1‐3 《機関》の女性幹部達
やや乳白色を帯びた半透明の雫が、白くほっそりとした首筋を伝い落ちる。
日中高い位置で結んでいる髪は、いまはさらに湯に浸からないよう纏められ、生来の青みが増している。隅の湯口より常時吐き出される水流に押されるように波打つ水面を透かして、浴室灯の曖昧な光の下、少女の肢体がちらちらと照らされる。
「……はぁ」
温かな湯に浸かり、早梛はほっと息を洩らす。
今日は少し、疲れた。
意識を失った時幸はあの後、彼と同じく男子寮に住まう職員に連れられて部屋に戻された。早梛には別の業務が残されていたので零室に戻ったのだが、なぜか今日の琴羽は機嫌がよく、それまでとは異なる情報の処理を任された。
業務内容が一変したことに戸惑う早梛に、上司は「研修期間が明けた」とだけ告げてさっさと退室してしまった。腑に落ちなくはあったが、閲覧できる情報に制限がなくなったのはありがたいので、とにかく吸収しようと必死だった。
結果、今出川の話も含めて新情報が一挙に押し寄せた早梛の脳はへとへとで、ようやく今日の分の業務に一区切りつけ、いまの住処である女子寮に戻ったのが三時間前。
普段なら早い時間に入浴は済ませるのだが、部屋に辿り着いた途端着衣のままベッドに倒れ込み、そのまま寝落ちしてしまった。つい先ほど目が覚め、今日はもう夕食を摂るのも億劫だったが、夏だし汗だけは流しておこうと共用浴場に向かったのだった。
ようやく人心地つき、風呂で寝落ちせぬように早めに上がろうと思いつつも、いつもより少しぬるめのお湯の気持ちよさに、ついつい弛緩してしまう。
と、浴室の扉が勢いよく開けられた。
「ぼくが何をしたっていうんだ、ちくしょー‼」
同時に飛び込んできた大きく鋭い声が浴槽のタイルに反響し、キンキンと耳に突き刺さる。
「うるさいです」
「いいじゃん、たまちゃんのけち~」
「黙れなのです」
入ってきた人物が誰だか気づいて、思わず身を竦めた。
いつもとは入浴時間が異なるためか、厄介な相手と鉢合わせてしまった。
三十がらみの女で、小柄な身体に似合わない大声が話す度に部屋中に弾む。いつもはしっかり決めている化粧も整髪剤で遊ばせているショートヘアも、入浴時ということもあってかある程度落としていた。
寺坂相波。非常時に機能する特務部とは対照的に、常時業務を担当する常務部の現部長。九岡同様《機関》の幹部ではあるが、彼とは異なり、仕事はできるが気さくな性格で、周囲が疲れているときなどジョークを言って和ませもしていて、常務部に限らず多くの職員から慕われている。
けして悪い人でも、厳しい人でもない。むしろ部署の異なる早梛にも親身に接してくれる、いい人なのだが……。
「ん? さーなちゃんじゃないかぁ! こんなところで会うなんて奇遇だね!」
と、見通しのいい浴室であっさり見つかってしまい、浴槽に潜り込むとばしゃばしゃ音を立てて近づいてきた。
「は、はい……こんばんは」
「いつもは五室の子達と一緒の時間じゃなかったっけ」
「そうですね……今日はちょっと……」
「ふーん、へーえ」
覆い被さるような姿勢で覗き込んでくる寺坂の視線から逃れるように、できるだけ身を縮める。
「それにしても……お肌つやっつやだねえ。ちょっと触ってもいい?」
「っ……勘弁してくださいっ」
寺坂には、わりと……その場のノリとテンションで、しばしば周囲の女性職員にセクハラを働く悪癖がある。九岡や琴羽のいるときは即窘められ、場合によっては首根っこ掴まれて引き離されることもある。本人も相手に嫌がらせしたいわけではけしてないのだが……心が弱っているときにはたまに、加減を間違え気味だったりする。
