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第3章ー7

 ペトロパブロフスク=カムチャッキーを米軍が占領した。

 この米軍の勝利は、様々な波紋を周囲に投げかけた。


 まず、直接的な影響として表れたのは、北太平洋におけるソ連潜水艦の活動の大幅な減少だった。

 ウラジオストク軍港に対する日本海軍空母部隊の大空襲以降、ウラジオストク軍港はソ連海軍太平洋艦隊の根拠地としての価値を大幅に低下させていた。

(日本海軍空母部隊の大空襲により、ウラジオストク軍港を根拠地としていたソ連太平洋艦隊の水上艦艇はほぼ消滅したと評価される大損害を被った。

 そのため、日本空軍等が行うウラジオストク軍港沖合への機雷敷設に対する掃海能力が低下してしまい、ソ連潜水艦は苦戦を余儀なくされる羽目になっていたのである。)

 そのため、ペトロパブロフスク=カムチャッキーは、ウラジオストク軍港の潜水艦基地としての能力が低下していた中で、代替の潜水艦基地として重要だったのだが、米軍の侵攻、占領はその潜水艦基地としての能力を完全に失わせるという結果を招いたのである。


 ペトロパブロフスク=カムチャッキーを喪失し、ウラジオストクが機雷封鎖等により軍港としての価値を低下させても、マガダン等に潜水艦の出撃拠点としての能力が皆無という訳ではない以上、ソ連太平洋艦隊所属の潜水艦が活動不能になったわけではない、という反論がある。

 しかし、ドック設備を備える等、本格的な軍港設備があるといえるソ連太平洋艦隊の拠点は、この当時、ウラジオストクとペトロパブロフスク=カムチャッキーの2か所しか無いと言っても間違いではなかった。

 だから、ペトロパブロフスク=カムチャッキー喪失により、ソ連太平洋艦隊の潜水艦部隊の脅威は大幅に低下してしまった。


 その一方で、ペトロパブロフスク=カムチャッキー攻防戦に際し、正規軍のみならず民兵隊とも米軍が交戦したことは、独ソ中に対して主に自国の国民に対する格好の宣伝材料を与えた。

 既に日本軍が中国内戦において中国の一般市民を虐殺しているといういわれのない悪名を受けていたが、米軍もソ連の一般市民を虐殺しているという悪名を押し付けられることになったのである。

 勿論、米国の軍、政府は事実無根と強力に反論した(実際に事実ではなかった)が、国民に対する宣伝で、自国政府のいうことと外国政府のいうことと、どちらが国民に基本的に信用されるかというと。

(ソ連政府のいう事と米国政府のいう事、どちらがソ連国民に信用されるだろうか?)

 こうしたことも、第二次世界大戦を凄惨なものとする一因となったのである。


 ともかく米海兵隊と米海軍の行ったペトロパブロフスク=カムチャッキー攻略作戦は、極東方面におけるソ中対日米満韓の戦局の一大転換点の一つになった。

 これと相前後して、満州でも一大作戦が展開されようとしていた。


 その前兆となったのが、日米満韓の航空隊を駆使した様々なソ連軍への攻撃だった。

 そして、その主力を務めたのが日本空軍であり、使える限りの軽爆撃機部隊が様々に投入された。

(裏返せば、そのためにペトロパブロフスク=カムチャッキー攻略作戦への日本空軍の支援は、戦闘機と重爆撃機部隊に限られてしまったともいえる。)


 ソ連空軍の航空基地に対しては、99式中型爆撃機部隊が反復攻撃を加え、航空優勢の確保に努めた。

 99式襲撃機は、ソ連陸軍の最前線等に対する爆撃任務を行った。

 99式双発軽爆撃機は、その中間ともいえる任務で、航空基地を攻撃することもあれば、急降下可能な機体であることを生かし、ソ連陸軍部隊に対する攻撃を行うこともあった。

(あくまでもそれぞれの機種の主な任務である。)

 こういった航空攻撃により、ソ連軍の抵抗力を削いだ。

 私の調べる限り、史実の1940年当時のペトロパブロフスク=カムチャッキーにドック設備は無かった可能性が高いのですが、この世界ではそれこそ幕末から約70年間も歴史が変わっていますので、そのバタフライ効果ということで納得していただけないでしょうか。


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