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異世界は神様からの贈り物  作者: skeleton
第一章 贈り物(ギフト)
8/10

覚醒

今回で第1章の最終話です!

晴がどうなるか楽しみですね。

それでは8話目スタートです!

「あ........れ.....?」


 どうして僕は倒れているんだ。お腹が熱い。


 体が動かない。全身が濡れている感じがする。


 薄らと目を開けてみる。これは...僕の血だ。


 気が飛びそうになったが何とか持ちこたえる。


 どうしてこうなった。思い出せ。


 確かギフトを手に入れて、ピエロに、そうだピエロだ!あいつを殺さないと。湊達の仇をとらないと。


 あ、そうか僕はピエロに負けたんだ。


 結果は惨敗だった。ギフトを手に入れたといっても戦闘訓練をしていなかった僕に勝てる要素なんて1つも無かった。


「見かけ倒しでしたね。」


 ピエロの声がこだまする。


「ギフトを手に入れたのに使いこなせず、私に返り討ち。仇をとる?笑わせないでください。貴方には呆れて殺す気も失せました。」


「ま...だ.....だ。」


 ピエロは自分の手首を切り、地面に血を垂らす。血が魔法陣を描く。


 そこからゴブリンやホブゴブリン、オーガが産まれてきた。


「もし、私を殺せるほど強くなれば、次は殺してあげますよ。生き残ればですが。」


 やばい意識が遠のいて行く。


 ピエロの前に扉が出現した。


「ま.....て。」


 ピエロは振り向きもせずに扉に入っていった。


 そして扉は消えた。


 ゴブリン達が僕を見る。


「や...ばい。」


 腕に激痛が走る。ナイフを刺されたのであろう。


 首を掴まれ持ち上げられた。


 オーガが三匹僕を取り囲んでいた。


 僕は死ぬのか。このまま死んでしまうのか。


 ごめん小林さん、紫垣、湊。僕仇取れなかったよ。


 ピエロの声が繰り返される。


 違うだろ。あいつを殺すまで僕は死ねない。強くなって僕はあいつを殺す。


 だからまだ死ねない、死にたくない!!


「うぉぉぉぉぉおおお!!!」

 

 風の刃が掴んでいた手を切り落とす。


 オーガは僕を落とし、殴り殺そうとしてくる。


 だが、オーガの体を風の刃が真っ二つに斬る。


「邪魔をするなぁァァァ!!!!」


 他のゴブリンや黒い巨体も風の刃によって切り刻まれる。


 そこからの記憶はない。


 ただ断片的にゴブリン達の苦しむ顔を覚えている。


「あらら、ギフトが暴走しちゃってるわ。イリスあの子止められる?」


「大丈夫ですよ。」


 イリスと呼ばれた女性は晴に近づく。


「霧時雨。」


 風の刃がイリスに襲いかかったが全く当たらない


 彼女は晴の体に手を当てる。


「凍雨。」


 晴の体は徐々に動かなくなっていき、完全に止まった。


「さすがイリス。強いねぇ。」


「イリーナに言われると皮肉にしか聞こえません。」


 魔法陣からオーガが五匹産まれて、魔法陣は無くなった。


「どうやらあそこから産まれてるみたいですね。」


「あの魔法陣を調べたかったけど、相手さんもやるねえ。」


 オーガ達が既にイリーナめがけて、斧や棍棒、大剣を振り下ろしていた。


 一瞬彼女の体が揺れた。次の瞬間、オーガ達が消えた。


 代わりにオーガ達がいた所に血の海がらできあがっていた。


「んじゃ、フェルゲンさん達助けに行くか!」


「私はこの男の子を城まで連れていくのでイリーナだけで行ってください。」


「えぇーーー。しょうがないな。」


 イリーナはその場から消えた。


 イリスの前に扉が出現した。


 彼女は晴を担いで扉の中に消えていった。


 ―――――――――


 カーテンの隙間から朝日が一筋の光となって、僕の顔に当たる。


「んんんう。ここは俺の部屋?」


 目を開けると僕の部屋にいた。そして僕のメイドさんも。


「おはようございます。晴様。」


「僕はいったい....」


「あの戦いから3日が経ちました。結果は我々の勝利でした。イリーナ様がお戻りになられて戦況が変わりました。そして、イリーナ様のお弟子さんである、イリス様が晴様をここまで運んできました。」


「そうなんですか...」


 僕の頬に涙がつたう。


「ごめん小林さん、紫垣、湊。仇取れなかったよ。もっと強くなりたい。」


「その言葉、本当か少年。」


 そこには赤い髪をした、綺麗な人がいた。


「私の名前はイリーナ・ハウンド。強くなりたいか少年。」


「強く...なりたいです。みんなを守れる力を、友達を失わない力を、僕は欲しいです。」


 イリーナがニヤリと笑った。


「私はお前を強くする事ができる。それも魔王など余裕で倒せる程強くする事ができる。これからお前に辛い事がおきようと、強くなりたいか?」


 迷う事は無かった。


「あいつを殺せるなら、僕はどんなに辛い事だって耐えきれる。僕は強くなりたい。」


「お前の名はなんという?」


「晴、雨宮 晴です。」


「よろしくな晴。今日から私はお前の師匠だ。いきなりだが今日の午後2時に闘技場に来い。お前が強くなれるかテストをする。」


「分かりました。」


 僕は拳を握りしめた。


 闘技場に行くとイリーナの姿は無かった。


 代わりに青い髪をした。女の子がいた。身長は155cmぐらいで、美人とも可愛いとも言える顔つきで、僕達の世界だったら間違いなく芸能界入りはできるであろう顔つきである。


