龍(竜)は実在したという話
こんにちは~!! ひだまりのねこですにゃあ。
さて、今日4月23日はドラゴンの日でもあります。
竜殺しで有名なキリスト教の聖人ゲオルギウスが殉教した日ですからね。
聖人ゲオルギウスについては、さきほど投稿した連載エッセイ『今日は何の日? ひだまりのねこの気まぐれエッセイ』をお読みくださいにゃあと宣伝しておきます。
ところで皆さまは不思議に思ったことはありませんか?
十二支の中に一つだけ入っている架空の生き物、龍(辰)の存在を。
他の生き物は全部実在する動物が採用されているのに、龍だけが空想上の動物になっています。
これはさすがに不自然だし無理がある。
ならば、当然龍は実在した生き物を指していたと考えるのが自然なのです。
でも実際に龍のような生き物が当時の中国に実在したのか?
いたんですね~これが。
結論から言えば、ワニです。
え? ヨウスコウワニは大きくなっても2メートルに届かないくらいのサイズだろうって?
たしかにそうなんですけど、いたんですよ、古代中国にはもっと巨大な奴が。
以前から、その可能性は指摘されていたんですけど、先月名古屋大などの研究チームが、有史以降も古代ワニが生き残っていたとする結果を発表しました。
中国で発掘された3体の骨格標本からコラーゲンを分析した結果、なんと紀元前1300~900年ごろの個体と判明したのです。
紀元前1300~900年ごろといえば、商(殷)~周代にあたります。さらにワニの頭蓋骨からは、青銅器によって傷つけられた跡も見つかったのです。
十二支の起源は古く、商代にはすでに運用されていました。古代シュメールの十二宮が起源と考える人もいますが、少なくとも古代中国においてワニが採用されても不思議ではなかったということになります。
実際に、古い時代のものほど、十二支における龍の姿はワニに近似してゆくことからも可能性は高いのではないでしょうか。
この傾向は西洋の竜にも同じことが言えて、古代の神話に登場する竜とされる存在は、ほぼ蛇です。
そもそも『ドラゴン』を意味する言葉の語源からして、蛇を意味するのであって、翼が生えていたり足が4本あったりするファンタジー風のドラゴンの姿は、中世以降に描かれたものなのです。
ところでこの古代ワニですが、日本で発見され、一万年前のが氷河期までには絶滅したと考えられていた古代ワニ『マチカネワニ』の近縁種だということがわかっています。
全長7~8メートルとかなり大きく、当時の人々からすればまさにモンスターだったでしょうね。
残念ながら中国で生き残っていた彼らも、数百年前までには人間によって狩り尽され、文字通り伝説上の存在へと姿を変えていったのです。
日本の神話や古代の文書には、頻繁にワニが登場します。
因幡の白兎なんかは有名ですよね。
マチカネワニを始め、日本にも数種類のワニが生息していたことは間違いないのですが、1万年前の氷河期にはすべて姿を消したと考えられています。
ですが、日本の歴史は現時点ではわからないほど古いのですから、もしかしたら生き残っていた個体がいたのかもしれません。
あるいは、中国では生き残っていたのですから、氷河期が終わり、温暖化した日本へ再び戻ってきた可能性も否定できません。
実際に戦前の日本の動物リストにはイリエワニが入っていました。これは当時の統治領パラオに生息していたからですが、それ以前にもちょくちょく海流に乗って日本へ到達するイリエワニは結構いたのです。
人間の都合で殺されたり、退治された龍や竜の中には、貴重な古代の生き残りがいたことでしょう。もしかしたら、より恐竜やドラゴンに近い種類もいたのかもしれません。
龍や竜は自然の力を具現化した存在として描かれるように、各地に残る自然信仰やアニミズムと習合してその姿を変えていきました。
時には人間の脅威として、ある時は守護するものとして。
今を生きる私たちは、彼らの姿を見ることは出来ませんが、神話や物語に触れるとき、その原点となったであろう大蛇やワニたちの存在に、少しだけ想いを馳せてみて欲しいと私は思うのです。
もうすぐGW、せっかくならワニさんを見に行ってみてはいかがですか~!!
エッセイに登場したマチカネワニを見たいならこちら。
■マチカネワニの骨格展示 大阪大学総合学術博物館
生きているワニが見たい!! そんな方のために、ワニが見れる施設をピックアップ!!
■北海道・東北
・札幌市円山動物園(北海道)
・仙台市八木山動物公園(宮城県)
■関東
・上野動物園(東京)
・熱川バナナワニ園(静岡県)
・東武動物公園(埼玉県)
■中部
・世界淡水魚園水族館 アクア・トト ぎふ(岐阜県)
・豊橋総合動植物公園(愛知県)
・静岡市立日本平動物園(静岡県)
■近畿
・京都市動物園(京都府)
・ニフレル(大阪府)
・王子動物園(兵庫県)
・鳥羽水族館(三重県)
■中国・四国
・愛媛県立とべ動物園(愛媛県)
・池田動物園(岡山県)
■九州・沖縄
・別府鬼山ワニ地獄(大分県)
・熊本動物園(熊本県)
・沖縄こどもの国(沖縄県)
他にもあるとは思いますけど、上記の施設を含め、必ず事前にワニがいるか確認してくださいね~。
最後に豆知識。
タイやチベットなど、いくつかの国の十二支では、兎のかわりに猫が入っているのですよ。やったのです!! にゃふふ~!!