11章 見届ける者
アラルたちは心を一つにする。相手は雲の上の存在であるドランロン。1対1ならば確実に勝機はない。だが、ここには6人の仲間がいる。
死ぬ気で精神も肉体も崩壊寸前まで鍛え上げてきたサラン。
王族のプライドさえも捨て強くなるためだけにまい進したクラサ。
来る日も来る日も打ちのめされ続けたアラル。
やっと封印を解かれ自由を得たゼクス。
自身のプライドを賭け、花嫁修業に勤しんだティーナ。
打ちのめされることを快感とまで思える程に覚醒したフォーティー。
今の自分たちならきっと…、きっと…、何とかなる!はずだと…思うような…気がする。少しだけ…。
アラルたちが攻撃に転じようとしたその時だった。【溶放】ドランロンは先ほどサランが放ったものと同じ技を繰り出したのだった。ピンポイントで各自の足元から溶岩が吹き出す。「え?何で?」サランは驚きの表情を浮かべながらドランロンの攻撃を回避する。各々回避し、流石のフォーティーもそこは回避していた。
「おいフォーティー!もっと当たれ!」
そう言ってアレックは外野からヤジを飛ばすのだが、フォーティーも冷や汗を流しながら、「当たったら死んじゃいます」と小声で呟いていた。溶岩の吹き荒れる中、アラルとクラサはドランロンに向かって走る。フォーティーはサランと共に行動しいざという時はサランを担ぎ、回避をする。ティーナはドランロンに【電撃】を放ちながら自身で回避を行っている。と、いきなりドランロンの目の前にゼクスが姿を現す。そして一撃をお見舞いする。【呪拳】これは攻撃された相手の体力を半分に削る霊属性特有の打撃技であった。だが、1日の使用回数は技のレベルで決まっており、ゼクスは1日1回しか使うことができなかった。不意をつかれたドランロンは反撃に出ようとするが、ゼクスは既に姿を消していたのだった。
「何だ、あいつ?」
アラルの疑問にクラサが答える。「ゼクスは霊属性で【きえる】という技を持っている。1日に使用回数制限はあるものの気配すら消してしまうから、恐ろしい技だ」と。アラルたちはドランロンと真っ向勝負をする。だが、ダメージを負えばすぐに後退しサランから回復薬を受け取るのだった。
「回復薬とは、キリがないですね」
ドランロンはそう言うと向かってくるアラルとクラサを無視し、後方へと駆ける。視線がサランに向けられていたため咄嗟にフォーティーがカバーに入る。【操糸】を繰り出すがドランロンはものともしない。行動が制限されることはなくフォーティーに襲い掛かる。だが、ゼクスがサランに気を向かせたことでドランロンは標的を瞬時に切り替えティーナを殴り飛ばした。豪快に吹っ飛んだティーナ。だが、それを見る余裕などなかった。次の瞬間にはゼクスが蹴り飛ばされフォーティーに拳が叩きこまれていたのだった。目にも止まらぬ連撃。「ふふ」耐えられないほどにきれいに決まった攻撃に対しフォーティーは笑っていた。その動揺にサランは一気にアラルたちの元に駆ける。
フォーティーはそれを見届けると晴れやかな笑顔で力なく崩れたのだった。回復役を消すのが目的のドランロン。即座にサランを追いかけるのだが、向かい側からアラルもサランを救おうと飛び出していた。【毒砲】ドランロンはアラルたちに向けて毒液のビーム砲を放つ。だが、寸前でアラルが飛び込むようにサランを抱きしめると、その後方からクラサの水竜が飛んできて相殺された。
ドランロンは「ふっ」と笑うとすぐ下にいる丸まった状態のアラルに止めの一撃をお見舞いしようとする。
ザザッ!