女同士とはいえさすがに、お互い一糸纏わぬ姿で触られたり抱きつかれたりするのはごめん被りたい。
「常務部部長? 誰かいますですか?」
「たまちゃんもおいで~」
と寺坂が後ろを向いた隙にこっそり距離をとる。
次に入ってきたのは、されどさらに苦手な人物だった。
特務部七室室長、江川環季。彼女も悪人ではない。目つきが悪いので誤解されがちだが、挨拶をすれば返してくれるし、怪我をしたときに絆創膏をくれたことだってある。……ただ、自分が寺坂のターゲットになりそうなとき、身近にいる女子をいともたやすく生贄にする。
「おや、早梛ちゃんさん。こんな時間に珍しいですね。主任にこき使われでもしたですか?」
「い、いえ、そんなことは……」
「そんなことより、聞いてくれよ!」
すぐ隣に腰を下ろし、寺坂が身を寄せてくる。
「あんの滋賀の女狐がー! まったくもう、口を開けば文句ばっかり、こうさ、頭ごなしに怒鳴られるのもやだけどさ、長―い時間かけてぐちぐちねちねち言われるのもそれはそれで応えるよね。こっちは仕事が詰まってるんだって言っても聞かないし、ますみちゃんは代わってくれないしさ~」
「滋賀の女狐」は確か、西日本一区の支部長の蔑称だったはずだ。日本政府の交渉人である「政府のゴリラ」と並んで、寺坂の愚痴の中にしばしば登場する。
「ほんとさあ……ますみちゃんがまったく靡かないからってぼくばっかり虐めるんだ……ますみちゃんはますみちゃんで毅然とした態度とれって睨んでくるし……ぼくもう疲れたよ……」
九岡が厳しいのは誰にだってだし、いまに始まったことでもない。だが、少なくとも「ますみちゃん」呼びを止めればもう少し待遇は良くなるのでは? 早梛は訝しんだ。
「とにかくもうっ、今日は疲れた! しばらく仕事したくない!」
「あ、はい、お疲れ様です」
「でもでも~、三時間後には戻らなくちゃなんないんだ……頼む、いまだけぼくを癒してくれ~‼」
というが早いか、寺坂が抱きついてきた。
「きゃあ!」
一瞬の油断を突いての素早い動き。すぐ振り払う。
「よいではないか、よいではないか」
「駄目です!」
江川を見ると、ちゃっかり離れた場所に浸かっている。
「ちぇ~、いいもん。しょせんぼくは嫌われ者さ……」
いじける寺坂。顔だけ出して湯に沈み込んだ。
「いきなり抱きつかれたらさすがに誰だって嫌がりますよ……もっとこう、適切な距離というか」
「ふーん、ゆきはいいのに?」
「へ?」
ごろんと身体の向きを変え、向き直る。
「純粋な疑問なんだけど、ゆきだったらどこまでオッケーなの?」
言っていることの意味に気がつき、早梛はたちまち赤くなった。
「な、な、何言ってるんですか! そ、そそそそ、そんな破廉恥なこと、時幸くんに限ってするわけないでしょ‼」
「そうかなぁ~」
にやにや笑う寺坂。
「あいつだって思春期のオトコノコだよ? 同じ空間に年頃の娘さんがいたらさ、いろいろ意識しちゃうんじゃない?」
「それは……」
顔を背けた。頭にどんどん血が昇っていく。
――意識しているのは早梛の方だ。
けしてやましい気持ちではない。ただ、健康状態とか怪我とかほっとけなくて、気にすると、どうしても身体つきとか、立ち振る舞いにも目が行ってしまうだけで。
細いながらもしっかり筋肉のついた腕だとか、楽器の扱いに長けたしなやかな指だとか、くっきりした首筋のラインだとか、全然、色っぽいな、とか、えっちなことは考えてない!
