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異世界は神様からの贈り物  作者: skeleton
第一章 贈り物(ギフト)
7/10

魔王襲来

前回は氷堂君の強さがチート級でしたね。

今回の敵は氷堂君でも勝てる敵なのでしょうか?

それでは7話目スタートです!

 湊が行ってから数分が経った。湊のおかげでこちらに優勢が戻っていた。


 僕は常に魔力を放出している状態で、今は余裕なのだがいつ魔力が無くなるか心配だった。


「湊、大丈夫ですよね?」


 小林さんが心配そうに呟いた。


「氷堂なら大丈夫ですよ。俺よりあいつのが強いんで。」


「紫垣君よりも強くなってるの?」


「悔しいことに。それでも俺も強いっすけどね!」


「紫垣君、前からゴブリンが!」


「了解です!小林さん。」


 ゴブリンが紫垣に襲いかかったが頭を掴まれ、握り潰された。


 この後にも何体かゴブリンが来たが、紫垣によって返り討ちである。


 そんな中、巨体のゴブリンがこちらに向かってきた。


「あれはまさか、ホブゴブリンか?ゴブリンロードの付近だけにいるんじゃないのか?」


「もしかしたら、騎士の人達を殺して進化したんじゃ.....」


 そんな事を呟いた。


「確かにそれはあるかもしれんな。紫垣、あいつを倒せるか?」


「おっさん、あんたは指揮官だ。俺に聞くんじゃねぇ命令しろ。」


 フェルゲンさんがふっと笑った。


「あくまでお前の仕事は雨宮の護衛だ。10mまで引きつけろ。その後はホブゴブリンを討伐せよ!」


「あいよ。」


 紫垣はニヤリと笑った。


 生まれ持っての戦闘ジャーキーである紫垣は戦える事が嬉しいのだろう。


 ホブゴブリンが10m圏内に入ってきた。


 紫垣は思いっきり踏み込み、ホブゴブリンの懐に潜り込み、顎めがけて思いっきりアッパーをした。


 ホブゴブリンの頭がもげた。


 一瞬の出来事だった。その動きは何十回も何百回も練習したかのような流れる動きだった。


「よし、魔力切れの魔法部隊はここに残れ!まだ魔力がある魔法部隊は前進し騎士達の援護に専念しろ!!では行動開始!!」


 これで戦況はしばらく安定しそうだ。僕は安堵した。


 それにまだ魔力には余裕がありそうだ。


 安堵もつかの間、絶望はいきなりやってくる。


「いやはや、実に素晴らしい魔力ですねー。」


 体がガクガクと震える。


 声がした方を見るとピエロが立っていた。背中にはコウモリのような羽が生えている。


「お前達!!気を抜くな。おそらく奴は魔族だ。」


 フェルゲンさんが僕達に向かって叫ぶ。


「ご名答。私は傲慢の王。フリードと申します。」


「王だと!!?どうして魔王がここにいる!!」


「どうしてって、そこの人間の魔力が欲しいからに決まってるじゃないですか。」


「残念だが、雨宮は渡さん。流石の魔王もこちらが多数いるようでは分が悪いだろう。」


「キャハハハハハ、私が貴方達に負けると?面白いジョークですね。」


「それはどうかな?」


 紫垣がホブゴブリンが持っていた斧をピエロに投げる。


 ピエロは斧を掴み、フェルゲンさんがいた方向に投げようとする。だがフェルゲンさんは既に懐に潜り込んでいた。


「死ね。」


 フェルゲンさんが胸めがけて剣を突き刺す。ピエロはひらりと避け、斧を叩きつける。


 フェルゲンさんはそれを後ろに避けた。


 斧は叩きつけられた衝撃で粉々になっていた。


「おっと、やりますねぇ。流石は騎士団長という所でしょうか?そして、そちらの闘神様も。キャハハハハハ。」


「なぜ、紫垣のギフトを知っている!?」


「さぁ?なぜでしょう??」


「別に知ってても関係ねぇよ。」


 紫垣がピエロの後頭部に蹴りを入れた。


「ぐはっ!!」


 ピエロはそのまま吹っ飛んだ。


「魔王っていってもこんなものかよ。」


「少々貴方達を見くびっていたようですね。」


「な!?」


 ピエロはピンピンしていた。


「おっさん、本気出すぞ。」


 紫垣の体が大きくなっていく。


 鬼神化。闘神のギフトの力で鬼神の如き力を得る。制限時間は三分である。


「今いる魔法部隊は我々の援護にまわれ!」


 紫垣がピエロの元まで踏み込んだ。紫垣がいた場所の大地が割れていた。


 紫垣はピエロに蹴りを繰り出すが、それも難なくかわされ、足を掴まれそのまま投げられた。


 その隙にフェルゲンさんと魔法部隊が攻撃をする。


