スズキ・フォン・セーヤ 7
「………えーと、独立には応じられない、と。」
「はい、そのとおりでございます。」
役人は丁寧に説明する。
「独立というのはなにもお金だけの問題ではありません、いきなり自分の部下に抜けられたら困るでしょう?」
「まぁ………それもそうですね。」
「はい、とにかく今日のところは私から領主様に伝えますので、お引き取り願います。」
「分かりました。」
俺はそういわれて館を出ていく、やっぱり無理だよなぁそんなこと、役人の男は会社の部下で例え話したけど、村一つなくなったら困るじゃすまねぇだろうしなぁ。
どうしようか………いや草野さんの言う事を何でもかんでも鵜呑みにするわけじゃないが、やっぱりあんな重税かけてくるクソ貴族の下になんていつまでもいたくないしなぁ。
とりあえず選択肢は今のところ3つ。
1つは、お金の暴力。
とにかく金貨を積み上げて、金貨をぶん投げて、金貨で殴る、最近の俺の常套手段だ。
とはいえ一時的な大金より永続的に小さなお金が入ってくるほうがどう考えても得だろうし、長期的な利益を切り捨てさせるとなるとめちゃくちゃたくさん実弾が必要になるだろうなぁ。
2つ目は、他の選択肢を探す。
他にも選択肢はないこともないだろう、例えば名門貴族に取り入るとか、そうじゃなくてもここの領主に取り入るとかな?
あるいは、そうだな、いっそガチンコの殴り合いと言う手もある、ぶっちゃけ俺がその気になれば貴族が住んでるこの街1つ消し飛ばすのそう難しいことじゃないんだよね、やらんけど。
あとは………御恩と奉公の関係で、当然貴族たちが俺達に大きな要求をしたら彼らもそれなりの要求を通すことになる、例えば減税とかな、ここら一帯のどこかでドンパチしたら、その時には俺達が助太刀してやるのもいいかも知れない。
まぁ、3つ目は諦める、かなぁ。
別に草野さんの言うことが気に食わないなら真反対の事をすればいいだけだし、まぁそうなると重税とかいろいろやばいけどまだまだいくらでも村は発展できるし、農地とか拡大すればいいやん、あるいは2の選択肢と混ぜっ子して減税を訴えるとかな?
というか、よくよく考えたら税金払う必要なくなるけどその代わり俺達がなんでもやらなきゃいけなくなるんじゃね?
まぁあいつらに今のところなんかしてもらった覚えないけどさ、例えば法律とかだよ、この村で犯罪者が出たときどうすればいい?この村には裁判所なんかないぞ?
それに自衛のための軍隊とかも必要になるんじゃね、まぁ死ぬほど金がかかるのは事実だろうしなぁ、いいことずくめじゃないよなぁ。
………はっ、まさか草野の目的はコレか!俺が独立するとなにかと必要になる、そうなれば
俺はクサノ商会からそれらを買わざるおえない、つまりやつらの目的は俺の財布なのでは………!
くそぉ、なんてずる賢いんだ、これだから商売人は油断ならないんだ!
「………なんて冗談はおいといて。」
いやまぁ多分半分はそれは目的な気がしないでもないけど、そのためだけに商会の代表が自ら出向くか?ちょっとありえないだろ、きっと、もっと大きな目的のために動いてるはずだ。
「………しかし、この街にやってきたはいいが、今日はやることなくなったなぁ………ダンジョンに潜ってみるか。」
俺はこうして再び超高難易度ダンジョンに赴いた。
「………くそぉ!!」
俺は緑色の液体をなんどもかけられて溶けていく障壁を見て後方に退くことを決める。
なんだよあのスライム、いきなりよく分かんないの飛ばしたと思ったら、金属並みの硬さを誇る土の障壁を溶かしちまったんだが!!
ていうかあの体全部あの緑色の体液だよな、まじありえねぇ、全身塩酸ってわけかよ!
「くそぉぉぉぉ!!!」
俺は炎の魔法で通路全体を埋め尽くした。
蒸発していく音が聞こえ、しばらくすると炎が消えていく。
「………とりあえず倒したみたいだな。」
そう思ってスライムがいた場所に踏み入ると、ツンとした匂いが鼻に来る。
「………?」
しばらくすると目が痒くなり、喉のところがムズムズする、おかしい、一体何が………。
「………はっ、まさかっ!!」
こいつ、もしかして燃やすと有害な気体を撒き散らすのか!?俺はそう思ってステータスを見るとうわぁこの前のどくほどじゃねえけど毎秒100くらいの勢いで減っていってるんですけどぉ!!?
「やばいやばい、早くにげよっ!!」