8章 仲間の為に
アラルたちはドーネル王国での要件も済んだのでそこから北上し次の寺を目指すことにする。それは覇王の寺と呼ばれるガビル島だった。獣王の寺のシステムは3階層あって、その日の優勝者がその階層のボスと戦う権利を得るというものだった。そしてそのボスに勝てば通過というもの。3階層全てを制覇すれば宝玉を貰えるというものだった。果たして、システムは同じなのか。
アラルたちはガビル島へ渡るためにスプキという町を訪れたのだった。スプキの渡し場よりガビル島へ渡るための船は出ているようだ。
スプキには寄合所に所属するチームが大勢集まっているのだとか。彼らの目当てはスプキの北にある森の中の地下ダンジョン。まだ攻略者がおらず、皆奮起しているのだとか。そして、そのダンジョンで自分の力のなさを知っても隣に覇王の寺があり鍛えなおすことも可能であるという恵まれた土地となっているのであった。強くなるために鍛えたいのであれば、是非ともこのスプキに住むのがおすすめである。
と、余談はさておき、なかなかの人気を誇る覇王の寺。船に乗るのにも並んで待たないといけないくらいであった。アラルたちが乗った船は40人ほどが座れる船だったのだが、すぐに満員になり出発したのだった。
船には屈強な戦士、手練れっぽい人、なかなかの緊張感がこの時点で漂っていた。そんな中、バカ笑いしながら話し込んでいるチームもあった。男1人に女3人であった。観光が目的ではないと思われるのでもしかしたらこいつらとも戦うことになるのかもしれない――とは思ったものの拍子抜けしてしまったのも事実であった。
「アラルさんは獣王の寺の宝玉を1人で獲得したんですよね」
ティーナの質問にフォーティーは目をキラキラさせていた。
「そうだな。あの時は宝玉が欲しくて戦っていた訳ではなかったんだがな」
そんなこんなで島へ着き、寺の中へと通された。雑魚寝部屋っぽい広い部屋に大勢の選手が転がっていた。話によると長い者ではここに1年も居るらしい。こういう部屋がいくつもあり、自由に使っていいとのことだった。挑戦したいときは朝その階層の受付でエントリーする必要があるらしく、まずは試験として寺の職員に認められた者がその先の戦いの間と呼ばれる場所へといけるらしかった。1階層の試験は難なく合格した。アラル1人を調べられただけで他は特に何もされることはなかった。そしてその先の戦いの間。
気合の乗ったアラルだったが、一人で片づけてくるよ、と言おうとしたときだった。
「アラルの出場は禁止。ティーナとフォーティーで倒す感じで進む」
サランの言葉に目を見開き威嚇するアラルだったが、サランの目力に負け、渋々従うことにする。
「よろしい」
1回戦、2回戦、3回戦、難なく突破した。フォーティーが先鋒で厳しくなると次鋒のティーナに代わって。そしてその日の決勝戦が訪れる。これに勝てばこの階層は突破ということになる。決勝の相手は船で見かけた旅行気分の楽しそうな奴らだった。チーム唯一の男性が先鋒として前に出る。
「頼むぞ、フォーティー!!」
アラルはフォーティーに声援を送る。今日一日アラルがやったことといえば応援と疲れた選手への補助だった。マネージャーという立ち位置におり、それが一日で板についてきているようだった。サランはというと、どこからか買ってきたポップコーンを美味しそうに頬張っていた。
フォーティーの相手の男の名はビジャルといった。
「は…?」
アラルは思わず声を漏らした。ビジャルは開始直後フォーティーを一撃でノックアウトしたのだった。
「じゃあ、次、よろしくねー」
審判の言葉にビジャルはその場を動こうとはしなかった。
「次も俺がやる。別に構わないだろ」
「うん、好きにして」
アラルはステージに倒れているフォーティーを回収に向かった。
「大変だな、マネージャー業ってのも。俺には真似できないわ」
ビジャルは大声で笑いながらアラルを下げずんだ目で見ていたのだった。
アラルは無心でそんな挑発に乗ることはなかった。
「頼むな、ティーナ」
アラルは小声でティーナに後のことを託した。震える手を抑えながらアラルはステージを下りて行った。
「わっはっは」
ティーナにも善戦する場面はあったのだが、ビジャルの圧倒的強さに敗北したのだった。
「ティーナはレベル18000だよね。ビジャルは化け物じゃん…」