 だがピエロは攻撃は当たらず、やつの攻撃だけが当たる。


 そして傷を負った人は小林さんの所まで移動して治してもらう。


「なるほど。あの女は厄介なので消しますか。」


 ピエロが指を鳴らすと小林さんの足元に魔法陣が現れた。


「バイバーい。」


 紫垣が小林さんの元へ走り、魔法陣から小林さんを押し出そうとする。


 僕も押し出そうとした時、小林さんと目が合った。


 小林さんは僕に


「ありがとう」


 と笑顔で言って消えてしまった。


 紫垣の右手は魔法陣に入っていたが小林さんの体に触れる所で発動してしまった。


 小林さんがいた所には何も残っていなかった。紫垣の右手も。


「ぐわあああああ!!」


 紫垣が痛みと悔しさで叫ぶ声を上げる。


 小林さんが死んだのだと分かった。人ってこんなに簡単に死ぬのか。さっきまで笑ってたじゃないか。喋ってたじゃないか。ありがとうって言ったじゃないか。


 頬に自然と涙が流れてきた。


「許さんぞ!!おまえ!!!」


 フェルゲンさんが怒り、ピエロに斬りかかる。魔力切れの魔法部隊の人達も魔力を振り絞って魔法を放つ。


 だが、全てピエロに弾き返される


 力の差が歴然だった。


 そこからは一方的な戦いだった。フェルゲンさんはボロボロになり、魔法部隊の人達も立っているのがやっとの状態である。


 そんな時、雷光がこちらに向かってきた。湊だ。


 ピエロが湊に気づき、挨拶をした。


 湊は僕の元まで駆けつけてきた。


「晴、悠亜はどこだ?」


「私が殺しましたよ?」


「そうか、お前が殺したのか。」


 湊の冷たい声が異様に辺りに響いた。


「ごめん湊、僕がもっと、もっと、速かったら。力があれば。」


「晴、大丈夫だ。お前のせいじゃない。」


 晴がピエロの方を睨む。


「で、でも!」


「大丈夫だ晴。自分を攻めるな。俺がもっと早く戻ってきていたら、こんな事にはならなかったんだ。お前達に辛い思いさせてごめんな。悠亜の仇は俺が取る。」


「仇をとる??私を殺すんですか?キャハハハハハ。今日1番のジョークですね。」


 湊の体が消えた。その瞬間、ピエロの両足が斬られた。


「ジョークがどうか試す必要も無さそうだな。フェルゲンさん達は向こうの戦場をお願いします。オーガが現れました。」


 フェルゲンさんは驚きの表情を見せて頷いた。


「確かにジョークでは無さそうですね。」


 ピエロの足は既に元に戻っていた。


 湊は冷静だった。また湊が消えた。


 次はピエロの両腕が斬られた。


「それで本気か?」


 湊の背筋の凍るような声が響く。


「あなたこそ、それで本気ですか?」


 ピエロの両腕はやはり元に戻っていた。


 ピエロは指を鳴らした。湊の足元に魔法陣が浮かび上がる。


 だが魔法陣の上には湊はいなかった。既にピエロの後ろに回っていた。


「雷神一閃。」


 ピエロの体が真っ二つに斬られた。


 だがピエロの体は繋がった。


「雷神華。」


 元に戻ったピエロの体から電気の華が咲く。


「素晴らしい、素晴らしい力ですよ!!その力があれば魔王だって倒せますよ。」


「雷神槍。」


 湊は聞く耳を持たない。湊の左手から雷の槍がピエロめがけて放電される。


「私以外の魔王ならね。」


 ピエロはそう言って素手で弾き返した。


 湊は初めて驚いた顔を見した。


「貴方では私には勝てません。」


 ピエロはそう言って左手を前に出す。


「雷神槍。」


 雷の槍が湊の足を貫いた。


「ぐぅっ!なぜ、なぜお前が雷神槍を。」


「種明かしをしたら面白くないでしょ?でも1つヒント、私にも雷耐性がついています。」


 湊はもう一度懐に飛び込んでいた。


「雷神一閃。」


 もう一度ピエロの体が真っ二つになる。


「諦めたらどうですか?貴方では私には勝てないと。」


「俺がいたらそれはどうなる?」


 紫垣がピエロの上半身を持った。繋がりかけていた体を無理やり引きちぎる。


「氷堂!!こいつの傷口に最大出力の電気を流せ!」


 湊が剣を突き立て雷を流す。目をつむってしまう程の眩しさだ。


 その光が収まると、ピエロの体は繋がっていなかった。


「に、に、人間風情がぁぁぁ!!!」


「俺はお前の事をずっと見ていた。体を半分にしても生きていて、その上体が元に戻るなんて常識を逸脱している。見ていて気づいたのはお前の体は全て繋がって元に戻っていた。新しい腕や足が生えていたのではなく。つまりどちらかの細胞や血管を壊せば元には戻れないという事だな。」