下から上へと剣が薙ぎ払われる。それを顔を反らすことで回避するがそのままクラサはドランロンに頭突きをかました。剣は宙を舞っておりクラサは剣撃をも囮としたのだと理解する。見事な一撃に内臓を損傷したのかドランロンは口から少し血を吐く。だが、すぐにクラサの頭を掴むと、そのままアラルたちに叩きつけようとした。そこに背後に違和感を感じたのだった。宙に舞っていた剣を掴み、アラルはドランロンに突き刺そうとしていた。「ん?分身…」アラルは真下にもいる。すなわち上にいるのはアラルの分身。だが、この剣撃はドランロンにとって致命傷になり得る攻撃であった。クラサを横に投げる勢いでそれとは反対側へと回避する。だが、クラサは壁に激突する前に態勢を整え勢いよく壁を蹴る。
剣士が剣ももたずに捨て身で突っ込んでくる。正面からはクラサと分身体であろう剣を持ったアラル。「死ね」ドランロンはそう呟き、クラサたちに向かって技を放つ。【毒・マムシ】。痺れ効果のある毒液を放出したのだった。
だが、クラサは避ける気配もない。当たれば確実に死ぬであろう攻撃に正面から突っ込む。「まぁいい」だが、その瞬間、ドランロンは悪寒が走った。
「終わりだ」
冷たい一言だった。咄嗟に上へと回避するのだが、目を見開き驚きの表情を隠せない。全力で回避したはずなのに、アラルはそこにいる。
【マインドショック】
アラルの渾身の拳を受け、咄嗟に逃げるもそこにアラルがいる。現状が把握できないドランロンは混乱するが、アラルの拳撃は止まらない。ドランロンの驚きは当然のことだった。アラルは今自身に【狂】を発動させているのだから。と、ドランロンは気づいた。こいつも囮であると。かすかだがアラルの後ろに気配を感じたのだった。
「お前の作戦は詰みだ」
ドランロンはそう言うとアラルの両手をガッチリと掴み固定したのだった。「これで入れ替わることは不可能」だが、その言葉にアラルはニッと笑う。アラルもドランロンが動けないように腕をギュッと掴んだのだった。背後ではサランが【弾砲】を繰り出すのだった。
「この期におよんで捨て身とは…、面白いですね」
確かにドランロンもそこまでの体力を残してはいない。だが、それは同時にアラルにも言えることであった。
「じゃあ、私と仲良く死にましょうか」
ドランロンが笑いながらそうアラルに伝えるが、アラルは「それは無理」とだけ呟くとサランの攻撃が当たる瞬間に姿を消した。「ぐはっ…」アラルが消えた瞬間、【マインドショック】逃げようとしたドランロンは背後からの拳撃に体力を全て削られてしまったのだった。下に崩れ落ちるドランロン。だが、サランの攻撃は止まらない。真っすぐにアラルを呑み込んだのだった。
顔面蒼白となるサラン。助けるつもりのサランがアラルに止めをさしてしまったのだった。そのまま崩れるように地面に力なくペタンと座り込むサラン。
「大丈夫だ」
そう言ってサランの頭にポンと手が置かれたのだった。そこにはアラルとアラルを担ぐゼクスの姿があった。
見るも無残な光景。ドランロンは白い光に包まれ、消滅している。
「面白かったです、でも次は負けませんから」
そう言ってニッコリと笑いながら消滅したのだった。そして周りには意識のないフォーティーとティーナ。アラルの分身が盾となり毒からは身を守ってくれたが体の麻痺により失神しているクラサ。今にも倒れそうなゼクスに、先ほど【狂】の効果が切れ、意識を失ったアラル。まともに動けるのはサランだけであった。
「うっひょー、マジで勝ちやがったよこいつら」
目を見開きながら拍手するリピット。サランはリピットに問う。「試験は合格ですか?」その問いに「あーもう、合格合格。100点満点だって」と大絶賛していた。「今後こういう遊びもアリだな」と他の面々に話しかけているのだった。「特訓、ありがとうございました。ここから出ても先生たちのことは忘れません」そう言ってサランは丁寧にお辞儀をした。
「まぁ、少し惜しいが…、約束だしな。また気が向いたら遊びに来いよ」
