親心
「ん……」
「あ、起きた?」
「っ?!」
琴心はびっくりしていた
それもそのはず。
目の前に顔が整っているチャラい男がいたからだ
「え……私……え?」
周りを見渡すと俊たちはもちろん、いつみのメンバー以外にも両親がいた
今洸大にお姫様抱っこをされていた
覚えている限りお姫様抱っこをされたのは初めてなので慌てていた
何故このような体制なのかよくわからなかった
落ち着いて考えてみるとステージの上で言い合いをしたことまでは覚えていた
瑞希が叫んで…それから安心して体の力が抜けて……洸大にもたれかかって……
その後がよく分からない
でもこの体制から行くと私はあの後寝てしまったのだろう
それは大体は予想がつくとして私にはまだ疑問なところがある
一つ目は何故両親があそこにいたのか
まぁこれは母校だからだとは思うけど
二つ目、これが1番疑問なところだ
私が財閥の令嬢とはどういうことか
私が本当に財閥の令嬢ならなんで私はこのことを知らないのか…
いくら考えてみてもこればかりはなんにもわからない
色々考えているうちに空き教室についた
「姫大丈夫?」
「…洸大。ごめん。ありがとう。大丈夫よ」
私は洸大におろしてもらった
気をつかってくれたのか私を何故かあるソファに座らせてくれた
「…早速で悪いんだけど私が財閥の令嬢ってどういうこと?」
俊や蒼、洸大や藍人は目を大きく見開いていた
4人は知られたくなくて自分たちに隠していたのだと思っていたのだろう
普通に考えればその結論に辿り着く
そうじゃなければ財閥の令嬢ということを本人に言わずに17年育てて来たということになるからだ
隠し通すのは無理に近いはずだ
「あ、その事?そのままの意味よ?」
お母さんはさも当然のように平然とした表情で答えた
お母さんの隣にいるお父さんも当たり前だという表情でこちらを見ていた
「財閥の令嬢という鎖に縛られたら琴心らしく学校生活を送れない思ったから琴心には今まで隠していたんだ」
「琴心が20歳になったら教えるつもりだったの。
……ごめんなさいね。今まで隠していて」
2人とも申し訳なさそうな顔をしていた
私は今まで2人がこんな表情をしているのを見たことがない
「…まぁ親心ってことでしょ。琴心良かったじゃん」
「え?」
「だって今まで令嬢ってことに縛られずに自由にやりたいことやれたんでしょ?」
「…まぁそういう事だね。姫、良かったね」
「さすが初代のお二人だよねー。いいなー!琴姫羨ましー」
「琴心が令嬢とかあんまり想像出来ないけどなっ!」
私は両親に隠し事をされていたことに対して少し悲しい気持ちになっていた
でも2人の…お父さんとお母さんの気持ちを聞いて
そして、4人から励ましの言葉みたいなのを聞いて
あぁ。私はこの2人の子供でよかったなぁって思ったの
今まで心の中に無かった思いが
今、誕生した_