決意
「あ、あぁ。そうだったな。
BlueTigerって知ってるか?」
「Blue…Tiger……?
青い虎…?」
「そうだ。」
「確かBlueTigerって言ったらあの青龍高校で1番強いグループじゃ…」
「知ってくれてるんだー!嬉しいなぁ」
青龍高校とは全国各地の不良が集まる高校のこと。
その不良たちの頂点に立つのがBlueTiger
そしてBlueTigerは不良のクセに善人だと言うウワサがある。
そのグループが…この4人…?
「…何。信じてないわけ?」
「別に信じてないわけじゃないけど…」
4人とも容姿端麗ではあるけどその中でも特に目立っている俊
女の子みたいな容姿の蒼
チャラいけどちゃんとしないといけない時にはちゃんとしそうな洸大
ヘッドホンをしてて無気力そうな藍人
……いやいやいや、うん。やっぱり有り得ないでしょ
どう考えても1番強いグループの奴らではないよね。普通に考えたら……
「……やっぱり信じてない」
「…まぁ、信じたとしよう。
それで?何で私をここに連れてきたの?」
私が1番気になっていた事
俊が言うにはグループに私を入れるためらしい
「リーダーの俊が言ったことは絶対だからね」
……は?
「リーダー……?」
「あれー?知らなかった系?俊、姫に言ってなかったの?」
「ちょっと待って。洸大、姫って何
さっきまで琴心ちゃんって呼んでたくせに」
「えー?琴心ちゃんはこれから俺らの姫になるんだから姫でしょ?」
「……は?姫?」
訳がわからない…
姫ってどういうこと?
私は混乱していたが周りの4人はさも当然のように笑っていた
「琴心にはこれから俺らのチームに…BlueTigerに入ってもらう」
「リーダーは俊ねー!副リーダーは僕だよー!宜しくねー!」
は?……え?
リーダーが俊っていうのは分かるよ?
だって1番強そうだし
……副リーダーが蒼?
え、1番弱そうじゃない?
「…こう見えても蒼は俊の次に強いよ。」
「……マジか。
ちょっと待って。さっきスルーしたけど何で私がチームに入ることになってるの?!」
「え?姫入らないの?」
「私姫じゃないし。入らないし
っていうか何でチームに入らないといけないの?女は要らないでしょ」
「青龍高校の掟なんだよ。
“青龍の名にかけて勝負し頂点に立ったチームは姫を自分の身を削ってまで守るべし” ってな」
「でも僕らは今まで女をチームに入れるつもり無かったから姫なんていないし」
「頂点に立ったチームの姫は全校生徒から守られるからお姫様気分を味わえるんだろうね〜」
「青龍の女子生徒が毎回待ち伏せしてきてマジで面倒臭いわけ。しかも全員けばけばしくてマジ無理」
「青龍にそんな掟がある事はわかった。けど私は別の高校よ?そんな私にどうしろと?その姫とやらになりたい人は沢山いる訳でしょ?その中にはけばけばしい女以外もいるかも知れないじゃない。その人を姫にしたら?」
「それは僕と蒼が無理だから」
「何か蒼は自分より可愛い子じゃないと無理なんだってさ」
蒼より可愛い人なんて中々いないでしょ…
私本当は蒼の隣にいたくないんだけど…
男のくせに女の私より可愛いってどういう事よ
「後ファッションセンスがある人ね」
「ファッション…?何が関係あるわけ?」
「あれー?知らないの??青龍って私服登校だよー?」
「へぇ…あ、だからか。俊が1番最初に発した言葉が服の事だったのは」
「まぁな。で?どうすんの?」
「…僕、姫にするんなら琴心がいいんだけど。けばけばしいバカ女じゃないし。見てわかったけどアンタ化粧してないでしょ?」
そう。琴心はファッションとかは少し気にするくせにメイクとかはどうでもいいと思っている。
メイクをした所であまり変化がないと思っているらしい。
「姫にするには青龍高校に通っていなければならない。その意味わかる?」
「…転校しろと?」
「その通り!……姫にとってはいい話でしょ?」
「校則に縛られていい子ちゃんぶらないといけない退屈な日々。毎日毎日自分を偽って過ごす。…僕には絶対出来ないね。よくここまでガマンできたよね」
「転校してくれば校則に縛られることもいい子ちゃんぶることも自分を偽ることもなくなる。毎日が刺激的で楽しい日常。さて、どうする?」
「そんなの……そんなの転校するに決まってんじゃん」
4人が4人共悪い顔をしている。
イタズラが成功したような幼稚園児みたいな顔
私は不覚にも思わず笑ってしまった
何となく…何となくだけど、この4人と一緒にいたら、本当の…素の自分でいられるんだろうなぁって思った