そう言ってリピットたちは倒れて動けないアラルたちに肩を貸す。だが、「リピット、私たちは仲間外れなのかな?その玩具で私たちも遊ばせてくれよ」地下9階層へと上がってきた4人のオリジナル。「デービルマジック…」リピットにそう呼ばれた者。彼こそがこのビラの洞窟の頂点に君臨する者であった。
「私はインクラフよ。あんたがやったらすぐに終わっちゃうんだから、我慢して見ててね」
デービルマジックにそう告げる赤髪で下向きに角の生える妖艶な女性。
「私一人でも十分ですが…」
そう言うのは緑色の長髪の女性。名をデーレンといった。
「キッキッ、早い者勝ちだろ」
そう言うのは青い鎧の欠片で顔を隠す紫色の髪の女性。名をランクリーといった。
「…しょうがない、譲ってやる。早くそいつらを回復させてやれ、リピット」
そう言うのは最初に声をかけてきた人物。角を生やす短髪の男性、デービルマジックだった。
「そうかぁ、見つかっちまったもんはしょうがないよな。独り占めも良くないし」
リピットはそう言うとラスパーに全員の回復を頼む。
「それはいいのですが…」
ラスパーは回復させても無駄だと知っていた。例え全回であっても1分も持たないだろうと。
「しょうがないでしょ、ラスパー。それがデービルマジックの意志なんだから」
そう言ってガンマンは立ち上がると面倒臭そうに首筋を掻きだす。数分で見違えるように全回復したアラルたち。だが、技の反動は大きく、体力以外には何も回復していなかった。
「おい、アラル!俺たちはお前たちの先生だ。これから本当の戦い方ってやつを少しみせてやる」
その言葉にリピットがやろうとしたことを全て理解したのか、ラスパーたちは立ち上がるとリピットの横に立ち並んだ。
「おい、フォーティー。転移の札はあるんだろ?」
アレックの問いにフォーティーはすぐに札を出して見せる。すると、バシッと尻を叩かれる「ひゃふーん」という変な声を出したのだがそれは華麗にスルーされる。「すぐにこの洞窟から逃げるこったな」そう言って笑いながらアレックはリピットたちの元に並んだ。
「どうする気だよ」
そうアラルは叫ぶ。
「お前たちには何かやりたいことがあんだろ。この数か月、人生で一番おもろかったからな。俺たちはここでお前たちがやり遂げられるか見届けてやるよ」
「仲間だろ、しかも殺し合いだなんて…」
「っだーかーらー…、言ってんだろ。死なねぇって。おめぇはいちいち重いんだよ。また、来い。お前たちのやったことを俺たちに教えろ。そして、強くなって、次は本気で戦おうぜ」
リピットはアラルにニッコリと笑ってみせる。
「少しおかしな話になってきたな」
そう言って今まで後方でリラックスしていたデービルマジックが一番前まで躍り出る。
「面白れぇだろ、乱入ってやつだ」
そう言うと、リピットは瞬時に姿を消した。
ドコーン!!
リピットの拳とそれを受け止めたデービルマジックの手のひらによって生じた凄まじい破壊音だった。それにアラルたち一同は唖然とする。が、デービルマジックはリピットの攻撃を軽くあしらうかのようにしか行動しない。と、手をさっと動かしたのだった。その瞬間、リピットの首が地面に転がった。そしてリピットの体は力なく崩れ落ちたのだった。
「じゃあ、お別れなのです」
ラスパーはそう言うとアラルたちに早く転移するようにと促す。アラルはリピットの死体を見て違和感を感じる。ラスリー、ドランロンの消滅の時は白い光に包まれ消滅していた。だが、リピットは赤い光に包まれ消滅したのだった。
「早く行け!!」
迷い、動けずにいるアラルたちにアレックは怒号を飛ばす。それと同時にアレックたちはデービルマジックたちへと向かっていったのだった。そして、アラルたちも転移の札で即座にその場から退避したのだった。
転移した先は洞窟の入り口。その理由は目の前にあった。いつもと変わらずシェリスは入り口の前で祈っていたのだった
「ネベリ、早くここから退避だ。転移で一気にシェリスの家まで飛ばせ」