サランは口を開けたままアラルの横で呆然と眺めていた。
「はい、2敗したのでそちらの負け――は確定したんだけど、3回戦も特別にやっとく?」
審判はアラルを見ながらそう尋ねる。
「こいよ、マネージャー」
ステージから見下ろすビジャル。
「アラル…」
心配そうに見つめるサラン。アラルはすっと立ち上がるとステージへと上がる。ビジャルの前に立つとそのまましゃがみ込んだ。
「ティーナ、すぐに手当てしてやるからな」
アラルはティーナを担ぐと、そのままステージから下りていった。
「やらないということでいいのかな?」
審判の問いにアラルは首を縦に振った。
「とんだ玉無しだな、こりゃ。お前は仲間をこんなにされて黙ってられるってのか!は!?」
ビジャルの挑発にアラルが言葉を返すことはなかった。
「ここはお前たちの来る場所じゃない、さっさと帰りな」
ビジャルは大笑いしながらステージを下りて行ったのだった。
「俺はマネージャー、俺はマネージャー、俺はマネージャー、俺はマネージャー…」
アラルは無限にその言葉を呪文のように呟いていたのだった。その日の戦いは終わった。宿舎へと戻りまた明日エントリーに行かなければならない。
「アラル、すいませんね。僕たちがふがいないばかりに嫌な思いをさせちゃいましたね」
フォーティーの言葉にアラルは笑っていた。
「俺に欠けていたのは我慢なのかもしれないからな。このくらいどうってことない」
「そうですか」
次の日、アラルたちは昨日と同じ布陣で難なく1階層を突破したのだった。そして第2階層へと入る。2階層でのシステムは1階層と全く違うものだった。種目としては鬼ごっこ。鬼となる職員2人から4時間逃げ切ればこの階層は通過となる。森をベースとした土地となっており隠れる分には事欠かない。他チームとの共闘もよし、鬼への攻撃もよし、とにかく捕まらなければいいだけのことだった。そして、チームの1人でも捕まらなければそのチームは全員通過ということになるらしい。
「ここで鬼を担当するシラ=ショークスとステラ=アクリムだ、よろしく。では捕まることのないよう、頑張ってくれたまえ」
開始の合図とともに各チーム即座にその場を離れていった。広大な森、そんな中を2人で捜すだなんてこれは楽勝だなと高を括るアラルだった。
今回のエントリー者は50人。開始から1時間が経過した頃だった。何やら拡声器のようなもので放送が鳴り出した。
「現在の生き残りの人数を発表します。残り10名」
「は!?」
放送にアラルは唖然とする。
「これはまずいですね。僕の危機感知も相手が殺そうとしない限り発動しないので…どうにもこうにも」
「そうだな。でもこの1時間、鬼に捕まっているチームを見る機会も多少はあった。捕まりやすい形としては鬼を背に逃げるものだったな」
「でも、鬼から逃げなきゃ、鬼ごっこは成立しないんだよ」
こちらの生き残りは3人。ティーナは鬼の足止めとして俺たちの身代わりとなったのだった。
「だが…」
アラルが悩みこんでいると、
「そうですね。戦ったほうがいいのかもしれないですね、最初のルールでもそう謳ってましたしね」
「誰かが囮になるってこと?」
「それしかないでしょう。相手にはまず勝てないでしょうから」
そう結論が出そうになる時だった。
「いや…違う。そうやって他のチームも数を減らし、詰みの状態に追いやられてたんだ。俺たちだってそう、ティーナがいなくなって俺やフォーティーのどちらかもいなくなれば確実に詰みだ。全員で戦うしかないと思うんだが。幸い鬼が2人で協力してた所は見ていない。1人しか来ないことに賭けるしかない訳だが」
「そうですね。1人欠けて生き残ったとしても残りの3時間を耐えるのは難しいでしょう。それならば全員で行動したほうがいいのかもしれませんね」
アラルたちは周囲を見渡しながら隠れ家を転々とし、逃げ延びるのだった。残り1時間。
残念なことではあったがこのまま時間まで逃げ切るということはできなかったのだった。
「ふふ、見ーつけた」
鬼の声に仕方なく姿を現す。
「どーするの、アラル?」
「作戦通りにやるんだ。相手は殺さないはずだからサランも頑張れ」
「おおう」
気合のこもったガッツポーズをするサランだった。
鬼の移動速度は目にも止まらぬ速さだった。瞬時にアラルは捕縛されてしまった。
「ん?」
違和感を覚え鬼であるステラは捕縛した者を見つめる。パン!