「時幸くんは、一度だってそんな、私が不愉快になるような真似をしたことはありません。彼はとっても優しくて、上品で、女性を傷つけるような子じゃありません」
緊急時を除き、無理やり触られたことはない。もちろん、寺坂のようにじろじろと嫌らしい目で見てくることもない。どころか、見つめ合ったりするとすぐに照れて目を逸らしてしまう。
「な~るほど」
話を聞き、寺坂はころころと鈴を転がすような笑い声を上げた。
入浴中ということを差し引いても赤く火照った早梛を、おもしろそうに眺めている。
いままで同年代の女性と関わることのなかった、どころか誰に対しても壁を作っていた時幸。その彼が初めて恋をした、と聞いたときには驚くと同時に、研究部ほどではないが強く興味を惹かれた。
その相手に対して、果たしてどういうリアクションをするのか気になっていたが……どうやら、びっくりするほど奥手らしい。元々シャイで大人しい男の子ではあったので、好きになった子にはいろいろ拗らせやしないかと心配だったが、むしろ逆で、好きだからこそ、お姫様のように大事にしているようであった。……まあ、朴念仁すぎて本人にも相手にもまったく自覚がないのが見ていてやきもきするが。
早梛も早梛で初心なのか、恋愛事を他人事のように思っている節がある。そんなだからこそ、寺坂の性格上、からかってみたくて仕方がない。
「どうだろう、ゆきはけっこう女の人にちやほやされてたからねえ」
「え」
案の定、早梛は聞いてない、といった間の抜けた顔をした。
「五室の女性陣なんかにはマスコットのようにかわいがられてたよ。本人も満更ではなさそうだった」
「え、え、ええ」
「意外?」
「……はい」
「いまのゆきからは想像もつかないからねえ」
その言葉に、早梛は顔を曇らせた。
噂によると、彼女は時幸の奴隷根性を変えたいと思っているらしい。
確かに、時幸は幼少期から心無い言葉を散々かけられ、母親や自分の危険性をダシに実験を強要され、奉仕しなければ危害を加えられるという怯えから搾取されることに従順になっている。けれども、それとこれとはあまり関係ないと、寺坂は思う。
「別に、虐められて対人恐怖症になったわけじゃないよ。確かに現夜部長が厳しく躾けて、女にだらしない男に育てなかったってのはあるかもだけどさ」
膝の上に肘を乗せ、拳で顎を支える。
「むしろ……大人の女の人に、甘えたかったんだと思う。やっぱり寂しかったんじゃないかな。あの頃は特に、母親と別れ別れになったばかりだったしね」
「……え」
先ほど以上に心底意外という顔を作った早梛に、寺坂は告げた。
「そりゃ、あいつがされたことを聞かされたんなら意外かもしれないけどさ、実はあいつ、お母さん子だったみたいなんだよね」
父親が不在のせいかもしれないけどさ、と前置きしつつも、当時のことを語りだす。
「前部長に連れられてここに来たとき、眼球以外に虐待の形跡のない、どころか健康優良児だったんだ」
日常的に暴力や実験を受けていたという事実はない。意識的には変えられない仕草などから見ても、それは明らかだった。
「いまじゃあんまり話したがらないけど、本当に、普通の親子として育てられたみたいなんだよね。実験動物とか、駒としてじゃなくて。ご飯を食べさせてもらって、玩具を買い与えられて、風邪を引いたら看病してもらって……息子が道具として大事だったっていう以上に、ちゃんと母親としての情があったんじゃないかって思うんだ」
「そうなん……ですか」
確かに、と、早梛は今出川の話を思い出す。誕生日が判明しているということは、そういうことを気にかける母親だったということで。
