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プロローグ 1

いつからだろうか、異世界転生を本気で願うようになったのは。


はじめのうちはたしかに冗談のつもりだった、本当なんだ、俺はその馬鹿馬鹿しい考えを鼻で笑い、目を背けていた。


だが、日を追うごとに俺は心を蝕まれていくのが分かった、会社を首にされ、暗い部屋でゲームをして暇を潰し、両親からのお小遣いで日々を凌ぐ。


俺は弱かった、俺自身もこの瞬間まで知らなかった、俺は現実と向き合う勇気がなかった。


現実と妄想って、対というか、なんというか、現実に向き合う勇気を無くした俺が目を向けたのは、異世界転生という妄熱だった。




「………は………はははは……………。」


俺の体は、光り輝く空間を漂っていた。


待ってた、待ってんだこの時を。


『………きこえますか………。』

「聞こえてる、あぁ、聞こえてるよ、ふ、ははははは…………異世界だ、異世界に行ける、俺は、人生をやり直せる………!!!」

『………あなたの望みを3つだけいいなさい、私がそれを叶えましょう………』


俺はそれを聞いたその瞬間、3つのチートを思いつく。


「無限のステータス、不老、全能!」

『………………。』




「………あ………。」


眩しい………くそ、眩しすぎる、太陽の光を浴びるのはいつぶりだろうか?


俺は立ち上がる、草原の風が様々な匂いをのせてくる。


「はぁぁぁぁぁぁぁ………いい気持ちだ!」


俺は立ち上がり腕を上に伸ばしながらあくびをする。


「やっとこれたな、異世界に!!!」




俺は草原をひたすら歩いていた。


「………なんだこれ、なんだこれ!?あの神様ふざけてるのか!?」


【カオスアップ】

全ステータスが毎秒10%増加する、制限はなし、時間が経てば無制限にあがる、それとはべつに1分だけ1万ステータスを上げることもできる。


ただし、戦闘が終われば即座に上がった分のステータスはなくなる。


【ソウルドレイン】

生命の源であるソウルを吸収する、生きているものからは時間はかかるが全部とれ、死んでいるものからは一瞬で十分の一吸収、吸収したソウルは単純に寿命を引き上げるほかスキルツリーのスキル取得にも使える。


【スキルツリー】

ソウルを注ぎ込むことでこの世のあらゆるスキルが手に入る、制限はなし。


「やろぉ、やりやがったなぁ!!!」


まぁ、声からして女っぽかったが………なんだこれは、神様だろ!!なんで微妙にケチケチするんだよいいじゃないかステータス無限でも!!!


まったく、せっかくあのくそったれな日本から抜け出せたってのによぉ………水を刺しやがって………。


「………………ふう、しゃーなししゃーなし、これでも十分強力なチートだろうし、いいや。」


俺はこうしてのんびりあるき続けた。




「………さてさて、人里はいったいどこなのか………。」


俺はそういって周りを見回す、草原の先は巨大な森林であり、ステータスを引き上げてジャンプしたら、とてつもないほど高く上がった…………だが上から見下ろしても終わりが見えない。


「………なんだあれ。」


俺は緑一色の中茶色いものが何個も連立しているのをみつける、ここからじゃあまりにも遠すぎてよくわからないが………。


ともかく俺は釣られるままにそこへ向かう。


「………建物!!?」


しかもめちゃくちゃでけえじゃねぇかよ!!


俺は大喜びで走り出す、まだまだ距離はあるが俺は跳ねるように進んでいく。


だが。


「………なんか、おかしくね………?」




俺はそ〜っと城門から中をみるが………なんだこれ、めちゃくちゃ荒らされてるじゃないかよ!!?


「どうなってやがるこれ………?」


俺はその中をブラブラと見物する、風化しているがどのたてものもとても立派なもんだった、中にはいると家財道具がそのまま残っている、その中のタンスを開けると、ひどく汚れたボロボロの服が入っていた。


「………うぇっ、これは使えそうにないな。」


俺は真っ白になった服に手を付けずにいた、………そのとき服の下からムカデが一匹這い出てきた。


「うぉっ!!?」


俺はとっさに飛び退いたあの、近くの物を手にとった、なにか武器になりそうな物を探す。


「うぉぉぉぉぉうわぁぁぁぁぁぁぁ!!?」


俺はあり得ないくらいの速度でそくざに外まで走り出した。


「………ふぅ、ふぅ………死ぬかと思った。」


俺は立ち上がりながらムカデのいる廃屋を見る、そうか、ここがどんな世界かは知らないが、こんないかにもな場所じゃ魔物とかモンスターとか出てくるよなぁ………。


「………フンッ!!!」


俺はステータスを引き上げた上で拳を壁に叩きつける。


来るなら来いよモンスターが!!