捕縛していた者はいきなり弾けて消えてしまったのだった。
「ダミーか、なかなかやるじゃないか。じゃあ、こっちも少し力を見せちゃおうかな」
突然ステラの姿が消える。周囲を見渡してもどこにも確認できない。
「フォーティー、鬼の気配は?」
「全く分かりません」
「これ、ヤバイんだよ」
各個撃破が最悪のパターンであり離れるのはまずい、だが固まりすぎるとまとめて捕縛される。相手を視認できない状況では取れる手段を判断できない。
「つっかまえたっと」
サランが捕まった瞬間、アラルは鬼を蹴り飛ばした。幸い、捕縛される前だったため救われたのだった。
「サラン、鬼はどこから出てきた?」
「分からないよ。突然後ろに現れたんだよ」
『後ろ?まさか、俺と同じ技を使えるというのか?だが…、タイムラグがありすぎる。奴は何をしたんだ?』
「鬼、来ませんね?」
フォーティーの問いにアラルは答える。
「蹴り飛ばしてすぐ分身に追撃に行かせたからな。適当に逃げさせているから多少は時間も稼げるだろうけど…」
途中で喋ることをやめ、アラルは後ろを振り返る。
「すごいわね。ステラを手玉にとっちゃうなんて」
現れたのはもう一人の鬼シラ=ショークスだった。
「もう全員捕まえたのか?」
アラルの問いにシラは笑いながら答える。
「ご名答。残り20分、折角だし私が相手になってあげるわ。暇なんでしょ?」
「暇を潰したい気分ではないんだけどな」
観念したアラルはフォーティーとサランに合図を送る。
アラルの初撃をかわし、フォーティーの魔法もかわすと最後に控えていたサランの拳を受け止めるのだった。
「えい!」
「あら、可愛い。でも、一緒に居ちゃ危ないからあなたは先に捕縛しとくわね」
シラはそう言い、サランの頭に手をかざしサランをどこかに転送してしまった。
「はい、残り2名」
激闘を制するのはシラだった。不意をつかれたアラルをかばいフォーティーは転送されてしまった。残り1分。
(奴に触れられたら即アウトだ。距離をとりつつ迎撃するしか…。)
瞬時に距離を詰めてくるシラ。アラルはそのタイミングでシラへと突っ込むのだった。
「おっと」
アラルの渾身のカウンターの拳を難なく避けたシラ。
「残り5秒。よく頑張りましたが、ここでゲームオーバーでした」
シラがアラルに触れようとしたとき、突然アラルの姿が消えたのだった。
「え?」
「ゲームオーバーはそちらの方では」
声のした方を瞬時に振り返るシラ。
「あなた…」
「そうです。覇属性技である【背取り】を習得していました」
「はぁ…」
シラはため息をつきながらその場に座り込んだのだった。
「合格ということで、よろしいでしょうか?」
薄ら笑いを浮かべながら喋るアラルに観念したのかシラはそのまま地べたに大の字に寝そべったのだった。
「合格、合格。まさか、2日連続でこの階層を通過されちゃうなんて…」
その後、アラルたちは1日休養をとり次の階層へと進むことにしたのだった。
第3階層、ここが最後の試練。システムは3階層にいる職員3人と戦い、認められればクリアということだった。気合十分なアラル。目の前に出てきたのはここの当主であるガビル、そしてその配下の者2名だった。
「ようこそ、覇王の寺最終階層へ。本来ならば私たちがお相手するところだが、今回は2日連続で2階層を通過するという前代未聞の事件が起きたため試練の内容を今回だけ変更することにした」
ガビルは機嫌よさげに話をしていた。
