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‐プロローグ‐
妊娠したかも。
平成6年生まれ戌年、日本と韓国のハーフのとても普通とは言えない生活を送って来た私にも、有りがちな悩みができた。
私には7年付き合っている同棲している2歳年上の彼氏がいた。
お世辞とは言えないほどのクズ男だった奴だ。
人間誰しも心の中に善と悪の両方を持っているが、今の私の姿は彼にとって天使から羽が剥がれ落とされ豹変した狂気じみた悪魔のように映っているのだろう。
彼だけでのせいではないだろうが、いつからだろう…。「疑う」という行為自体を知らずに、とても純粋に見るもの聞くものだけを信じ能天気だった私がこんなにも変わるきっかけになったのは…。
妊娠検査結果を待っているこの数日間、なんでこんなクズと今の今まで付き合っていたのだろうかしみじみと考えた。
そして今、仕事も独身としての生活が少しずつ変わろうとしている私は、昔からの夢だった「本を書く」という行為を実践しよう、ふとパソコンに向かった。
私たちの出会いは2013年夏の終わりだった…。