「八歳だったからね。ゆきは母親がどういうふうに接していたかって、ちゃんと憶えてるんだよ。けれども、いや、だからこそ、されたことがショックだったし、傷ついたんだと思う。……でもさ、口には出さないけど、母親のことを恨んじゃいないんだ。ただ、どうして? っていう戸惑いがあるだけで。いまでも『何かの間違いであってほしい』っていう気持ちが、あいつの中にはある」
時幸は母親を恨んではいない。恨みたくても、それまでの思い出が過って恨みきれない。一方で、母親を恋しいと思うのを「してはいけない」ことだと思っている。
「それって……」
それまで時幸に、そして【第一魔女】に抱いていた印象ががらりと変わった気がした。眼球の手術の件と、それに対しての時幸の気持ちしか聞かされていなかったせいか、それまで母親とどう過ごしてきたのか、母親をどう思っていたのか、勝手な想像を持っていたのかもしれない。
もし寺坂の言ったことが本当だとすると……それは本当に、悲しくて。
時幸にとっての母親は、ただの敵ではなくて。でも彼女は、人類の敵で。
時幸にとって、母親は――。
会いたいのか、会いたくないのか。
会うのが怖いのか、会わないうちにいなくなっているのが怖いのか。
「……ん?」
と、胸を圧迫する感触に、思考が引き戻される。
「ん~、アンダーのわりにトップがある。D、確実にDはある。もしかしたらEかも」
「……きゃあああああああああああ‼ な、ななな、何するんですか‼」
なおもしな垂れかかってくる寺坂を、湯を跳ね上げて振り解こうとする。
「失礼」
と、扉が開けられ、新顔が二つ現れた。
「そろそろ私達の時間なのですが……入っても大丈夫かしら」
「あ……」
ふわふわとした金糸の長髪とふくよかな身体つきとは対照的に視線の鋭い、どことなく獣――野生とペット、どちらの雰囲気もある――を思わせる女性と、その影に隠れるように身を縮こまらせた、くせっ毛の地味な少女。
どちらとも、早梛はまだ会ったことがなかった。ということはおそらく、マカオでの討伐任務、及び九州視察に参加したメンバーだろう。
「すみません騒がしくしちゃって……どうぞ」
端に寄り、場所を空ける。が、二人とも入ってこない。……寺坂を警戒しているのだろうか?
「ああ、笹倉さん。すぐ出ますです」
と、江川が浴槽から上がりかけ、早梛を見て何かに気がついた。
「ああ、早梛ちゃんさんはこの時間に入ったことがないから、入浴のルールを知らないみたいですね」
「あら、ごめんなさい」
入り口の女性はにこやかに笑った。
「笹倉千十千ですわ。こちらは星野リアさん」
「ちゃんと自己紹介はした方がいいと思うですよ、六室室長と四課課長」
早梛は目を瞠り、二人を見比べた。特務部六室、常務部四課、ともに都市内部に侵入した《ディヴィジョン》の撃退を受け持つ討伐部隊だ。早梛も何度か小規模な任務で末端職員と共闘したことがある。そのとき聞いた話では、六室の現室長は歴戦の猛者であり、東日本一区において最強の《調律の彼女》だという。
入浴モードのためかタオル一枚の無防備な姿では俄かに信じられないが、一対一なら琴羽や沢村にも勝利する手練れらしい。
「あ、あの。失礼しました。零室の神橋早梛といいます。あのっ、未熟者ですが何卒、よろしくお願いします」
「零室ということは、あなたが噂の……ふふ。いいですわよ、畏まらなくても」
笑っているのに本心を隠しているような不穏な響きのある声で、含みのあることを言う。
「まあいいですわ。お話はまた後日ゆっくりと。……それでですね、ご説明しますと、女子寮では《調律の彼女》とその他の方は入浴時間を分けないといけませんの。体液や老廃物から【魔女細胞】が分泌されますから。汗や汚れなら無視できる程度ですが、怪我から血が混じったりしますと、対抗因子を持たない普通の方には毒になりますわ」
「あ……」
早梛は視線を水面に泳がせた。聞いてはいけないことを聞いてしまった気がする。