内容というのは前々日2階層を通過した者と昨日通過したアラルたちで戦うというものだった。先に2勝した方の勝ち、これは第1階層のシステムと同じものだった。試合は1時間後に始めるそうでそれまでに出場者を決めておくようにと言われたのだった。
「アラル、どうする?」
心配そうな顔でサランはアラルを見つめる。
「どうするも何も、今まで通り。俺はマネージャー業に徹するよ」
アラルの言葉にフォーティーとティーナは少し顔を曇らせているのだった。
ステージ上、対面にいる相手は1階層の決勝で当たったビジャルだった。
「やっぱりかよ…」
アラルはビジャルを見て深いため息を吐くのだった。当然のごとくビジャルは先鋒としてステージに立っているのだが、恐らくビジャル以外がステージに上がることはないだろう。
「気合いだ、気合。行け、フォーティー!」
アラルの気合のこもった声援が響くのだが、フォーティーはステージには上がろうとしない。
「何やってんだ?ビビッてんのか?」
アラルの言葉にフォーティーは笑顔を見せる。
「もう我慢の訓練は十分じゃないですか?」
すると後ろからティーナが肩に手をおいた。
「ドーネルでの暴走の件も十分反省してると思いますしね」
「うん。行け、アラル!今回だけは好きなだけ暴れることを許す」
サランは笑いながらアラルの背中を押したのだった。
「そうですか、もう俺は釈放って訳ですね」
そう言うと、アラルはステージへと一気に駆け上がる。
「おい、マネージャー。ステージの掃除でもしようってのか?」
ビジャルの挑発にアラルは口を緩ませる。
「掃除…。そうだな、掃除しにきたようなもんだ。目の前の大きなごみを」
「ごみか、言うじゃねぇか」
「なぁ、ガビルさん。ここは2勝じゃなく、1勝で勝負を決めたいのだが、それでもいいか?」
突然のアラルの提案だったが、ガビルは快く頷いた。
「ビジャル、お前もそれでいいよな」
「はっ、あたぼうよ。勝敗の分かってる奴と戦っても面白くないからな」
両者納得がいったということで審判が開始のどらを鳴らしたのだった。
「戦う前によ、一つだけ聞きたいことがあるんだが、いいか?」
「ああ」
「お前のランクはSSか?」
「は?SSって何だ?最高ランクはSじゃないのか?…俺はランクDだ」
アラルの答えに驚いた表情を見せるビジャル。
「は!?意味わからねぇが、まあいいか。全力でかかってこいよ」
「言われなくてもそのつもりなんだが」
瞬時にアラルは距離を詰める。壮絶な戦いだった。ティーナが1階層でビジャルと戦った時が時間で5分程だったのだが、既に30分は経過している。お互い一歩も引かない接戦。
(何だこいつ…、滅茶苦茶強いじゃねぇか。)
「何笑ってんだ?お前、マゾっ気でもあんのか?」
ビジャルの言葉にアラルは自分の顔を触る。
「確かに、――笑ってんな。よく分かんねぇな」
「俺は楽しいぜ。心が沸き立つ久しぶりの相手だ、お前は」
「そうか。じゃあ…」
最後の力を振り絞りアラルは【背取り】を使いビジャルに奇襲を仕掛けるのだが、アラルの放った渾身のパンチと同時にビジャルのパンチもアラルにヒットしたのだった。両者同時にステージに沈んだのだった。
静寂が辺りを包む。
先に立ち上がった者が勝者ということになるからだった。
「勝者、ビジャル!!」
数分の後ビジャルが立ち上がったのだった。残念ではあるがアラルは負けてしまったのだった。全く目を覚まさないアラルをフォーティーたちは担ぎ、医務室へと連れて行ったのだった。
