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ヤンキーズ〜辛い過去を持つ女〜  作者: MAIKA
* 第四章 *
10/13

最悪な出来事



私と瑞希さんがステージの中心に移動して向き合った


その瞬間会場からは今日イチの盛り上がり方だ



私はさっきまでは自信があったがその自信はどんどん薄れていく


目の前にいる女…瑞希が自信ありげに微笑んでいるからだ



いつもの私になら相手が自信で有り余っていたとしても気にしない


だけど今回は違った


他のヤツらとは違って何か根拠がある笑みだ



私はこの時不安な気持ちでいっぱいになった




ピー!!!


試合開始のホイッスルが会場全体に鳴り響いた



私の緊張は最高潮に達した



これから嫌なことがあると言うように私の頭の中では “逃げろ” という言葉が浮かんできた


それと同時に “今更逃げることなんて出来ない” という言葉も浮かんできた



頭の中では逃げることを前提に話が進んでいるようだ



……何故だ

何故なんだ


なんでこんなに嫌な予感が私の脳内を占めているのかは私にもわからない



こんな感覚になることは初めてだからどうしていいかわからなくて混乱していた



突然横腹に痛みを感じた



目の前を見たら瑞希さんが足を上げていた


多分私の横腹に蹴りを入れたのだろう



会場は大盛り上がりだ


女子生徒は『こんなに簡単に蹴りを入れられる人が姫なんかでいいのー?』と大声を上げている

もちろん嘲笑いながら



端っこにいる4人は呆然としている


私が攻撃を食らうなんて思ってなかったからだろう


みんな心配そうに私を見ている



目の前にいるぶりっ子ちゃんは笑っている



私がここで怯えると思っているのだろう



癪に障ったので私はその足を掴み投げ飛ばした



さっきまで大盛り上がりだった会場は一瞬にして静かになった


それもつかの間、歓声が上がった



女子生徒は面白くないように下を向いた




ぶりっ子ちゃんこと、瑞希さんは悔しそうに唇を噛み締めている



私は正直いってびっくりした


手加減はしたものの普通の女なら気絶している所だ



「っ有り得ませんわ!」



急に叫んだ瑞希さん



「人を殺した貴方が何故姫になるんですの?!」



ヒトヲコロシタ…

人を…殺した……?


私が…?



私が呆然としているのと比例するかのように会場も呆然としていた


……いや、呆然というよりザワザワしている、の方が正しいか



「私は何もかも知っていますのよ!

貴方が彼氏を殺したことをっ」



あぁ…あの時の瑞希さんの自信のある笑みはこういう事なんだ


私は意外にも冷静でいられた



会場はもっとザワザワしだした



「なんとか言いなさいよ!本当の事だからなんにも言えないのね?!」



全ての視線が私に突き刺さるのを感じた



「っ琴心はそんなことはしない!」


「琴姫!本当の事言って!」


「姫!」

「琴心!」



俊と蒼、洸大と藍人の声が聞こえた



「…本当の事を言えですって?

私は人を殺してなんかないわよ

ほら、本当のことを言ったわよ」



「そんなはずないわ!私はあなたのことを徹底的に調べたのよ!広瀬財閥が調べたのだから間違いないわっ!ねぇ、お父様!」



「……あぁ。その通りだ」



瑞希さんは財閥のご令嬢らしい

まぁどうでもいい話だけど



「私のお父様はここの学校の2代目黒龍ですのよ!!そして初代黒龍のお方とも顔見知り!しかもお父様は会社の社長よ!」



2代目黒龍、ねぇ…

しかも初代黒龍とも交流がある、と…

初代黒龍って言えば私のお父さんだけど



「……だから?」


「なっ!!」



私がこんなことでビビるとでも思っていたのか?


だからどうしたって感じよ



「…広瀬財閥で調べた結果、実渕琴心。

お前は中学3年の時付き合っていた彼氏・芦刈司を殺した。そう記録されている」



アシカリツカサ…

アイツガワタシノカレシ……?



「っふざけないで!!!」



シーン…

その言葉が本当に合うだろう


静かになるはずだ

今まで冷静だった私が取り乱しているからだ



「琴心…?」


藍人が琴心に近づいてきて琴心の肩に触れた



「いやっ!触らないでっ!!」


琴心は藍人の手を叩いた


藍人は…いや、藍人を含める4人はびっくりした


藍人の手を払ったからではない

琴心の目に光が宿っていなかったからだ



「ひ、め……?」


「いやっ!来ないで!」



ヒステリックに叫ぶ琴心

初めて会ってからそんなに日にちは経っていない


だけど琴心のことは一緒にいてどんどん分かってきていた


冷静で、でも時にはギャグをいう色々な1面を持ち合わせている


だけどこんなに声を荒らげて叫ぶということは今までになかった


これからもそんなことはないと思っていた



それだけ琴心は取り乱していた



「ほらっ!ここまで取り乱しているんですもの!過去の過ちを暴露されたから怯えてるんですわっ!」



「っ違う!!」



「_その話はデマだ」



琴心が叫んだ後にどこからか声が聞こえた


その人物はゆっくりとステージに上がって来て、項垂れている琴心の近くにしゃがみ込む


その人物と一緒にいた女の人も琴心に近づき琴心の肩を抱いた



「琴心…大丈夫か?」


「琴心…?ゆっくり深呼吸しなさい。」



琴心は藍人の手は払ったが女の人の手は払わなかった


そして安心したのか微笑んでゆっくり深呼吸した



「っ誰よ貴方たち!!」



「なっ!!こ、浩史さんに静香さん……」



瑞希の父親は2人の名前を呼んだ


その2人の名前を聞いて会場はざわついた



2人は瑞希、そして瑞希の父を睨んだ



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