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スズキ・フォン・セーヤ 2

「………脱走奴隷達の行方はどうだ。」

「わかりません、彼らはいまどこにいるのやら、辺境部に隠れているのかもしれません。」

「………例の領主はずいぶん大損害を追ったらしいな。」

「えぇ、なにせあそこは奴隷に支えられていた街です、奴隷をいかに制御できるかが鍵です、遠方から取り寄せたとかいう奴隷用の首輪で安心しきっていたんですかね。」

「………下がって良い。」

「はっ。」


部下は扉の向こうに消えていくと私はため息をつく、まったく、また奴らだ。


「また貴族共の権力闘争か………どうせ連中の大好きな出る杭は打つ、と言うことだろう、よくもまぁやるものだ………。」


ここ数年になって貴族達の横暴は目立つようになっていた。


彼らの間で権力闘争が激化しはじめ、このような敵に対しての破壊工作、暗殺沙汰は日常茶飯事。


なによりも許せないのは、やつらは国政をそんな下らない闘争の道具としか思っていないことだ。


彼らにとって重要なのは、いかに国にとって素晴らしい政治かどうかではなく、いかに自分達に都合がいいかどうかだ。


「………兄さんはあんなに頑張ってるのに、状況は一向に良くならない、お父さん、僕たちは一体どうすればいいんだろうね?」




「………ジャッジャーン!!!」

「おいおい、これは、一体何だ………?」


俺はそう困惑しながらいうと、マックスが説明を始める。


「これは製材所だ、いいか旦那、これでうちの村にも木材を加工する用意ができたわけだ、つまり周りの木を切ってここに持ってくれば今すぐにでもここで建材を作れるんだ。」

「おお………うちの村でも自給の時代か、農業に従事している人達も順調に作物が育っていて喜んでいたし、どんどん村は発展していくだろうな。」

「あぁ、違いないぜ旦那………うん………なに?使者………約束と違うぞ………まぁいい………ちょっと待っててください、俺用事ができました、すぐに戻ってきますね!!」

「あ、あぁ………。」


なんか男に耳打ちされたマックスは、突然村の入り口の方に走っていった。




「………こ、これは?」

「説明していませんでしたかね、もう開拓開始から1年が経つ、作物の収穫までもう数カ月もないはずだ、以後普通の村と同様の税金を取らせてもらいますよ。」

「こ、これが?普通の税金?馬鹿な、いいか、俺はこれでも元は貴族の領地を管理する管理官を務めてたんだ、だからここでも管理職についてるわけだが…………確信を持って言えるが、この税はどう考えてもおかしい、作物の3分の2も持っていくなんてありえない!餓死させる気か?」

「これが普通ですよ、なんなら他の村にでもなんでも聞いてみたらいい、我々は至って公平誠実に課税しています。」

「みんな平等に価値がないってか………!!舐め腐りやがって!」




「と、言う事があったわけなんですが、セーヤさん、これからどうしますか?なんども計算しましたけど、どんな大豊作であれ3分の2も取られたら収穫から数ヶ月後には食べ物がなくなります、冬すら越せません。」

「解決策はないのか?」

「………あるにはあります、貴族は税として得た農作物を売りさばいて収入を得ています、農作物をその時3分の1でも買い戻せば………。」

「なんだよそれ………作物を売った金で作物を買うのと対して変わらないぞ!?」

「………すみません、でも貴族達はお金での税の支払いはあえて応じないようにしています、嫌がらせみたいなものですね、まったくどうすれば」

「まぁいいややろうか。」

「………え?」




「………そうか、もう作物の収穫の季節がきましたか。」

「貴族たちの街に運び込まれる大量の作物の山は壮観ですな。」


貴族達は最近なにかと金を消費するらしく、各地でどんどん税は釣り上がっている。


おかげで貴族達はどんどん裕福になっているそうだが、村の農民にとってはたまったものではあるまい。


「………これから作物を貴族たちが売り始めるそうだ、行こう、我が商会も遅れを取るわけには行くまい。」

「はい、わかりました。」




「………さぁ、皆さんどんどん買ってください、いくらでもありますからね!!どんどん買った!!」


商人たちが次々に袋を馬車につめ、お金を渡す様子が見られる、そんな中、異様な風体の男がいた。


明らかに商人ではないその男は突如として現れると言った。


「この山積みになっている農作物を全部くれ。」

「へっ………?」


役人の男は首をひねっていた、大商人の使いには見えないこの男が、家ほどの山になっている農作物を買い占めるなどできるわけがないはずだ、だが、男は懐から硬貨を5枚ほど取り出す。


「おいおい、硬貨5枚くらいじゃ………!!」


男が取り出したのは白金貨5枚、5000万Gに相当するものだ。


「嘘だろ………。」

「そんなにあったら豪邸が建つぞ………?」


周りがざわめく中、男はそれを渡すと信じられない行動に出る。


「ふん………よっこい、しょぉ!!!」

「「「ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?」」」


地面が変形して、農作物の入った袋の山を覆う球体に変形していく、土魔法だろう、ここまでは周りの人間も理解できる。


だが………それを持ち上げる?家一つほどの巨大な球体、しかも中には作物がぎっしり詰まっているというのに。


「じゃあな!!」


そういうと男は飛び上がり、街の外に飛び去っていった。




「………あんた、ずいぶん派手に運んできたじゃない。」

「まぁな、ちょっと自分の力を試したくなってな。」

「見栄っ張りというか、ただの馬鹿よ………というか、そんなことして貴族がなんて思うか分かったもんじゃないわよ?」

「とんでもない重税かしてきたんだ、これくらいの仕返し足りないくらいだろ。」

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