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#11 金こそが全て

大都会【メテオシティ】郊外の大邸宅─

高校生にして世界一の大企業【クライ産業】の社長でもある俺、カイト・クライは、ここに住んでいる。

しかしそれは、俺の“表の顔”としての住処。

裏の顔─スーパーヒーロー【ナイトクロウ】としての住処は、邸宅の地下深くにある秘密基地【クロウ・ネスト】だ。

俺は今日もそこで、相棒である【クロウガール】ことルナと、サポートAIメイドであるイブと共に、外道ヒーローチーム【ジャスティス・ギルド】への復讐作戦を練っていた…


◇◇◇◇◇


「ヘルゲート刑務所は、メテオシティ湾に浮かぶ人工島に建てられています。周辺の海には、海洋系ヴィランの脱走を阻むための電気ネットと機雷を設置しており、交通手段は空路のみ。ただし、高射砲も備えているため、空からの脱出も不可能です。

建物の壁やガラスは、強力なパンチやレーザーを放てるヴィランでも壊せない特殊素材。セキュリティゲートは、音声、指紋、網膜の3重認証。AIによる24時間365日体制の監視。まさに、潜入も脱獄も不可能な、“鉄壁”の刑務所と言えるでしょう」

ホログラム状態のイブの解説と共に、基地中央のモニターに、世界最凶のヴィランばかりを収容したヘルゲート刑務所が映し出される。


ここに、俺が探している“兵隊”がいる。

「世界最強のスーパーヒーローと対決するのは、俺たち自身じゃない。あいつらには“スーパーヴィラン”をぶつけるんだ。ここから“最凶”のヴィランを選び出して、【アンチ・ジャスティス・ギルド】を結成する」


俺はスーパーパワーがないからこそ人一倍努力してきたが、ジャスティス・ギルドの連中には見下され、挙句の果てに理不尽な理由でチームから追放された。

ヘルゲート刑務所には、ヒーローに敗れ、世間から“追放”された、負け組のヴィランたちが集まっている。

そういう意味では、俺たちは似たような境遇と言ってもいいかもしれない。

自分たちが見下してきた連中に“仕返し”されるのは、プライドの高いジャスティス・ギルドのメンバーにとって、最も効果的な復讐方法だと言えるだろう。


「でも、刑務所に捕まってるヴィランってことは、一回スーパーヒーローに負けてるんでしょ」

ルナが不思議そうに言う。

「…ってことは、そんなやつらが何人集まっても、結局負けちゃうんじゃない?」

「いや、問題ない。あいつらが負けた理由は、優秀な“指揮官”がいなかったからだ」


基本的に、ヴィランは自分の私利私欲で動き、お互いに協力することもめったにない。

だが、今回はチームを指揮する、俺というリーダーがいる。

俺には、一人ひとりの能力を最大限に活用して、ジャスティス・ギルドに絶対に勝てる作戦を考える自信がある。


本当は、悪党の手なんて借りたくない。

だが、悪党だからこそ、あいつらは100パーセント使い捨て可能。

ジャスティス・ギルドを倒して真の平和を手に入れるためなら、俺はどんなものでも利用する覚悟だ。


ヘルゲート刑務所に収容されているありとあらゆるヴィランのデータが、モニターに映し出される。

道化師の【ラフメイカー】、宇宙の独裁者デスサイズの娘【シックル】、豹女の【レオパード】、トーチ/コールドケース/キャプテンヨーヨー/シャッタードグラス/スピン/レイニーデイズ/ピーカブーの7人組【アンチ・ライトニングス】、隕石を降らせる【スターゲイザー】、不死身の魔術師【ラスプーチン】のような、ジャスティス・ギルドの宿敵級の超大物。


メテオシティ中の人間をゴリラ化させようとした天才ゴリラ科学者【ゴリラ・ジーニアス】、人食いウナギの【イール】のような、動物系。

被害者の体を自分に継ぎ接ぎする殺人鬼【パッチワーク(2代目)】、ネズミの着ぐるみを着た打ち切り子供番組元主役の児童誘拐犯【ラッキーラット】のような、サイコ共。


塩コショウを武器にする【ソルトアンドペッパー】、あらゆるスポーツの技術と道具で戦う【スポーツマン】のような、Z級。

全身が汚染物質でできた巨大な【ポリュータンク】や、星を喰らうガス状生物【アンチマター】に至っては、“カイジュウ”と呼んだほうがいいかもしれない。


中には、自ら望んで収監されたヴィランもいる。

例えば、素手で触れたものをなんでも黄金に変えることができる【ゴールデンタッチ】は、その能力を裏社会中に狙われていたが、司法取引を行い鉄壁のヘルゲート刑務所に入ることで、絶対の安全を手に入れた。


他にも、ドクター・ディスアセンブル、ザ・スパークル、ボストークⅠ、シーハンター、ピクセルキッド、レインボープリンセス、ロードレイジ、パワーアンプ、バブルボム、ファニーボーン、6フィートアンダー、トラップマスター、イマジナリーフレンド、ゴーストライター、トーピード、バーバ・ヤーガ、Mr.ダダ、オーラムなどなど、ヘルゲート刑務所に収容されている5000人以上のヴィランの情報が流れていく。


「ここからメンバーを選び出すなんて、なんだか、ソシャゲのパーティー編成みたいね。最凶のヴィランたちをピックアップして、自分だけのチームを作り上げる」

ルナが目を輝かせている。

「そういうことだ」

「ワクワクするわ。これから“プリズンブレイク”が待ってるってわけね!」

…プリズンブレイク?なにを言っているんだ?

いまいち、会話が噛み合っていない気がする。


「…なにか勘違いしてないか?」

「えっ?…だって、ヘルゲート刑務所は“潜入も脱獄も不可能”でしょ。しかも私たちはヒーロー、堂々とヴィランを連れ出すわけにもいかないじゃない?だから、こっそり潜入してヴィランたちを脱獄させるんだと思ってたんだけど…」

なるほど、そういうことか…


「いや、わざわざそんなリスクを冒す必要はない」

「えっ…じゃあ、潜入も脱獄もなし?」

「そうだ。もっと手軽で、安全な方法がある」


俺の即答を聞いて、ルナは少しがっかりしたようだったが…

「…ま、まぁいいわ。もうこういう展開には慣れたし!鉄壁の刑務所から安全にヴィランをピックアップする方法…ずばり、保釈金でしょ?凶悪なヴィランたちの保釈金は桁違い、普通だったら誰も支払えない。けど、世界一の億万長者のカイトなら、何人分でも簡単に出せるってことね!」

すぐに気を取り直して、うんうんとうなずいている。

…なんだか、声をかけづらいな。


「一人で納得しているところ悪いが…それも違う」

「…えっ!?じゃあ、一体どうやってヘルゲート刑務所からヴィランをピックアップするのよ!?」

読みが外れたルナは困惑しているようだが、無理もない。

俺と一緒に活動するようになって時間が経つが、まだ世界一の大富豪の思考回路を完全には理解しきれていないらしいな。

「簡単だ。潜入したり、一人ひとり保釈金を払うよりも、シンプルな方法─ヘルゲート刑務所ごと買い取ればいいんだ。俺のパワー…“世界一の財力”でな」

凶悪ヴィラン続々登場?舞台は地獄の刑務所へ!

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次回もお楽しみに!

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