「す、すみません。もう上がります」
その場から逃げるような形で湯船から上がろうとするも、その態度が意図せず、笹倉達を拒絶したように見えてしまったのではないか。自己嫌悪が彼女を包み込む。
「そんな気にすることなくてよ。因子が対立する者同士は一緒に入浴できませんし、その度に一々空にするのはもったいないですから、殆どの方は部屋に備え付けのユニットバスを使いますもの。私は寮住みでもないですし。わざわざ広いお風呂に入りたいというのは、勝手な我儘ですわ」
「い、いいえ! いつも頑張って都市を守ってくれてる人達ですから。お疲れでしょうし……」
「お優しいのですね。でも大丈夫ですわよ。《調律の彼女》としての不便には慣れていますもの」
「いえ、それは……慣れては、いけないと思います」
「あら、どうして」
飽くまで穏やかに問いかけるが、小首を傾げた仕草はわざとらしかった。
「あっ……その、ごめんなさい。《調律の彼女》の在り方や、その誇りを否定したかったわけじゃないんです。ただ……あなた方は正しいことを行なっている。善いことをしている。だったら、不自由をなくしてあげたいと思うんです。頑張ってる人がご褒美を貰えない、戦ってる人だけに負担があるのって、正しくない」
少し視線を伏せかけたせいか、濃青の前髪から雫が垂れ落ちる。
「……戦えない人や、《調律の彼女》じゃない私達にできるのって、その正しさを維持することだけじゃないですか。あったかくて広いお風呂に入りたいとか、ふかふかの布団で寝たいとか。そういったことさえ守れないようじゃ、守ってもらう資格なんてないと、私は思うから」
笹倉は目を瞠った。次いで、ふふっと笑ってみせる。
先ほどとは違い、そこには僅かにだが、彼女の本音が添えられているように思われた。
「なるほど。あなたはとても、フェアな方なのですね」
「偽善者なだけです。弱いくせに、何もできない」
「いいえ、そんなことはありません。私、あなたが好きになりましたわ」
「へ?」
目を瞬かせる。
「でも大丈夫ですわ。私達、やりたくてやってることですし、この身体に不便なことはあっても、不幸と感じたことはありませんもの」
胸に手を当てる笹倉。金の長髪も相まって、堂々としたその姿は聖女のように美しい。
「戦える力を持っているのに何もしなかったら、その方が苦しいですもの。この身体とこの力は、私の誇りです。私だけではない、その志を六室全員持っていますわ。それでさらに何か貰うのは、イーブンではなくプラス。もったいないですわ」
「よ、四課も、それは同じです!」
と、それまで無言だった星野も声を張り上げる。
「だから……残念です。新堂があんなことになってしまって……」
その言葉で思い出した。二か月前、《調律の彼女》であることを苦に思いクーデターを目論んだ者の中には、四課の職員もいたことを。
「うんうん、いい話だな~。ぼくも泣き言言ってられないな~」
と、それまで大人しかった寺坂がうんうんと頷いた。
「でもね、常務部だって日々、《調律の彼女》に対する意識改善にも取り組んでるんだよ! 頑張ってる子達が評価されないなんておかしいからね」
「私も同感です」
「さすがさなちゃん! 話が合うね!」
と、再び飛びかかってきた寺坂の、伸ばした腕を笹倉が引っ掴んだかと思うと、捻った上に手の甲の皮を摘まんで引っ張った。
「痛い、痛い、痛い!」
「神橋さん、常務部部長にいたずらされそうになったらこうすればいいんですのよ」
「え……」
「立場が上だからって、オイタが過ぎるのではありませんこと?」
「ほんとに痛い、痛いよう‼」
「部下として恥ずかしいです、部長……」
「もう夜も遅いんですから、静かに」
「だったら放してー!」
寺坂の悲鳴は、相変わらずタイルによく反響した。




