人たちを守る仕事だからな。

 それにきっと、自分を心配して俺たちが立ち止まっていると知ればウェイリスさんは怒るはずだ。


 だから俺たちはウェイリスさんを心配しながらも、それを直接口に出すことは無かった。



「おはよう」「おはよ〜」「おはようございます」


 そんなこんなで日々依頼をしている俺たちがギルド内に入る。

 すると、ギルド内に居る冒険者たちがそれぞれ挨拶を返してくれた。


 そう、実はウェイリスさんの屋敷で特訓をしてもらっている時、他の冒険者たちとの交流も大切だからともう少し依頼を受ける時間を遅らせてみればと言われ、ナビレスから帰ってきた翌日からギルドに来る時間を少し遅らせたのだ。


 正直、こんなまだまだ底辺の俺たちに誰も返事なんてしてくれないと思ってたんだが、この町の冒険者自体が少ないからか、みんなとてもフレンドリーに接してくれる。

 これは嬉しい発見だったな、ウェイリスさんに指摘されなければ今もきっと俺たちは早朝の誰もいない時間に依頼を受けているだろう。

 ――だから、この感謝の気持ちを伝える為にも早く帰ってきて欲しいな。


 すると、そこで俺たちがギルドに入った事に気づいた受け付けのお姉さんが手招きをして来た。


 ん?なんだ?俺たちに何か用事でもあるのだろうか。


 俺たち3人は互いに顔を見合わせると、とりあえずお姉さんの元へと向かう。


「どうした?俺たちに何かあるのか?」

「はい、実はさっき緊急で入ってきた依頼があってですね、誰か適任がいないかと探していたんですよ。」


 緊急の依頼、か。正直その響きには嫌な思い出しか無いんだが。――――って、……!!


 そうだそういえば……!!

 そこで俺はデスティニーレコードに新たに刻まれた文章の事を思い出す。今日は4月29日。そして4月29日に起きると記されていたのは――


 4月29日:オーガ討伐にてレイバー率いる冒険者と知り合う


 緊急の依頼ってこの事か……!!

 確か「レイバー率いる冒険者」と知り合うんだよな……?それはきっと合同討伐って事だ。そしてそれが後々俺たちの昇級に繋がってくる、と。

 

「ちなみにだが、その緊急の依頼ってオーガの討伐だったりするか?」


 俺はお姉さんにそう聞く。

 すると対してお姉さんは直ぐに目を見開くと、


「は、はい。な、なんで分かったんですか……?」

「いや、単なる勘だよ。」

「そうですか……――で、どうですか?オーガ討伐。現れたのはウェーグル森です。」

「ウェーグル森……」


 説明しよう。ウェーグル森とはフレイラの南側にある森の事で、いつもヴェロッサ森に向かう時に使う西出入り口から出て、しばらく歩いたところにある左への分かれ道をまっすぐ行けば着く。


 この森はヴェロッサ森よりも更に木々の間隔が狭く、あまり光も入らない為薄暗く、更にはヴェロッサ森とは違い山菜も生えない為ちゃんとした道も無いという中々初心者の冒険者にはツラい森だ。(なぜ知っているかというと父が主に主戦場にしていた場所がこのウェーグル森で、度々話を聞かされているからある程度は知っている。)

 

 「ウェーグル森は少し危険だと思います。」


 そこで話を無言で聞いていたセリエラがそう言う。


「エルフの私は慣れていますが、ハヤトさんとケティさんには厳しいかと。」

「正直、俺もセリエラとは同感だ。」


 そんなセリエラに俺も重なる様に言う。

 正直あれだけ父に話を聞いていたからこそ、俺たちにはまだ早いと思う。


「そう、ですか。皆さんも確実を実力を付けてきていて良いと思ったのですが。でも、それなら仕方ないですね。では別を探すとします。」


 ……ん?ありゃ?この感じもう受けなくて良いって事か?

 でもデスティニーレコードの言う通りだと受けるはずだが――


 いや、待て。絶対このままで終わる訳が無い。何かしらの出来事が起きて――


 するとそこで案の定、受け付け前に居る俺たちに後ろから誰かが声をかけてきた。


「なら、俺たちが一緒に行ってやろうか?」


 ほらな。

読んで頂きありがとうございました!!

もしよろしければブックマーク、そして【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に変えて頂いてから続きを待って貰えると本当にモチベーションに繋がるので是非よろしくお願いします!!

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