「来たか晴。お前の目の前にいるのはイリス・ウィンディ。お前の姉弟子になるかもしれない。」


 上を見上げると観客席の所にイリーナがいた。


「今日は、イリスと勝負してもらう。そしてお前が強くなる素質を持っていないと判断すればお前を弟子にするのはやめる。」


「それでは勝負始め!」


「ちょ、待ってくださいよ!」


 右頬に強い痛みが走る。そのまま僕は吹き飛ばされた。


「もう勝負は始まってますよ?お喋りしていると死にますよ?」


 イリスの周りに水が現れた。


「切雨。」


 水が高速で僕の体を貫く。


「グがぁぁぁぁぉあ!」


「やはり素質がないようですね。貴方は強くなるんじゃ無かったんですか?」


 そうだ、僕は強くならないといけないんだ。ピエロを、フリードを殺すために。


「死んでもしょうがないですね。切雨。」


 水が僕に向かって飛んでくる。


「まだ、僕は死ねない。僕は強くならないとダメなんだ!!」


 僕を中心に暴風が吹き荒れ、水を弾き飛ばす。


 風が僕の思い通りに動く。


 これが僕のギフトか。


「やればできるじゃないですか。五月雨。」


 肩に激痛が走った。肩に穴が空いている。


 まずい!上に暴風を吹き飛ばす。


「よく気づきましたね。センスありますよ。逃げるセンスが。」


 イリスが消えて、僕の目の前に現れた。


 腹に膝蹴りが決まり、顔を殴られ吹き飛び壁に当たる。


「ぐふっ!」


 イリスに暴風を当てるが少し後ろに行くだけだった。


「風を当てたぐらいでは倒せませんよ?」


 なにか、なにか無いだろうか。彼女を倒せる方法が。


 彼女の水を見て思った。彼女は高噴出された水で攻撃をしている。


 もし僕の風で同じ事が出来たらどうなる。


 でも、穴を開けたり、切ったりするのには何か足りない気がする。


「何をしているんですか?切雨。」


 危ない!目の横を通り過ぎた。


 一瞬、水が振動しているのが見えた。


 そうか振動させれば、それも超音波程の。


 チャンスは1回だけだろう。


「逃げてばかりでは戦いになりませんよ。」


 彼女に暴風を当て、瞬きをした。


 今だ!!


 僕は手をあげる。


 風を鋭く、超音波、勢いよく噴出。


 手を振り下ろした。


 風の刃が彼女の腕めがけて飛んでいく。


 彼女の腕が宙にまう。


 風の刃は止まらず闘技場の壁に当たった。そこにはくっきりと風の刃の後が残っていた。


「そこまで!!!」


 イリーナが降りてきて、僕達を止めた。


「まさか、イリスの腕を斬るとはねぇ。あんたは強くなる素質がある。よって、私の弟子にするよ。」


「私も異論はありません。」


「ありがとうございます。」


 ふと見るとイリスの腕が戻っていた。


「驚いたかい?この子に斬撃は効かないんだよ。」


「それじゃあ、さっきの勝負の結果は.....」


「もちろん私の勝ちですよ、下っ端さん。」


 イリスは僕に向かって舌を出てきた。


 この女ァァァあ!絶対強くなって言い返してやる。


「イリス、晴の傷を治してあげな。」


 イリスが両手を出すと魔法陣が現れた。


「フルリカバリー。」


 傷がみるみる治っていく。


「感謝してくださいよ、下っ端さん。」


「ありがとうございます。」


 やっぱりこの女嫌いだ。


「今日はこの城に泊まるが、明日からは私の森に行き、修行だ。お前はまだまだ弱い、だから私が強くしてやる。」


「よろしくお願いします、イリーナさん。」


「イリーナでいい。」


「私の事は、イリスさん!!と呼んでくださいね。下っ端さん。」


「僕の事は晴でいいよ。おチビさん。」


 目で喧嘩をする。やっぱりこいつ、嫌いだ。


「やめろよお前達。今日から私達は家族だ。それにお前達、同じ年齢なんだから仲良くしろよ?」


 は?同い年!?もっと年下だと思ってた。


 イリスも驚いた顔をしていた。


「年下だと思っていました。下っ端さん。」


「僕も年下だと思ってたよ。おチビさん。」


「お前達仲良くしろよーー。」


 翌日、僕達は闘技場にいた。


 そこには、エドマンドさんとフェルゲンさんが見送りに来てくれていた。


「雨宮、すまないな。お前に辛い思いをさしてしまって。」


「大丈夫ですよ、フェルゲンさん。確かに辛かったけど、くよくよしててもしょうがないですしね。」


「お前は強くなったな。」


 フェルゲンさんが笑いながらそういった。


「ありがとうございます。短い間お世話になりました。」


 僕はエドマンドさんと、フェルゲンさんに挨拶をして扉の方に進む。


 そこにはイリーナとイリスが待っていた。


「話は終わったか?」


「終わったよ。もぉ未練も何も無いよ。」


「下っ端さんのくせに未練とか言わないで貰えますか?」


「うるせぇ。」


 小林さん、紫垣、湊。僕ちょっと寄り道してくるよ。


 フリードを殺すための寄り道。


 だからもう少し待っといて。強くなって帰ってくるから。


 僕はそう思いながら、扉に足を踏み入れる。




次回はエピローグです!

1章は終わりますがまだまだ続きますのでこれからもよろしくお願いします!

8話目読んでくださってありがとうございました!

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