プロローグ 2
「………昨日まではまったく見かけなかったのに、どんだけたくさんいるんだよ!!」
【ステータス:鈴木聖也】
【レベル:153】
HP:15300
力:1530
防御:1530
魔力:1530
知力:1530
素早さ:1530
【スキル】
カオスアップ・ソウルドレイン・スキルツリー
これが今の俺のステータス、しかも戦闘のたびにステータスは爆発的に増える、もっとも、まだまだカオスアップの付属効果、1万アップのほうに頼りきりだが。
「………今度はオークか。」
「ブウォォォォォ!!!!」
そう雄叫びを上げて突撃してくるオークたち、身長は2mくらいだが横幅も本当に1.2mくらいあって肉の塊という印象、それが何体もこっちにむかってくるのだ、ちょっとした巨人だ。
「………ほっ!!!」
俺は拳を突き出した、それを受けた途端オークは後ずさりして次の瞬間倒れる、まぁ明らかにやばい音してたしね。
「ほっ!!とりゃっ!!」
俺はそう締まらない掛け声とともに拳を突き出した、傍から見れば格好悪い限りだろうし、しかもそんなパンチでオークがバタバタ倒れるところなんてもはやギャグの領域だ。
「凄いなぁ1万のステータスっていうのは。」
と、そのときあるスキルの存在をようやく思い出していた。
「………ソウルドレインッ!!!」
俺は死体からソウルを抜き取る、死んでいるやつからは10分の1だけだったか?
「………6年分?年数で数えるのかよ。」
ていうか6年ってことはあと60年も生きるのか、寿命めっちゃ長いぞ。
「………で、全部の奴らからこれを抜き取って………。」
あっという間に俺の寿命は数十年分増えたことになるが………ここから更にやらなければならないことがある。
「スキルツリー!!」
ステータスは頭の中に投影される感じだが、俺の頭の中に投影されたのは一つの点から無数に続く線、そしてそれに結ばれる無数のスキルだ。
「………おおぉ、凄いなぁ!」
俺はそのスキルの中から早速一つ選んで見る。
【開眼】
万物に宿る魔力を感じ取ることができる。
『消費ソウル:10年』
【魔力操作】
魔力を物質から取り出すことができるようになる。『消費ソウル:1年』
【初級火魔法】
火から火の魔力を取り出し、それを行使することができる。『消費ソウル:3年』
スキルをとった途端流れ込む無数の情報、あっ、へえぇぇ、この世界の魔法はこんな感じなのかぁ!!
「今すぐやるんだったら土魔法のほうがいいな………。」
俺は土魔法をとったあと、下を見る、今の今まで感じることはできなかったが、確かに感じられるのだ、物質に重なり合うように存在する何かが。
「………。」
俺は地面に触り、しばらく念じると、ボコッ、と土が持ち上がり、ものすごい速度でどんどん盛り上がっていく、凄まじい勢いだ。
あっという間に俺の目の前に周囲の建物くらいの大きさの土の山が出来上がる。
だが、そこらへんで突如俺の周囲の土が黒く変色を初め、やがて崩壊していく。
「おっ、おっとぉ!!」
その崩壊に巻き込まれないように逃げると、やがて崩壊は落ち着いた。
これがこの世界の魔法だ、この世界の魔法は人間の中の魔力を操作して使うことを言うのではない、物質から魔力を取り出して使うことを指すのだ、ステータスの魔力も、物質からどれだけたくさんの魔力を物質から取り出せるかを指しているらしい。
「………うぉぉ、それめっちゃ楽しそうじゃんか。」
俺は目の前に立っている巨大な土の山を見てワクワクが止まらなかった。
【ステータス:鈴木聖也】
【レベル:521】
HP:52100
力:5210
防御:5210
魔力:5210
知力:5210
素早さ:5210
【スキル】
カオスアップ・ソウルドレイン・スキルツリー・開眼・魔力操作・中級火魔法・中級土魔法
とりあえず中級の魔法を取っておいた俺は更に都市の奥を目指す。
「………おぉぉぉぉぉぉ!!!!」
俺は見えてきた巨大な城に感嘆の声を出した、すげえ、なんだあの荘厳なお城は微妙にボロボロになっているのがむしろ最高なんだけどわかる人いるかな?
………なんだあれ。
「おいおい………城門の前でたむろしてるあれなんだよ………。」
城門の前にきれいに正方形の陣形を組んで待機している人型の魔物、赤い鱗に覆われて顔はまるで蛇かドラゴン。
「………リザードマンか。」
俺はそれに静かに歩み寄るとステータスが上昇していくのを感じる。
「………気が付かれたってことか。」
「キシャアアアアアア!!!」
そう声を上げるリザードマン、突撃してくるかと思いきや密集陣形のままじわじわと迫ってくる。
「………うぉぉぉぉぉ!!!!」
俺はジャンプして飛び出し、リザードマン達に躍りかかった。
次の瞬間、無数の槍が俺の体に突き立てられる。
「ぐわぁ!!?」
俺は衝撃と痛み、不快感で体を仰け反らせ、リザードマン達はあっという間に俺を囲んで袋叩きにかかる。
「ぐっ!!ぐわぁ!!?」
ステータスを上げているおかげで、幸い貫通することはない、だが痛みと、すうどいものが突き立てられるこの不快感は凄まじい。
「くそぉ!!このっ!!」
俺はリザードマンのうち一体の槍を掴み、引き寄せる、あまりにも急激に引き寄せたため反動で俺の体がそのとき浮いた。
「ギィシャア!!!?!?」
そのリザードマンをぶん殴る、鱗と肉片が吹き飛んだとき他のリザードマンは整然と後退を始める。
「く………。」
この密集陣形と、無数のあの死ぬほど長い槍、あれは厄介だ、まんま針の山といったところだろう。
「このくそったれ………。」
俺は半分やけくそで倒れているリザードマンの槍を持ち上げ、ぶん投げる、相当な速度で投げたはずだがそれは難なく弾かれた。
俺はやつらを睨みつけながら次の手を考える、頭をすっからかんにして突撃は今のステータスでも厳しいのがわかった。
俺はやつらを観察する、ふいに横や後ろからぶん殴れば何とかなるかもしれないが………やつらは城門の入り口に陣取っていて回り込みようがない。
「………どうしようか。」
………。
………。
………。
そう考えていたとき、俺はピンときた、あるじゃないか、そんな手段が。
「この際ソウルつぎ込んで上級もとっちまうか………。」
俺は土魔法を使うため、地面に手を当てる。
「喰らえっ!!!」
俺が念を送った瞬間、やつらの真下が大爆発を起こす、いや違う、爆発したとすら思えるほどの急激な速度で地面が盛り上がっていくのだ。
さすがに下から来られるとは思ってなかったのだろう、あっという間に阿鼻叫喚の雨あられだ。
「ダメ押しのこれだ!!」
俺は念を送って地面をどんどん上に盛りあげる、急速に高くなっていく土の山、それは城門の屋根の部分に突き当たり、またたく間に崩壊を始めていく。
「よぉっっっっっっしっ!!!!!」
俺はそういってガッツポーズを決める、崩れ落ちた城壁の門はリザードマンをことごとく下敷きにした。