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already dark, however still blue ‐血鎖絶ち斬れ不退の純青‐  作者: 浮城燈往
エピソード3 魔女の鳥籠
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1‐5 過去の歌声

「……It`s all dark in the afternoon, but when I look up, the stars are full, like a jewel box. I feel happy, so I and you will dance……」

「好きなの、その歌」

「別に」

 事実、問いかけられて中断したその歌を、再び口ずさむことはなかった。

「ねえ」

「なあに」

「歌ってよ」

「そう……何がいい?」

「何でもいい」

 先ほどの彼女よりもずっと投げやりな言葉に、思わず肩を竦める。会話するのに早くも飽きたのだろうか。

「何でもいい、だとちょっと困るの」

「じゃあ……」

 考え込む顔を覗き込んで、彼女は密かに笑った。この世で最も愛おしい存在を、確かめるように。

「……“Anything Goes!”」

「……」

 あまりにも予想外のチョイスに、さすがの彼女も顔を強張らせた。

 それから、困ったように頬を掻いて。

「うーん……ごめん、よく知らない」

「そうなの?」

 小首を傾げる彼を見ていると、いたたまれない気持ちになる。こんな気持ちになる日が来るなんて、かつての自分は思いもしなかった。

 人生に絶望し、世界を灰色にしか見れなかった彼女に、彼は希望を与えてくれた。彩をつけ、生きる意味を持たせてくれた。

 彼女を一喜一憂させているとも知らず、相手は「しょうがないなあ」と肩を竦めた。

「じゃあ、歌ってあげるから、憶えてね」

「ええ」

 そう言って歌いだした彼を、彼女は温かく見守る。

 出会えてよかったと、その幸福を噛み締めるように。


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