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揺れる大樹 2 〜異世界人は世界を変えるか〜

………呼ばれている気がする………







………。







………何か………何かが………起きている………






………体が痛い………苦しい………






………!………。





「………はぁ………はぁ………。」


私は起き上がると、青い空がどこまでも広がっていた、ここはどこだろう、エルフの里はあんなに木々で溢れていたのに、ここには荒涼とした斜面が広がるだけだ。


だけど。


「………え………?」


私が振り返ったその先には、エルフの里で見えたとおりに、世界樹が悠然と立っている。


「………世界樹が………なんで………。」




私は嫌でも理解した、ここは、何であろうとエルフの里だということを。




「………もっとひどいことが起きる?」

「もう何が起ころうと驚かねぇよ………おらぁ!!」


男は木の棒を瓦礫に向かって振りかざすと、それだけで瓦礫の山は筋が入り、切り裂かれていく。


「………だってさ、いままでは建物が出てくるだけだったのに、いまじゃこんな巨大な山まで出てきたんだぜ、次は一体何が出てくるんだろうな?」

「………地球そのものが飛ばされてくるとか?」

「地球そのものか………そんなことが起こったら、それこそ世界の終わりだな、ハハハハハ………。」

「「「笑えるかバカッ!!」」」


「すごいぞ。」「彼らにはこんな力が………。」

「これどうぞ、美味しいですよ?」


そう笑顔でスープを差し出してくる女性のスーブをエルフ達は飲み干していく。


「食べ物を虚空から作り出すやつもいれば、バターみたいに木の棒で壁を切り裂くやつもいる。」

「異世界人こえぇ………まじこえぇ………。」

「でも、いいじゃねぇか………おいっ!!見ろよ!!もう外に出られる穴が開いたぞ!!」

「「「うぉぉぉぉぉ!!」」」


その瞬間、エルフ、人間に限らず万人が歓喜した、我先にと外に出て新鮮な空気を腹いっぱい吸い込んだ、だが、冷静になってから見てみると、あの鬱蒼と茂る森は遥か彼方に見えてはいるが、この山には木々一つ生えてはいない、あのビル群ですら山が隆起したとき崩れてなくなってしまったらしい。


「………これが………これがエルフの森なのか………。」



「………リリー!!目覚めたのね!!」

「うん………ねぇ、ナーノ、これはなに?エルフの里はどこ?私が寝ている間に何があったの?」

「………。」


ナーノはしばらく考えたあとにことの起こりを言う、リリーはそれを最後まで冷静に聞いてくれた。


「………お〜い!!ナーノさ〜ん!!」

「………!!!」


私はこうしてエルフと異世界人と合流していく、していくというのは、待っている間にも続々と地面からたくましくも這い出してくるものが次々出てきたからだ(本当にたくましいわね………)




「………リリー、何考えてるの?」

「………あ、ごめん………。」

「べつに謝らなくてもいいんだけど………。」




私はリリーにお茶を渡すと、リリーはにっこりと笑いながらそれを飲み干した。


「………寒いね、ここ。」

「………。」


私はどんどん変わりつつあるエルフの里に困惑していた、なんだろう、もう、今までの世界には戻らないんじゃないだろうか、そんな気がしてくるのだ。


「………ていうか、事ここに至ってもセーヤこないし、カトウもこないし、マジであいつらっ………何やってんのよ………。」

「ナーノがそんなに思いっきり怒るの珍しいね。」

「そう………でも、そうね、このところひたすら歩きっぱなしだから、つまらなすぎて頬の筋肉が固まっちゃったのかも。」

(………冗談をいうナーノも珍しい………。)




「………素晴らしい、これがドラゴンか。」


俺は山頂でゆうゆうと寝転がりながら夜空を眺めている。


「………これこそが、俺が求めていたものか………そして、始まる、戦いがな………グフフフフフフ」




「………欲しいな………その能力。」

「っ!!!?!?」


突然後ろから現れたそのスライムに、ドラゴンはなすすべもなく包まれた、ように見えた。


「!?!?」

「この程度でっ………終わるかぁ!!」


ドラゴンの体表から吹き出る火はまずまず勢いを上げ、その厚さにさすがのスライムをたじろいだ。


「貴様………俺を食おうとしたことがどれほどの大罪であるかわかっておろうなぁ!!」

「お前こそ、ドラゴンだからってイキってんじゃねぇよ!!」


その罵り合いは、王者の戦いというよりも、ネット上での喧嘩に近かった。




「………気が変わった、美咲、やっぱりあそこに戻ろうか。」

「………え、え!?圭太、正気なの!?あんな危険な場所こっちから乗り込む必要ないよ!」

「とことん意見が合わないな、俺達………。」


圭太と呼ばれた男は苦笑するだけだったがその進路は変わらず、ため息をついた美咲はこれだからとかなんとか行ってあの山に向かう。







そして………。





「………やっとついた………流石にこんなでかい山があったら間違えないって。」

「あの密林もこのあたりからなくなったしな。」







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