「ランクDのアラル…か。なかなか痺れたぜ、もっと強くなったらまた戦ってもいいな」
ビジャルは笑いながらステージを下りて行ったのだった。
それから3日程寝ていただろうか。アラルが眼を覚ますとそこには周りでみんなが寝ていた。
「いってて…。まだ少し痛むな。ん?」
アラルの起き上がる音でどうやらフォーティーも目を覚ましたようだ。
「大丈夫ですか、アラル?」
「ああ、もうどうってことない。心配かけたみたいで悪かったな」
「いえいえ、そんなことはないですよ。ティーナでさえ歯が立たなかった相手だったのに、惜しかったですね」
フォーティーの褒め言葉にアラルは下を向く。
「いや・・・、惜しくなんてないさ。これはあくまでも試し合いだったんだ。その前提があったからこそ俺はあそこまで善戦できたんだ。相手は常にこっちの様子を伺いながら、合わせる様に戦っていたんだ。もしこれが試合ではなく殺し合いだったなら、俺なんて数秒後にはやられていたよ」
「またまた、そんな謙遜しなくても」
「いや…、マジで」
そこに闖入者が現れる。
「ちょっといいか、アラル。お前に少し話がある」
そこに現れたのはこの覇王の寺の当主ガビル。外に出てガビルと共に少し歩いたのだった。
「傷はもう大丈夫なのか?」
「あぁ、大丈夫だ。すまないな、迷惑かけたみたいで。今日から動けそうだから、3階層挑戦してくるわ」
アラルがそう言うと、
「もう十分だ。もうこれ以上お前を試しても仕方がない、力は十分に分かったからな。だから、もってけ」
ガビルはそう言うと宝玉をアラルに手渡した。
「マジか。なんかわりぃ」
そう言いアラルは宝玉を受け取った。
「お前は混血だよな」
「ああ、そうだが」
「この宝玉の目的はなんだ」
ガビルの問いにアラルは少し顔をしかめる。
「俺の寿命をリセットする。そのために俺は自分の血の主を捜しているんだ。そして、そのためにはどうしても宝玉が必要だった。それだけだ」
「血の主に宛はあるのか?」
「無いが。捜すしかないだろ、かたっぱしから」
「そうか。じゃあ、いい情報を教えてやろう。お前の血の主の名はゴットラウだ。全く厄介な奴の血を飲んだものだな。まぁ、昔の旧友にあえたみたいで懐かしかった。ありがとな」
「どういうことだ、その言い方?今はもう存在しないみたいじゃないか」
「そうだな。存在しない訳ではないが、限りなく存在してないほうに近いだろうな」
「いったいどういうことなんだ?」
「私から言えるのはここまでだ。ついお喋りが過ぎてしまった」
そう言ってガビルはアラルの元から去ろうとする。
「待てよ、知ってるんなら話してくれよ」
「話したところで無駄だ。お前がそいつの血を飲んだ時点で、お前は詰んでるんだよ。何を知ろうと何をしようとお前の未来が変わることは無い」
「死を受け入れろってことか」
「そういうことだな」
「じゃあ、なぜ教えた」
「昔を思い出してついテンションが上がっただけだ。忘れてくれ」
そう言って、ガビルはそこから去っていった。
「忘れてくれ?忘れられる訳ないだろうが…」
(忘れねぇ。いつか絶対お前から情報を引き出してやる。)
今は勝てないであろう相手からこれ以上の情報を引き出すのは無理だと考えアラルは黙ってガビルが去るのを見送ったのだった。
(ヘラレスが終わったらだ。そしたら、もう一度ここへ来る。その時はお前の口割ってやるからな。)
そう心に誓うアラルであった。




