プロローグ 5
【聖剣ワールドクロス】
神々しい姿形をした二振りの双剣、かつて滅び去った王家の秘蔵の品。
その作成に当たっては希少な金属であるオリハルコンがふんだんに使われており、何があっても折れることは無かったという。
これを持つことが許されるのは滅んだ王国の王のみであり、また正当後継者の証ともなる。
「すげえの見つけちまった。」
城の中を漁っているとき、最奥で布に包まれ保管されていたそれ、片方は単元よりちょっと長いくらい、もう片方は普通のものより長いくらい。
「………よっと、これでいいのか。」
俺はそれを腰にぶら下げる、うん、いい感じじゃん。
それに、ここまで来る間に金貨やなんやら宝物をごっそりと見つけてきた、とりあえずでかいのは運べないから硬貨だけだが、これで死ぬまで食っていけそうだ。
………。
実を言うとな。
………城はなんか口の字の形をしていて、中央に中庭があったんだよ。
………。
卵があった。
中庭の中央に、巣があって、1つだけ、デカイのが。
………。
………。
「………くそったれ。」
「旦那、口汚い言葉をはくのはやめてくれやせんかね。」
「ああ、すみません………。」
俺はいま馬車に揺られて、適当に歩いていたら出た道を移動している。
銀貨を一枚差し出したらこの百姓をやっているのだという男は喜んで運んでくれた。
「………はぁぁぁぁ…………。」
うまく行かないもんだな異世界ってのは、これじゃまるで俺が悪いみたいじゃないか、いや、事実悪いんだろうが………。