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第2章ー8

 欧州における対独戦についての英米仏日等の航空作戦は、前述のようなものだった。

 それでは、欧州における対ソ戦においては、どのような航空作戦が展開されていたのだろうか?


 正直に言って、まずは対独戦第一、独を打倒した後で、ソ連への攻勢を行うというのが、英米仏日等の基本的な考えだった。

 幾ら敵が事実上の同盟を締結して戦っているとはいえ、まず叩ける方から叩くべきだ。

 こういった考えはある意味で当然だった。

 そのために、1940年のこの頃には欧州戦線においてはソ連に対する航空作戦は余り取られなかった。

 更にもう一つの理由もあった。


「申し訳ないが、ソ連の国土に対する攻撃が実際に行われるまでは、我が国は中立を保たざるを得ない」

 それが、フィンランド政府の英仏米日等の各国政府に対する非公式な主張だった。

(なお、公式にはフィンランド政府は、いかなる事態が起ころうとも我が国は中立を維持すると、半ばお題目のように主張していた。)


 当時のフィンランド政府を支えていたのは、マンネルハイム元帥だった。

 当時の彼の考えは、本人の回想録によれば、次のようなものだった。

「我がフィンランドの国益を第一に考えて行動せざるを得ない。最終的には独ソが敗北するだろうが、先走って独ソに敵対しては、我がフィンランドが焼け野原になる」

 これはある意味で極めて正しい判断だった。


 ノルウェーが英仏米日等側に立って参戦したとはいえ、スウェーデンは中立を保っている。

 こういった状況下で、フィンランドが英仏米日側に公然と立っては、フィンランドは半ば孤立した状況下に置かれてしまい、独ソからの攻撃を受けるのは必至の情勢だった。

 そして、現状では、フィンランドは独ソからの攻撃をはねのけることはできなかった。


 フィンランド国民の一員として、マンネルハイム元帥としては、冬戦争の復仇を果たし、カレリア地方を祖国の手に取り戻したいのが本心ではあった。

 だが、現実を鑑みて、マンネルハイム元帥は、現在のところは中立を堅持し、上記のような主張に徹さざるを得なかったのである。


 他の東欧、中近東諸国の中でも、ユーゴスラヴィアやギリシャ、トルコ等、どちらかといえば親英仏米日等側に立つ国でさえ、現状では中立堅持を建前では唱える有様だった。

 いざという時に、即座に援軍等を英仏米日等側が送り込めるようになることが、こういった国々が英仏米日等側に立って参戦する際の必要条件だった。

 そうしないと(少なくとも額面上は)極めて強大な独ソの軍隊の軍靴に国土が踏みにじられるのが明らかだからである。

 こういった事情も加味して考える以上、英仏米日等側は、中立国の意思を尊重して、ソ連に対する積極的な航空攻撃を躊躇わざるを得なかったのである。


 とは言え、それはソ連に対して全く航空攻撃を英仏米日等側が、欧州において加えなかったという訳ではない。

 特に重要視され、執拗に行われたのが、ソ連海軍の潜水艦隊の出撃を阻止するためのムルマンスク等に対する機雷敷設任務だった。

 余りに執拗に行われたことから、補給を半ば無視したソ連陸軍による陸路からのノルウェー侵攻作戦が何回か行われた程だった。

 そして、その度に英海軍を主力とする海上からの攻撃によって、ソ連陸軍は立ち往生する羽目になり、終には撤退のやむなきに至った。

 また、バルト海にも機雷敷設が行われている。


 他にも、ノルウェーに展開している英仏米日等側の各種部隊は、航空隊を中心にポーランドやバルト三国解放のために戦うパルチザンに対して、補給等の任務にも当たっている。

 これによる正確な効果は不明だが、こういったパルチザンにとり、貴重な武器供給等がこれによって行われている。

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