クラサの言葉にシェリスの隣にいたネベリはその場にいた全員をシェリスの家へと転移させたのだった。転移して家へと着いた直後のことだった。シェリスは涙を流していたのだった。
「お兄様…」
シェリスはゼクスを見て自然に涙を流していた。それを見てゼクスはシェリスを抱きしめ、頭をポンポンと優しく叩いたのだった。
「どうした?何故泣いてるんだ?」
「お兄様…」
シェリスはゼクスの問いかけに何も言えず、それだけ呟きながらただただ泣き続けた。それから、シェリスが落ち着いたのを見計らって、クラサが今まで何があったのかをゼクスに説明した。
「シェリス…、心配かけたみたいで、悪かった」
現在皆はシェリスの家で食事の乗ったテーブルを囲んでいた。料理はフォーティーとティーナで作ったのだった。アラルはティーナが料理を作れるようになっていたことに唖然とし、その理由を聞いて更に唖然としたのだった。だが、それはクラサ、そしてサランもアラルと同じく唖然となる理由だった。
「俺たちが死ぬ気で修行して…、お前はその傍らで花嫁修業だと…」
なんだか力が抜けてしまったのだった。「でも、こうやって役には立てるようになったんです。修行の賜物ですよ」そう言って、ティーナは笑いながら自分の作った料理を頬張っていた。と、クラサは立ち上がる。「お兄様、シェリスさんを私に下さい」そう言ってクラサは頭を下げる。ゼクスはその言葉に目を見開くが、シェリスもニッコリと笑いながらクラサの横に寄り添いゼクスに頭を下げるのだった。
「でも…、あれですよね。封印されてたってことは年もとってないってことだし、ゼクスはシェリスに年抜かれたってことだから…、弟?」
フォーティーのその言葉にアラルは「弟、弟」とケラケラ笑いながらヤジを飛ばしたのであった。サランはというと相変わらず誰の話にも耳を貸さずフォーティーの作ったたこ焼きを全力で頬張っていたのであった。
「弟か…、あぁ。シェリスには随分と迷惑をかけてしまったようだ。俺はもう十分にシェリスに尽くしてもらった。だから、これからはお前の好きに生きてくれ。それが兄からの願いだ。そして、クラサ。シェリスのことを頼んだ」
「ゼクスは兄じゃなくて、弟なんだよ」
感動のシーンを急にカットインして勝手にブチ壊したサランであった。皆は笑い、そして幸せに溢れていたのだった。次の日シェリスとクラサの結婚式が行われ、アラルたちも出席した。そして式が終わった後、ゼクスはシェリスの前でこう言ったのだった。
「俺は俺を救ってくれたこいつらと新しい一歩を歩むことにする。シェリスは全力で自分のために生きるんだぞ」
その言葉にシェリスは悲しい顔になるが、「たまに手紙でも送るから心配すんなって」そう言ってシェリスの頭を乱暴に撫でたのだった。「絶対に、危ないことはしないでね」シェリスにそう言われ、ゼクスは大きく頷いたのだった。アラルたちも昨晩、ゼクスに「旅に連れて行ってくれ」と言われた時には、シェリスのこともあり「ダメだろ」と答えたのだが、それがシェリスのことを思っての行動だということが分かったため快く承諾したのだった。
別れの日、シェリスは大泣きしていたのだが、横で優しくクラサが肩を支えているのを見てクラサなら大丈夫だと安心するアラルたちだった。一時とはいえ、死を賭してまで戦った仲間だ。皆、クラサなら安心して任せられると確信しているのだった。
そして、アラルたちは旅立つ。新しく、ゼクス=バイエルという男を仲間に加えて。目指す場所はジシュアという町。そこには闇王の寺へ行くための転移スポットがあるのだという。そこで宝玉を獲得すれば、ヘラレス王国武闘大会への出場資格である宝玉3つというノルマを達成することとなる。
アラルたちはメリオルを出て颯爽とジシュアへと向かうのであった。
「ふぅ、君たち。ちょっと待ちなよ」
いきなりアラルたちの背後に現れ、そう声をかけてきた相手にアラルたちは寒気を感じる。そして、同時にその声には聞き覚えがあった。アラルは振り返ることなくその声の主の名を呟く。「デービルマジック…」と。
