第5話
初めて家族の中で味方が出来たような気がした。
* * *
姉さん達は二人とも煙草を吸っていた。
母は知らなかったのだが、恵姉さんの時も里美姉さんの時も「ママには秘密ね。」という口約束をしていた為、黙っていた。
それがある日ペットボトルの中にある吸い殻を捨て忘れて、母に見つかってしまった。
その時姉さんは友達と遊びに行っていて、家には私とママしかいなかった。
いきなり私の部屋に怒鳴り込みに来て…
母「美奈あんた知ってたでしょ。この煙草の吸殻誰のなのか(日本語)」
美奈「知らないよ。(日本語)」
母「ふざけんじゃないわよ。あんたまた私が倒れる姿見たいわけ?早く言いなさい(日本語)」
美奈「だから知らないってば。(日本語)」
母「そう。知らないなら分からせてあげる。言わないんだったらぶつよ(韓国語)」
美奈「知らないものを知らないっていうのに何を言えっていうの?(日本語)」
母「イカれた女!殺してほしいの?(韓国語)」
美奈「・・・。」
母 「手出しな。何発ぶたれたいの?(韓国語)」
美奈 (ぶたれたくないに決まってるじゃん。てか何発殴りたいんだよ…)
「5発?(韓国語)」
母 「10発でもなく5発?おかしいでしょ!(韓国語)」
美奈「なんで聞いたの?(日本語)じゃあ10発。(韓国語)」
母 「本当口答えもそうだし生意気ね(韓国語)」
―10発 ハエたたきでふくらはぎを叩かれる―
母 「さあ言いなさい。あんた里美が煙草吸ってたの知ってたのに知らないって嘘ついたんでしょ?(韓国語)」
美奈「…。知らないって言ってるのにいい加減にしてよ!(日本語)」
母 「私はそんな嘘つきに育てた覚えないの。正直に答えなさい!(韓国語)」
美奈「…。知らないものは知らないって何度言えばいいの。(日本語)」
母 「あんた本当いつからそんな子に育ったの。お母さんが死ぬ姿見たいの?(韓国
語)」
美奈「はぁ…。そういうんじゃないって…なんでそうなるの?お母さんに本当ついていけない(日本語)」
母 「私はあんたの為に生きてきたのに何なのよ!あんた私が死んだらどうするつもりよ!!(韓国語)」
美奈 「…。」
‐母泣き叫びヒステリックを起こし失神‐
慌てて泣きながら救急車を呼んだが、救急車が到着する前に母が起き上がりすぐ電話を折り返し救急車をひき帰させた。
後々事情を韓国語で長々と姉さん達と韓国にいる家族たちに言いつけるように電話し、おばあちゃんといとこにまで雰囲気でしか理解できない早い暴言を吐かれながらとにかく罵声を受けた。
私はただ、秘密だと約束したから守りたかっただけなのに…。
なんでここまで責められるんだろう?
ていうかいくらなんでもこれは理不尽すぎないか?
普通の母親ってここまで怒る事なの?
里美「ありがとう。でも本当頑固ね。そこまでして言わないなんてお姉ちゃん達の事そこまで守ろうとしてくれた事は嬉しいけど、母さんの性格分かってるでしょ?できる限りは火に油注ぐような事しないようにしよう。母さんにとっては私達よりあんたが特別だからもっと怒るの。(韓国語)」
美奈「お姉ちゃん達の方が特別だよ。私お姉ちゃん達みたいに家族思いじゃないから(韓国語)」
片言の韓国語を一生懸命使いながら里美姉さんに返事した。
母さんは頭に血がのぼったら失神する。
恵美姉さんの場合、泣きじゃくりながら理不尽だろうとなんだろうと姉さんが絶えてごめんなさいを連呼する。
だから母は恵美姉さんと喧嘩する時は失神する事はそう無かった。
なぜなら母が怒り出したら姉さんは自分の聞きたいことだけを述べて、自分が求めてる反応をするからだ。
里美姉さんの場合は、一度だけ母が軽く失神したときに救急車は呼ばず、冷静に介抱したらしい。
里美姉さんによるとそれがきっかけで失神しても意味ないと思ったからか知らないが頭が血がのぼるようだったら里美姉さんから避けるようにし一人で溜め込んだらしい。
私の場合は姉さん達のように大人なわけでも論理的に通用するわけでもない訳だから、反抗もできないし、頑固だからやっぱり泣きじゃくって謝ることすらしたくがなかった。
早く大人になった自立したいな。
母から離れたい。
早く一人になりたい。