「なるほど。よく私の事を見ていますね。でもそれでは50点ですね。」


 紫垣の首にピエロが手を当てる。


「危ない紫垣!!!」


 僕と湊が叫ぶが遅かった。


「油断しましたね。雷神槍。」


 紫垣の首に雷の槍が貫通する。


 紫垣の口から血が吹き出た。


 紫垣がピエロを指さし、胸の部分を指さす。


 どうして気づかなかったんだろう。ピエロは大体の攻撃を弾き返したり、受けたりしていた。でもフェルゲンさんが胸に攻撃をしようとした時だけ避けていた。


「湊!!胸だ!こいつフェルゲンさんが胸に攻撃をしようとした時だけ避けていた!!!」


 湊の剣がピエロの胸を貫こうとする。だがピエロの魔法によって弾かれた。


「雷沼。」


 剣を地面に突き立てる。ピエロの動きが止まった。


「悠亜と紫垣のかたき!!!」


 だが湊の足元に魔法陣があった。


「危ない湊!!」


 湊がいた場所は爆発し、湊が吹っ飛んだ。


「貴方では私を殺す事はできない!!」


 ピエロの頭上に雲が集まってきた。


「俺が殺すんじゃねえよ。建雷命!!」


 ピエロの頭上に巨大な雷が落ちてきた。


「これぐらいじゃ、お前の動きを完全に止めることは出来ねぇだろ。だから次は全魔力を注ぎ込む!」


 さらに雲が集まってくる。


「武甕槌命!!!!」


 辺り一面光に覆われた。ピエロがいた場所はピエロを残して跡形もなく消し飛んでいた。


「晴!!!俺はもぉ動けねえ!!お前が悠亜と紫垣の仇をとれ!!!」


 僕の足はそれを聞く前から動いていた。


 そしてピエロの目の前まできた。


 ピエロはピクリとも動いていなかった。


 僕は握りしめていた剣をもう一度握りしめる。


 小林さんの仇をうてる。紫垣の仇をうてる。


「小林さんと紫垣の仇だ!死ね!!!」


 剣をピエロの胸めがけて突き刺す。


 剣はピエロの胸に刺さらなかった.....


 湊と晴は忘れていた。


 晴の筋力値を。


 魔族の体の表面は硬く、晴の筋力では表面を貫く程の力は無かった。


 ピエロの指がパチンとなった。


 僕の足元に魔法陣が浮かび上がる。


「ごめんな、晴」


 僕は魔法陣の外に押し出された。湊だ。


 その瞬間、湊が僕の前から消えた。


「いやいや、実に危なかった。貴方が弱くて本当に良かった。」


「うわぁぁぁあ!!」


 僕は剣を突き刺そうとするが突き刺さらない。


「医神の人間も、闘神の人間も、そして雷神の人間も全員死んだのは貴方が弱かったから。貴方が私を殺す事が出来れば雷神の人間は死ぬことがなかった。ぜーーーーんぶ貴方が弱いから。」


 ピエロの体は徐々に戻っていった。


「うわぁぁぁあぁぁぁあああ!!」


 僕にもっと力があれば、僕がもっと強かったら、小林さんは、紫垣は、湊は死ななかった!!


 体が熱い。心臓の鼓動が早くなって、今にも爆発しそうだ。血が全身を高速で回っている。目の前がだんだん赤くなっていく。


 憎い、憎い。小林さんを殺したこいつが。紫垣を殺したこいつが。湊を殺したこいつが憎い!!


「それでは体も元通りになりましたし、次は貴方の番ですね。」


 ピエロが指をパチンと鳴らす。


「バイバーい」


 ピエロが狂った笑顔をしている。


 僕の体は魔法陣から消えた。


「な、なぜ!?お前がそこにいる!!!」


 僕はピエロの後ろに立っていた。体の周りに風が纏っている。


 体が凄く軽い、まるで風になったみたいだ。それに、体の底から力がみなぎってくる。


「これがギフトか。」


「ギフトだと!?お前はギフト持ちでは無かったはず。」


「小林さん、紫垣、湊。僕が仇をうつよ。」

ピエロの強さがチート過ぎますね笑。

書いていてこんなに強くしてもいいのか?とか考えながら書いていました。

晴の強さが次回分かりますね!

「異世界は神様からの贈り物」7話目読んでくださってありがとうございました!

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