「連れないなぁ…、遊ぼうって言ったのにすぐに逃げちゃうんだもん」
周囲に人影はない。どうやらデービルマジック1人のようだ。
「何故お前がここにいる?」
その問いにデービルマジックは簡単なことだよとでも言いたげな表情で答える。「全員殺して来たんだよ」その言葉にアラルは唖然とする。だが、1人でいる様子からして仲間を失うほどの戦いだったのだろうと踏む。「何か言いたげだね。安心しているみたいだけど、アレックたちは5分と持たなかったよ」その言葉にアラルは「俺たちを殺しに来たのか?」と問うが、デービルマジックは残念な顔をし、首を横に振ったのだった。「ここでは殺せないんだ。ほんとっ…、残念なことに。だから、招待状として言伝に来たんだ」
「何を…?」
「僕たちは古魔区へと戻ることにした。君たちみたいな面白い奴らがいると知ったらうずうずしてね。本気で戦いたいから古魔区までおいでよ」
「ここで戦えばいいだろ」
「それはね、いろいろと事情があってできないんだ。できるんなら既にそうしてるしね」
「俺たちが行くとでも?」
そのアラルの問いにデービルマジックは悪い顔で笑った。
「君たちは必ず来るよ。だって君たちの先生は僕たちが殺したんだから。仇はちゃんととらなくっちゃね」
その言葉にアラルは知っているとでも言わんばかりにフッと笑う。
「肉体を…、だろ?」
だが、そのアラルの言葉にデービルマジックは含み笑いを浮かべるのであった。
「残念。リピットに何を吹き込まれたのかは知らないが、君たちも見たはずだ。リピットは赤い光に包まれ消滅した。対してラスリーたちは何色で消滅したのかな」
その言葉にアラルたちは嫌な予感を覚える。
「なんとなく…、察せたかな。赤い消滅の光は魂の消滅を指すんだよ。全ては力の差ってことだよ。君たちでは魂までは消滅させられない。だけど僕ならリピットたちくらいの相手なら軽く殺せるってこと。彼らもそれを承知の上で戦いを挑んでたよ」
デービルマジックの言葉にアラルの頭がプツンとキレる。【狂】そしてそのままデービルマジックに突っ込む。だが、デービルマジックに当たるどころか触れることなく体を通り抜けてしまったのだった。その勢いのまま地面へと倒れこみ大量の砂ぼこりが舞ったのだった。
「ヘラレスの大会で優勝して古魔区への切符を受け取るといい。僕たちはいつでも君たちを待っているからね」
そう言うとデービルマジックはアラルたちの前から姿を消したのだった。そして、即座にアラルたちは歩いていた道を戻り、ビラの洞窟へと向かった。だが、最下層まで下りても害のなさそうな魔物以外の存在を見つけることはできなかった。
「デービルマジック…」
アラルたちはリピットたちとの修行を思い出す。「古魔区…、絶対行きましょうね」そうティーナが呟く。「絶対に仇は取ります、お嬢様…」フォーティーも震えながらそう呟いた。「アイツだけは絶対に許せないんだよ」そう言ってラスパーのことを思い出すサラン。
「そうだな」
そう言って歯を食いしばるアラルだった。
「リピット…、お前の恩は無駄にしない。空から、俺たちがやることしっかり見とけよ」
アラルはそう呟くと、皆と共にジシュアへと向け、歩き出したのだった。
固い意志を胸に。
それからしばらくしてのことだ。とある男がビラの洞窟へと足を踏み入れる。だが、最下層まで何の気兼ねもなく下りて行ったその男は唖然とする。
「な…、なぜだ…。ヒラン、俺の復活させたオリジナル軍は…?」
男の問いにヒランは両手の平を上げ、全く分からないというジェスチャーをする。
「ここまでするのにどれだけ苦労したと思っているんだ…。ヒラン、何故こうなったのかを早急に調べろ。そして、その犯人を見つけろ。俺が殺してやる」
そう言われ、ヒランはやれやれといった顔をする。「分かったよ、バース」そう言うと、ヒランは1人その場からスタスタと歩きながら去っていったのだった。




