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スズキ・フォン・セーヤ 6

「………なるほど、他人の魔力を自分に写すことで回復することもできる……か。」


まるで輸血みたいだと思いながら俺は村に超特急で帰る、超特急というか、1週間くらいいる予定だったのに日帰りになっちまった。


「おかえりなさ………うわっ、どうしたんですか旦那!腕がとんでもない事になってますよ!!」

「わかってる、わかってるから、とりあえずみんなを呼んでくれ。」


俺はそうマックスに伝えるとあっという間に走り去って次の瞬間には村の人間全員がやってくる。


「俺の体にはいま毒が回って困ってるんだ!!だれか俺に魔力を分け与えてくれる人間はいないか!」


そういうと全員の人間が俺に近づいていってくる。


「どうしたんですかその腕は!」

「もともと何かあったら私達はなんでもやる気だ!!」

「セーヤさんがいなければ俺たちはとっくに飢え死にだ!!」

「俺たちは今すぐにでも恩を返すぞ!!」


………ブワァッ!!こんなん聞かされたら涙出てくるだろうがやめろ!


あぁぁぁ、この村の開拓事業を受けてからもう一年くらいたっちまったなぁ、その間いろんなことがあったなぁ………隣のおばちゃんじゃないお姉さんのシチューの差し入れうまかったし気まぐれでやり始めた農作業のときも、みんな俺が間違えるたびに助けてくれたし、俺が収穫祭でマジック間違えてもみんな笑わずにいてくれたし。


「って、走馬灯を見てる場合じゃない!とにかく魔力を頼んだ!!」




「………はぁ、はぁ………。」

「なんだ、これ………。」

「めまいがひどい………目の前が暗く見えるのは気のせいか………。」

「………せ、セーヤさん魔力吸い取りすぎぃ………。」


マックスがまず真っ先にダウンして、村の人たちが次々倒れ、農作業で鍛えてると豪語していた人達もついにぶっ倒れ、最後は力自慢のアッカーすらも膝をついた。


「………やべぇ、これでも全く回復してねぇ、あとこれをもう一回くらい繰り返さないと………。」

「「「もうやめてくれ………。」」」

「ですよねぇぇぇぇ!!!」


俺は首をひねる中、もう一人首をひねりながら近づいてきた人間がいた。


「………何してるの?」

「あっ、ナーノ、実はわけのわからない毒にかかって、自分回復魔法で村の人間全員から魔力もらったらこんなことに………!」

「はぁ!!?正気!!?あのねぇふつうのステータスまともに上がってない人達から魔力もらったらそりゃぶっ倒れるわよばかぁ!」


ナーノはずかずかと俺の前に歩み寄り俺の両腕を掴む。


「………気乗りしないけど、私の魔力を使いなさい。」

「あ、あぁ、わかったよ。」


俺はナーノから魔力を吸い取り始める、ナーノは微妙な目で俺を見つめている。


「………まだ………?」

「まだ。」

「………。」

「………。」

「まだ?」

「まだだって。」

「いやさすがにもう終わりでしょ。」

「いや、あと3、2、1、はい!!おわり、終わりです!ありがとうございましたぁ!!」

「………。」


その様子を見ていたマックスたちは全員脱力する。


「………ナーノさんの魔力、俺達全員の魔力より余裕で上なのかよ………。」

「マジか………ナーノさんぱねぇ………。」

「負けた………。」




「………はい。」

「これは!?」

「解毒剤よ、まったく、今回はクサノ商会の人が送ってくれたけど、これくらいはお金の量と買う場所に気をつければすぐに手に入るものよ。」

「あぁ、悪かった………。」

「もう………。」


俺は解毒剤の投与を終えるとナーノに質問する。


「そういえばお前さ、ステータスはいくつくらいなんだ。」

「………だいたい1.2万から7000くらい、レベルは421よ。」

「421!!?」


俺はびっくりして言うとナーノの方は微妙な顔をして言う。


「………まさかとは思うけど、ステータスの伸び幅はどれくらい?」

「………全部10だけど、あっ、HPだけは100だな。」

「………いい?体を鍛えれば鍛えるほどステータスの伸び幅は上昇するの、10から11になるだけでレベル100なら100から110になるわ、ついでにいうと、レベル1000以上になってるのは今の世界じゃ数人しかいないから。」

「………つまり?」

「つまりって言われても分からない………?もういい、とにかく体はこれから鍛えときなさいよ!!」


ナーノは若干大きな音を立てて扉を閉める。




「………あぁ、草野さん、昨日は助かりました。」

「散々な目にあったようですね、で、収穫はどうでしたか?」

「それが、倒したゴーレムの武器が消滅しなくて、それを持って帰ったらギルドが大騒ぎになっていましたよ、全部ミスリル製だったそうです。」

「ほう。」

「だいたい1000万Gくらいで売れましたね………それより、今日は何の用で?」

「鈴木様ほどの財力があるならば、そろそろここを領地とする貴族から独立なさったほうがよろしいのではないかと。」

「ここにいるって………このあたり一帯の領主からですよね。」

「はい、そういった貴族から自分自身を買い上げることで独立できます、そうなれば爵位こそ持たないものの豪族となり、税金等の法律も決められるようになります。」

「うんうん。」

「ただしその場合貴族にではなく王国に対して税金を収める必要があるのですが………王国に対しての税金は安くはないのですが、ここの重税と比べたらよほどお得ではないかと。」

「うんうん。」

「と、いうわけでご検討してみたらいかがでしょうか?毎年あれだけの作物をいつまでも取られる必要はないと思いますよ。」

「………そうだなぁ、考えておくよ。」




「………その考えは別に間違っていないと思いますよ旦那、ただねぇ………クサノ商会とはまだ出会って日が浅いのにそう何でもかんでも乗せられるのは気に入らないというか………。」

「というか、あの男信用できるの?正直かなり怪しいと思うんだけど?」

「………まぁ、なんとかなるんじゃね?」

「「ならないよ!!」」


まぁ、言いたいことは分かる、俺も草野さんとまだろくに会話してないし、そんなほいほい乗せられるのは不安だ。


「少なくともクサノさんがなにかしら旦那を利用したいのは確実だと思いますよ、同郷の人だかなんだか知りませんが、見ず知らずの人になんでもかんでも与えるような人間では絶対ありません。」

「だよなぁ………。」

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