そう気合を込めて突き出した拳は廃屋の壁を悠々とぶち破り、破片が散乱する。


「…………。」




「………うううぅ………嫌だなぁこういうのはさぁ………。」


俺はホラーゲームが大の苦手だ、だから予想はしていた、日が沈んだ瞬間あたりは真っ黒になり、俺は廃屋の屋根の下で座り込む。


………ぶっちゃけもう一歩もここから動きたくない。


俺は暗くなった廃墟の一角でひたすら暇を潰す、舗装されたレンガの道をひたすら指でなぞったり、貧乏ゆすりしたり、そうやって暇を潰している。


「………異世界、思ったより楽しくねぇな。」


俺はそう思い始めたとき………遠くの方でほのかに光が見えた。


「………おいおい、マジかよ!!」


俺はその方向に走り出す、光に向けて。


人か?人がいるのか?


その光は炎の光だった、焚き火にそろりそろりと俺は歩いていく。


「………これは。」


俺は周囲に散乱する道具類や骨やらを見回す、今の今まで、ここにだれかが………?


「………うっ………?」


なんだ、この感覚は………!?


その瞬間俺の背中になにか硬いものが突き刺さり、俺は衝撃でややのけぞる。


「ぐわっ!!?」


俺はそれが飛んできた方向を見ると、松明の灯りが遠くに見える、そして、その松明の光に照らされて、緑色の肌をした人形の何かが複数体、そのうちの一体が弓を構えている。


「………ゴブリン。」


俺は反対の方向に逃げようとしたが、予想以上の加速に一瞬ビビる、カオスアップの付属効果の全ステータス1万アップを使ってないのに若干身体能力が上昇している。


「………これは、カオスアップか!!」


毎秒10%の上昇、たった10秒でステータスは2倍に膨れ上がる。


ただし、%系バフの常だが、元のステータスがある程度ないといくら2倍3倍されようとどうしようもない。


俺はカオスアップでステータスを1万上げる、その瞬間に、力がぐんとみなぎるのを感じた。


俺は踵をかえしてゴブリンに突撃する、相変わらずすごい速さだ、スーパーマンになった気分だ。


「うぉぉぉぉぉ!!!!」

「ギギッ!!?」


ゴブリンの群れに突っ込んだ瞬間、いろいろな音が聞こえた、肉が弾け、骨がへし折れ、壁に叩きつけられる音だった。


「おりゃぁぁぁぁぁ!!!!」


勝てる!!これなら勝てる!!


ゴブリン達はその瞬間危険を察知したのか雪崩を売って逃げ始める、だが俺はその背中に追いすがりさらなる一撃を加えていく。


「ギギッ!!?ギギギィィィィィィ!!?」




俺はやや呼吸を荒くしながら周りを見回す。


「………うわぁぁぁ………。」


気が付かなかったが、あたり一帯血の海だった、俺の服も血で真っ赤だ。


「………くそぉ、やってしまった、ゴブリンを殺すのに夢中になりすぎた………。」


まぁサイコパスと言われてもしょうがない状況と発言だが………。




「………これは、寝袋か………いやだめだわ使い物にならない………。」


小さっ!!いや当たり前だけど。


俺はそのボロの中に潜り込まず上に寝転がる。


「………。」


なるほど………この廃墟は今じゃ魔物の巣窟になってるみたいだな。


まだこの都市がどんくらいデカイのかも分からないし魔物の数も分からないけど、まぁそれなりにやばいところなんだろうな。


「………やっぱこの異世界面白そうかも。」


俺はそのとき勢いで今後の目標を決めていた、この都市を探検して魔物をありたけぶっ飛ばす、人里を探すよりそっちの方が楽しそうだ、そう俺は欲のおもむくままに決定を下す。

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